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| トアール大学の大学院生であるベティは非常に成績優秀でしたが、リストラで職を失った親の懐を当てにできなくなり、奨学金と日々のアルバイトで生活費を稼ぎながら研究生活に励んでいました。 そこへアルバイト先のスーパーマーケットが営業不振で倒産してしまい、このままだと生活だけでなく、学業にも支障をきたすことから別の働き口を探しましたが、条件に合った仕事は見つからず困っていました。 そんな時、某研究所に就職した彼女の先輩エリーが電話してきました。 「ある研究の実験台になってくれる被験者を探しているんだけど見つからなくて……貴女の大学で誰かやってくれそうな人はいないかな?」 「研究の実験台の被験者? どういう実験なんですか?」 ベティが聞き返し、先輩は、 「そうねえ……人の大脳に電気的信号を送り込んで、その人に好きな夢を見させることが出来る装置とでもいったらいいかしら。ちょっと疲れるぐらいで、害は無いわよ」 と軽い調子で答えました。 〈被験者ということなら、かなりなお金になるのではないかなあ〉 ベティは思わず、 「先輩、その被験者の役、私にやらせてもらえませんか?」 つい意気込んで自分から買ってでました。 「貴女が? それは助かるわ。だったら、博士に連絡しておくから、明後日、研究所に来て頂戴。受付には話を通しておくからね」 「分りました。あの先輩……報酬はちゃんともらえますか? 実験だけして、報酬はもらえず仕舞いというのはイヤですよ」 頭の中で計算機をはじき、しっかり念を押すのも忘れませんでした。 「大丈夫よ。とりあえず前金で30万円払うわ、そして実験が終了した後で、もう30万円払うから、銀行の口座番号を教えて頂戴」 そうしてベティはエリーに自分の銀行口座の番号を教え、行く時間やなにかを聞いた上で電話を切りました。 * 翌々日、ベティは電車とバスを乗り継いで人里離れた山の中にあるエリーが勤務している研究所に行きました。 研究所の入口で実験の被験者として呼ばれた旨を話すと、しばらくしてエリーが電動カートに乗って現われました。 「よく、来てくれたわね。早速実験室に案内するわね」 と言ってにこやかに迎え、一緒にベティを乗せて、ある建物に連れてゆきました。 そこは2階建ての堅牢なコンクリート造りの建物で、エリーはドアに設置されている静脈認証装置でチェックを済ませると、彼女を連れて一緒に入ってゆきました。 建物の中は様々なコンピュータと電気機器がところ狭しと並び、天井には大小のケーブルが何本も走ってコンピュータや電気機器に繋がっていました。 エリーの後について中に入ったベティは、その様子に驚きつつも、好奇心と欲得ずくでどんどん進んでいきます。 「やあ、よく来てくれたね。被験者が見つからず、ちょっと困っていたんだ」 奥にある研究室のデスクに座っていた白衣の男性が歓迎して出迎えてくれました。 「いいかね、この実験は神経医学の発展にきわめて大きく貢献することになるのだからね。さあ、ベティ、早速実験に取り掛かろうか」 と、いそいそとうながされました。 デスクの後ろに金属製のベットがあり、ドクターはベティに服を脱いで横になるよう指示しました。 〈どうして裸にならなければならないの?〉 とっさには疑問に思いましたが、既に振り込まれた前金30万円と合わせて60万円にもなるバイトです。多少のことは我慢しようと素直に服を脱いでベットに横たわりました。 金属製のベットは解剖台のように冷んやりとして、けっして心地良いものではありません。そこにエリーがベティの手首や足首、太ももや胴体を拘束帯で固定していきます。 「この実験は貴方の脳に電気信号を送り込むけど、実験中に動いてしまったら正確なデータが採取できなくなってしまうの。なので体を固定させてもらうけど、そんなにきつくはないから安心してね」 先輩の言葉に、ベティは納得して終始リラックスしていました。 やがてドクターは横の机に置かれたヘルメットを持ち上げ、ベティの頭に被せました。 「これは君の大脳に電気信号を送り込むヘルメットだが、人体にはまったく害は無いから安心しなさい。その間、君はいい夢をみることが出来ると思うよ」 ドクターはヘルメットが彼女の頭にしっかり密着していることを確認し、何本ものワイヤーの一方をヘルメットに接続し、もう一方はコンピュータの端末に接続していきました。 不安げな表情でドクターを見上げるベティ。だが大金がかかっているので、もう後戻りは出来ないと覚悟を決めました。 「じゃ、早速始めるよ。リラックスするんだよ、ベティ」 ドクターはコンピュータ画面に表示されていたプログラムの開始ボタンをクリックしました。 チチチ…… 彼女の頭に微弱電流が流れ、ベティは低いうめき声をあげて体を硬直させました。 ドクターは笑みを浮かべながら、その様子を見ていました。そして彼女の元に歩いて行って尋ねました。 「気分はどうだい、ベティ?」 |
