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報知新聞(78.10.5)の記事 |

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| 身障者が初めて舞台で本格的にあの時代劇のヒーロー、国定忠治と座頭市を演ずる。名づけて「忠治意外伝」(3幕5場)――16日、東京・台東区の浅草公会堂で「浅草歌祭文」(加藤登紀子、野坂昭如らが出演)の昼の部(午後1時、入場無料)「ヌーベル・ギャグがやってくる!!」の“超目玉”番組として行われるものだ。3日夜には座頭市役の“断髪式”も完了した。身障者たちは「ぜひ欠陥だらけの社会福祉を糾弾する初舞台にしよう」と張り切っている。 |
| けいこ場になっている東京・台東区松ヶ谷福祉会館はなごやかな笑いのうずにつつまれている。 「きょうはうれしいおメカケさんとのからみだな。○○ちゃん、オレ歯みがいてこなかったからね」と忠治親分役の本間康二さん(26)が冗談をとばすと、あわてて「そんなの本にないわ」とホオをあからめる情婦役の若い女の子。 ――赤城の山も今宵かぎり……の名セリフをはいた忠治親分も、晩年は中風になって下半身がままならなかったという。「うん、こういうのは面白い。これだったらオレにピッタリだ」1種1級の重度障害者で、車イスの生活を送っている本間さん。なるほど晩年の忠治なら「これぞ“迫真”の演技」かもしれない。 一方、居合切りの達人、座頭の市っつァんを演じるのは現在、筑波大学付属盲学校理科学3年生の佐賀善司さん(22)。 |
| 本間さんを核に身障者のボランティア活動家がスクラムを組んで“いざ序幕”へと動き出したが、この芝居、実現へのチャンスを与えてくれた人がいた。下町文化を復興させようという意気に燃えた、月刊「下町タイムス」の編集人、今泉清さん(42)である。 知人の本間さんに誘いをかけたのは8月末だった。「こっちは夜の部(午後6時半)だけのつもりだったんで、あいている昼の部を自由に使ってはと提案したんですが、こんなに大きなショーになるとは、こちらも負けられませんよ」 今泉さんの手引きで演出家の飯田一男さん(42)が助っ人に加わり、その一方で、脚本づくりに本間さんも車イスで国会図書館へ、国定忠治の史実の掘り下げに出かけた。元来、小説家志望だけに筆は早く、わずか2日で完成した。 その中身たるや、時代劇というのに冒頭からピンク・レディーや山口百恵のヒット曲「絶体絶命」が場内に流されて、爆笑のうずをまきおこそうというねらい。「いうなれば、時代考証を全く無視した、そう、この間までやっていたテレビ朝日の『浮浪(はぐれ)雲』(日曜夜8時)のようなもの」と本間さん。ともかくも中風の忠治と、冴(さ)えを失った座頭市のコンビが、大前田英五郎に刃向かってみようじゃないかという内容だという。 なんとも、ハタ目には残酷すぎるようだが、本間さんは「それが間違いなんですよ」と芝居の役どころに、よい意味での障害を売り物にするときっぱり。「“中風でこんなにやせちゃった”というセリフのあとで、自分のギスギスした足や平べったい胸を見せて“まるで洗たく板みたいだな”というつもり。ぼくはそこで、笑ってほしいんですよ」 |
| 飯田さんに“舞台費用”を見積もってもらったら「120万円かかる」ということで“大節約政策”も打ち出された。40万円はかかる背景や建物といった大道具は、明治座の物置をあさって、踊りに使われる背景をなんとか見つけ出し、忠治の家も1軒で我慢。障子とふすまの交換でなんとか別のもう1軒にカムフラージュした。これで30万円ほど節約。 それに、捕り方は浴衣でいいとか、足袋やさらしは自前、化粧も知人の美粧家に頼み込み、ひとりで出演者20人のめんどうをみてもらう、など涙ぐましい努力……。なかでも圧巻だったのは、座頭市役の佐賀さんの頭の問題。「だれかが坊主にしたらという声をきいて一瞬どきっとしましたが、全員一致では……」と3日、とうとう佐賀さんは“青刈り”された。 |
| 「ぼくね、居合抜き、自信があるんだ。つえでアブを落としたことがあるからね。まあ、0・7秒の早業を訓練中です」と佐賀さんは余裕しゃくしゃく。 身障者同士が仲間うちだけで芝居をすることは施設内ではあるが、一般人と対等に、本格的な芝居となれば、画期的なことになるだろう。「テレビではタブー視されている差別用語も、身障者の強みで舞台でジャンジャンいうつもり」と本間さん。佐賀さんも「差別用語ぐらいで福祉精神だなんて……。われわれが臨んでいるのは一般社会人として認めてくれる善意なんです」とひと波乱まきおこそうという意気込みだ。 |
