鮎は、サケ・マスの親戚で正式にはサケ目の位置付けになります。
広くアジアの東部…太平洋岸一体の河川に生息していますが(日本、
北朝鮮、韓国、中国、台湾)特に日本での生息域が最も広く、英語で
も「Ayu」と言われるくらい、我が国特有の魚となっています。古来…、
夏の風物詩でもある「鮎」は、別名「年魚」と呼ばれ、誕生からわずか
1年でその一生を終えてしまいます。一部に(温水域…近くに温泉等
があり、冬でも暖かい川)年を越す鮎もいますが、これは稀な例です。
その鮎を「ふるせ」と呼びます。
秋口に川の中流域(瀬)で産卵し、仔魚となって海に下り、冬の間中
河口域で過ごし、翌年の春先…体長約5〜7cmになると一斉に上流
を目指して遡上します。天然遡上の多い川では、4月〜5月にかけて
堰を駆け上る稚鮎の乱舞を見る事が出来ます。仔魚の時は主に水中
のプランクトンを食べていますが、遡上した川では石に付く珪藻類を主
食とします(通称:こけ…正式には、珪藻、緑藻、らん藻等)。稚魚の時
は、集団で過ごしていますが6月〜9月(盛期)になるとそれぞれが川
の石廻りに「なわばり」を持ち、特定のエサ場とします。鮎の口は特殊
でこの珪藻類をかきむしる為に大きな櫛状歯となっています。盛期に
川の石が黒々としてひかり、良く見ると鮎が食(は)んだ跡が、まるで
矢羽根模様のようになっています。この様に、珪藻類を主食とする為、
鮎はその魚体の香りが「スイカ」や「きゅうり」と同じで…その為、別名
「香魚」とも呼ばれます。
9月に成長しきった鮎のなかで、30cmを超える…通称「尺アユ」とい
うものも見られますが、一般的には25cm前後で成長が終わります。9
月末頃から、下流の瀬に向かって下り始め、体も婚因色(黒色)に変化
します。通称これを「落ちアユ」といいますが・・・産卵を終えたアユたち
はやがて死に、短い一生を終えます。