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| ベティの体はヘルメットから送られてくる電流によって痙攣し、目は見開き、呆然としています。 「私……私の体に何が起こっているの?」 喘ぎながら尋ねました。 するとドクターはニコニコと歩み寄り、彼女を見下ろしながら恐ろしいことを言い出すのです。 「この実験は人間の頭脳を思いのままにコントロールするためのもので、君はそのための実験台だ。君はやがて僕の思いのままに行動するヒューマノイドになるだろう」 エリーとドクターは洗脳装置による刺激に喘ぐ彼女を見下ろしながらデータを収集し、モニターを注視しました。 〈そんな……! ドクターたちの思うままになるなんて〉 ベティは自意識を保とうと歯を食いしばりましたが、ヘルメットから送られてくる電流はどんどん強さを増し、彼女はその激しい刺激に耐え切れなくなりました。 「いやややアアア……も、もうやめてええええ……!」 と甲高い叫び声を挙げました。 だが、その叫びも完全防音の研究室ですので、外部に届くことは全くありません。またたとえ届いたとしても、研究所自体が人里離れた山の中にあるのでどうしようもありません。 ヘルメットから延びている、ケーブルが接続されているスーパー・コンピュータのランプが点滅します。 チューン、ピ、ピピッ!…… 電子音が鳴るたび彼女は、 「う、うわわアアア……グアアァァァ……!」 と一層激しく叫び、体を痙攣させました。 |
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| ドクターはベティを見下ろしながら、なおも楽しそうに笑いながら言いました。 「もうすぐだよ、もうすぐ楽になるよ」 そして、ドクターがコンピュータのキーボードを操作すると、ベティは自分の頭の中に何かが侵入するおぞましい感触を受けました。 「新しい思考を受け入れろ……」 「お前は私のヒューマノイドだ」 「お前は私のために尽くし、奉仕することを最高の喜びとするのだ」 ベティの頭の中に直接響く声が、脳みその中を引っ掻き回すかのように突き刺さります。 〈や、やめて……わ、私はあんたたちの言いなりに何かならない……〉 気丈な彼女の思いも、突き刺さる声にかき消されてしまいます。彼女の意識が遠のいていく中で、心の中に新たな声が響いてきました。 「私はヒューマノイド……」 「私はドクターのヒューマノイド……」 彼女はその声に抵抗しようとしますが、声といっしょに押し寄せる電気刺激の波状攻撃がさらに酷く攻め立てます。 そして精も根も尽き果て、抵抗する気力もなくなり、新たな思考に支配されたベティ――。 「私ハ、ヒューマノイド」 「私ハ、ドクターノヒューマノイド」 「私ハ、ドクターノ為ニ尽シ、奉仕スルコトヲ、最高ノ喜コビトシマス」 ベティの心はすでにロボットと化したようで、抑揚のない機械的な声で命令に従います。 ニヤリと笑って洗脳プログラムの完了を確認するドクター。ふたたび部下を指示し、エリーはベティのベルトを外し、その頭からヘルメットを取り除きました。 「さあ、こちらへ」 「ハイ、ワカリマシタ」 ベティはゆっくりと機械的にテーブルから起き上がり、ドクターの前に身をかがめ、性的快楽を与える行為を、ただ彼の言うがままに行ないつづけました。 * * * その後のベティの行方を知るものは誰も居ません。風の噂では、ある研究機関のドクターの元に身を置いているとのことですが、そこで何が行なわれているのか、彼女がどうしているのかは、ついに分からないままとなりました。 |
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