| 今泉 清さん(下町タイムス編集人) 「福祉を単なる善意だけで終わらせる考え方が一般に多いですね。まともに暮らせば普通人の年間所得の倍もかかるからといって、施設にとじこめておくという考えではダメ。社会復帰できるよう側面からのバックアップが待たれます。それには身障者ということで、深刻に見られるのは本人たちにとって迷惑なこと、この芝居はそれをパロディーでみせてくれるんですよ」 |
| 八代 英太さん(参議院議員) 「いまは障害者のために、バスケットや社交ダンスが企画されてはいますが、やっぱり、障害者自身が気を吐かなくては……。芝居はかなり深刻なパロディーとか、見る方も大いに明るく笑い合ってほしいですよ。障害者だって、同じ人間なんですからね」 |
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作家をめざして 筑波大で訓練中 |
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| 車イスに乗った青年をリーダーとする身体障害者が「うわべだけの福祉を笑いとばしてやりたい」と“深刻劇”「忠治意外伝」を上演することになり、いま練習に励んでいる。作、演出、主演とも、月刊誌「障害者問題」を編集、発行している台東区東上野6ノ30ノ1、松竜荘内、本間康二さん(26)。 (註:演出はプロの演出家の飯田一男さん。 「障害者問題」は、正しくは月刊紙=新聞体で「月刊障害者問題」) |
| 劇のストーリーの主人公は、嘉永3年7月21日にメカケの「お町」の家で脳卒中を起こして言語障害になった国定忠治。ロがきけなくなった忠治にあいそをつかしたお町は手切れ金を持って逃げ出しも子分たちも“退職金”を奪って忠治を見限る。そこへ盲目の座頭市が「昔世話になった」と忠治をたずねてくる。そして関所破りや殺人のカドで追ってくる捕り手や「忠治のシマをいただこう」とねらっている大前田英五郎一家との戦いとなる。 新国劇をもじって深刻劇と各付けたこの劇、本間さんは図書館へ通って調べ、史実になるべく忠実に書き上げたというが、当時はなかったラジオを聞きながら忠治がキセルにハイライトをさして吸っていたり、ピンク・レディーや山口百恵の歌が出てきたり「試験管ベビーで身内をふやそう」とメカケと話し合ったり、コミカルな味もとり入れて現代色も豊か。 主人公の忠治を演ずるのが本間さんで、座頭市役は埼玉県川口市西青木4ノ7ノ13筑波大付属盲学校生徒の佐賀善司さん(22)。本間さんは幼いころ小児マヒにかかって半身不随の車イス生活を送っているが「障害者問題」の取材で知り合った佐賀さんと意気投合。“芝居”を書きたいと思っていた本間さんが脚本を書き、「まじめな喜劇」と自ら呼ぶこの「忠治意外伝」を完成、いま自宅近くの台東区立松が谷福祉会館の一室一を借りてけいこ、仕上げに忙しい。 この劇は16日午後4時から浅草公会堂で上演されるが、3日には座頭市にふんする佐.賀さんの“断髪式”も行うことになっており、佐賀さんはカツラを使わないで本物の丸坊主になるとの張り切りよう。 本間さんは「劇の中ではツンボ、メクラ、カタワなどのことばがポンポン出てきます。身障者が上演する劇はいままでになかったし、現実をもっと見つめようというところから、メクラ、ツンボなどという言葉を故意に多用しました。またわれわれにもこれだけはできるのだということを仲間たちに知ってもらいたいという意味もこめてやっている」と言っている。 当日は第1部が「放送禁止歌謡曲特集」で盲目の7人のバンドが「網走番外地」などの禁止歌を演奏、第2部がこの芝居(上演時間約2時間)。上演費用は大道具、小道具、衣装代などで計120万円くらいかかる計算だが、カンパだけが類り。すでに身障者グループなどから好意ある申し出がきているが「私たちはしろうとだが当日は、一入でも多くの入に見てもらいたいだけなので入場は無料です」と本間さん。当日はキャラバン隊を編成して呼び込みをしなくては」――と協力者が一人でもふえてくれることを願っている。 |
| 立ち上げ!. 反逆としての小文化. 公演を見た人々の感想. スポーツ芸能紙に載った!. 戯作者・演出家・登場人物の抱負(当日パンフレットより).● |
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