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| ベルリンの北80キロ――気候峻厳なこの地を、誰いうともなく“メクレンブルクのシベリア”と呼ぶようになった。 そこに1939年、女性専用のラーフェンスブリュック収容所が開設された。当初、主に国内政治犯の施設だったここが、ナチの侵攻による戦火拡大につれて、翌年からは続々と外国人が送り込まれ、やがて処刑が頻発する“死の収容所”へと様変わりする。 国家とナチ親衛隊=SSはおもてむき売春を断罪し、一般女性に純潔・堅気を奨励しながら、裏では兵士の士気高揚、囚人労働の能率向上をめざして国策としての売春を推進した。この強制売春政策にラーフェンスブリュックが果たした役割はおおきい。 1940〜1942年にかけ、このラーフェンスブリュックをはじめ、他からと合わせた計3万5000人の女性たちに過酷な売春が強制され、その多くが殺害されたと伝えられている――だが、そんな記録にも載ることがなかったもう一つの悲劇の実態があった。 七特こと第七種特別女子収容所――そこでは強制売春はもちろん、SS兵士らの気まぐれによる性リンチ、性拷問、淫趣味な性感実験、さらには解剖虐殺などもおこなわれ、人工地獄にのたうちまわる犠牲者の涙の呻き、血の叫びの絶える日はなかった。 → 最新〈ヴェラ・後篇・その1〉へ |