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| (造形科23期 松丸健治) |
| 造形科23 期生として入学し、研究科を終了してから、6年が経過しました。創形に入学した当初、創形もデザイン科ができて、造形科のスタッフも変わり、大きく変化し始めているようでした。今思えばその頃は創形周辺の変化も含め、社会全体も大きく変化を始めている時期であったように思います。すでにバブルが崩壊し、修了制作を描いている時には阪神淡路大震災がありました。単なる出来事と言うより、価値観の変換を促されることとして個人的にも大きな影響を受けたように思います。 さて、在学中の生活は、それ自体では大いに楽しんでいました。高校を卒業後すぐに進学した者や自分と同じ様な経歴の者、社会人からと、小さな学校の割には人材が多彩で刺激がありました。はじめは自宅から通学し、途中から谷保天のすぐ傍の古い長屋風の借家で暮らしました。真夏に何人も集まり遅くまで騒いでいたのを思い出します。浪人の頃の悶々としてやり場のない憂鬱感とは違って、虫や、ネズミまで出て、冷房もなく、冬はすきま風の入る狭い部屋での生活は、ひどかったとも言えるけど、楽しいことも多く、大変懐かしいと思える事でもあります。創形に進学したのは正直、浪人が長くなったということでした。浪人が長かった分だけ、研究科や、職員にまで知り合いがいて、入学時から緊張するというより解放された気分でした。そのためか、研究科に進学するまで真摯に自分の表現について考えるという態度は少なかったように思います。そのことは、卒業時に様々な講師の方から指摘され、自分の弱さの現れとだったと考えています。友人の中には在学中から様々な試行錯誤を繰り返し、自分の表現方法をつかんでいった者もいたけれど、自分は割り切ることが出来ずただ日々を重ねていただけでした。研究科に進学した後では、もう少しひたむきにやっていたように思います。馬鹿騒ぎも少し減っていました。 研究科を修了した後は、すぐに美術予備校に就職しました。それまでの教えられる立場から、直接制作を指導する訳ではないにしろ、少なくとも美大受験予備校の職として学生と接することに、多少の違和感と矛盾を感じながら、そのまま現在まで働いています。しかし一方で以外に順応している自分も発見できました。それまで触れたことのないパソコンで広報用のチラシの作成やデータ管理、あるいは、見学者の応対や学生の進路の相談まで様々なことを行っています。大きな会社とは違い運営に関するあらゆることに携わることは、忙しい反面学ぶことも多く刺激の多い日々を送っています。そして、作家として活動している方々が周囲にいてアドバイスを受けることもあり、又、制作について理解してもらえることは恵まれた環境であると思います。気楽な学生の頃とは異なり、生活の上では様々なことがあり、その都度生活に対する価値観が変わってきました。浪人の頃からの知人で、創形の頃も他の友人達と共にすごしていた女性と結婚しました。その結婚直後、母が他界し、その死について考えさせられ、同時に、残され父のこと、自分たちの生活のことなど生きることについても考えざるを得なくなりました。ただそれよりももっと大きな変化を促したのは子供の誕生でした。制作する者同士の結婚は互いに理解者にも批判者ともなれる関係で、安心感と緊張感を同時に与えられていたように思います。しかし、子供の誕生は、生活のリズムから、習慣などそれまでとはまるで違ったものにしていきました。家からはたばこが消え、オーディオに入っている洋楽のCD はやがて童謡に変わり、子供が中心の生活になっていきました。また、こうしたときどうしても女性の方の負担が多くなり、同時に制作していくことを困難にし、それまでの緊張感とは異なった責任の重さをも加わってきています。ただ、子供の日々の変化は大きく、少しずつ様々なことを認識していく様子を観ていると、人間の意識や周囲の状況、自分の姿勢などについて改めて考えさせられます。そうした生活の中でともすれば日常と、子供との関わりの中で満足してしまいがちになるのを制作に引き戻すのは、活動を続ける友人達の刺激によるものだと思います。最近は個展の案内など以外に頻繁に連絡を取り合うことが減ってきましたが、学生の短い期間に得た最も大きなものは、そうした関係だったと思います。 これから先も様々な出来事を糧として、又友人に刺激されながら少しずつでも前進していきたいと思っています。 |
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| (ビジュアルデザイン科6期 高山裕子) |
| 暑い日、寒い日、雨の日。電車に乗る。そこから見えるたくさんの家、家、家。家の形がすき。毎日違う世界。そこでイメージの世界を考えてみる。 静かで広くて穏やかな場面。いつか行きたい場面。ピンク色の家は欠かせないかな。緑色の草、木。そこにどんな人がいるのだろう。ある生活の一場面。長い長い道の向こう。ほんとうに人が住んでいるのかどうかも分からない。動物がいる。馬、犬、鹿・・。暖かい風が吹いている。少し懐かしいような場面。まっすぐで飾ることのないかんじ。あの色とあの色が重なったかんじを思い浮かべる。 そんな毎日のトレーニング。絵を描くという行為だけにとどまらない、いろいろな出来事。毎日のわたしがわたしのイラストレーションにつながっていきます。いろいろな気持ちが大事。友達と遊ぶ。旅行をする。映画をみる。お茶をする。本を読む。笑う。全て大切。人と出会う。そして、少なからずの影響を受けて毎日、毎日変化していく。いろいろなものに興味を持つ。良い日悪い日。そんな日々の変化そのものを絵にして、大きくなっていきたい。現在、副手という仕事を通し学生だったころの私を客観視し振り返ってみたりします。やるしかない今と比べて何をやればいいのかすら分からない。四回の個展を通してやっと発展途上の段階になれた気がします。「まだまだ恥をかくことが必要」先日の個展で若尾先生に言われた言葉。肝に銘じて。毎日を楽しく、嘘なく、自然に、まわりの人々を大切にしていくことを心がけたい。私もいいものをたくさん見てたくさん感動したい。そして義務として感じる事なく楽しく描く。自分が何を表現したいのか表面的なことだけでなく考えを持つということ、そして自分から学んでいくということを学んだ創形での学生生活は、私にとって今後大きな力となると思います。 これから先どんな場面に出会えるか私にも分からないけれどできる限り追いかけていきたいと思います。 |