<僕はいかにして指揮者になったのか>佐渡裕著

キッカケは、私のご贔屓役者さんである石井一孝さんがライブの時に紹介していたから。

これね、一番最近、気に入った本なんですよ。
ていうか、気に入ったのは本じゃなくて、佐渡さんの思考回路。
もうねぇ、すごく、いいんですよ。世の中に媚びてなくて。
京都の方なので、会話部分が京都弁なのね。
バーンスタインさんも、小澤征爾さんも、みーーーんな京都弁(笑)。
そもそも、そんな書き方をする人、私、大好き。
おかげで、すごく読みやすくて、視点も面白い。
たぶん実際にお話すると、150倍くらい面白い人なんだろうなって思う。

あ、佐渡さんって知らない方もいますよね。簡単に説明しときましょうかね。

みなさんの中にもチケットを買われた方がいると思いますが、宮本亜門さん演出の舞台『キャンディード』の指揮者の方。
キャンディードやウエストサイドの作曲者であり世界的な指揮者である故バーンスタインの最後の愛弟子といわれていて、
とにかく型破りな人らしいんですわ。
音大では指揮科じゃなくて、フルートを専攻していて、いわば独学で『世界の佐渡』になった人。一種の天才なんだろうな。
身長が187cmぐらいあって、すごくいいガタイしてるらしく、私は実際に指揮をしている姿は拝見してないんだけど、写真を
見たり、噂を聞いた限りでは、ものすごーーーーーーーーーーーーーーく、熱そう。

そうそう、面白い例え話があるのでご紹介。
これは石井さんがライブの時に言っていたんですが、通常「相手役を食っちゃいそう」といわれている石井さんが、
「食われそう」なくらいパワフルな指揮をしているそうです。(稽古風景を見てみたい!)
どうでもいいけど、本の薦め方といい、上記の話の時の嬉々とした表情といい、石井さん、かーなーり佐渡さんに
ラブラブとみた(笑)。
でもね、その気持ち、なんとなくわかるなぁ。

この本は、佐渡さんの小さな頃の話から、指揮者になるまでの道のりを書いた自伝的エッセイとでもいうのかな。
とにかく等身大の佐渡さんが、生き生きと動き回っている。

私が一番、気に入ったのは、「飽くなき欲求」に忠実なこと。
何事も中途半端にしないし、ダメモトでも諦めず、「とにかく、やってみる!」という姿勢が文面からも溢れていて、
うまく表現できないんだけど、スコーンと突き抜けてるって言うのかな、すがすがしいくらいクリアなスケールの
大きさを感じる。
本を読めばわかるんだけど、決して順風満帆じゃないんですよ。

指揮者になる前は、演奏会の後、楽屋に押しかけては「弟子にしてください」と申し込んで、ことごとく断られた
苦い経験をもっている一方で、弟子になって3ヶ月くらいで破門になっちゃったりもしてるのね(^^;;;;)。
弟子にして下さいって言って、ことごとく断られたことがある人は、少なからずいるかもしれない。
弟子になって3ヶ月で破門になった人も、そりゃ、いるだろう。
でも、両方経験している人って、意外とすくないんじゃないかなぁって思う(笑)
そういうところはモロ私好み。

思うようにいかないこともいっぱい(たぶん人並み以上に)あったようで、部屋中にヤツ当たりしてたりするし、
履歴書がゴミ箱行きになったりもしてるんだけど、どこかユーモラス。
結果は吉と出るって、既にみんな知っていて、バリバリのサクセスストーリーだから苦労も明るく読めるんだよって
言っちゃえばそれまでなんだけど、仮に、結果が凶と出て、今、指揮者崩れで、観光客相手に、うらぶれたガイドを
していたとしても、すごく魅力のある人だろうなって思わせる何かがある。

私が特に気にいったのは、ウィーンに留学する時、2人のスポンサーがついたようだが、その人たち宛に受け取った
お金をどう使っているか報告した記述。
「今月は××演奏会に行き、とてもいい経験ができました。他にも百五十円の席で二十回オペラを見ました。」
この報告は「苦労して勉強しようと思わないで、元気で、いろいろなことを身につけて遊んできてくれたらそれでいいです。」
といってくれたスポンサーへ、せめてもの誠意として月に一回送っていたものらしい。
ということはですよ、1ヶ月でオペラ20回。これはなかなかにスゴイと思う。

話はちょっとそれますが、何を隠そう、私も昔、1ヶ月に24回(←4回勝ちぃ〜♪)芝居に通ったことがあるのだ。
連続芝居というのがあって、連続ドラマのように登場人物が同じで、続きものだけど、毎日違うストーリーの芝居でね。
毎週水曜日がお休みで4週間。
全部見たらタダ!というのにひかれてチャレンジしたのだった。
最初は100人くらいいただろうか。一人減り、二人減り、最後に残ったのは、たしか6人くらいだったと思う。
ええ、凝り性な私は、見ましたよ。全部。勿論、お金も返してもらいました(笑)。
シアターグリーンという、狭ーーい桟敷席の劇場でね。全席自由だから、毎日毎日、30分以上は並ぶの。外で。
いくら好きとはいえ、これはもう、修行に近い感覚(^^;;;;;)。

でもね、どんなことでも、継続して、とことんやってみると、何かが見えてくるんだよね。
佐渡さんは、どうして20回も見る気になって、何が見えてきたのか、ぜひとも聞きたいなって、「世界的指揮者の佐渡」
じゃなくて、「なんだよぉ!もしかして私と同じ血?な佐渡」にとても興味を持っちゃった。

そんなこんなで、私は佐渡さんに惚れてしまった。
佐渡さんの吸引力ってすごい。
この本読んでて、「日本にもこんな人がいるんだぞ!どうだっ!!」って誇らしくなっちゃったもの。

自分の人生考えてて、後ろ向きになっちゃった人がいたら、ぜひぜひ、読んでみて。
何かヒントが隠れてると思う。

余談ですが、私ね、実は、この4月から、習い事をはじめましてね。
それが毎週月・金で1年間なんですよ。
でね、はじめるにあたって、そんなだいそれたことはできないんで、とにかく皆勤を目指そうという目標をたてたんですね。

ところがどっこい、キャンディードの初日って、金曜日なんですよねぇ・・・・・・(T-T)。
当初、私は石井さんには悪いけど、自分の目標をまっとうさせてもらうわ!って思っていて、入手したチケットを
売ろうとしてたんです。
ところが、But、しかし、この本読んだら、アッサリ、休む決心がついたのでした(^^;;;;;)。
それほどまでに、入れ込んだ本(=人)です。

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『僕はいかにして指揮者になったのか』

佐渡裕著

はまの出版 ¥1,500

普通の本屋より、大きめの楽器店の楽譜書籍のコーナーに行くとあると思います。
ちなみに、私は、YAMAHAで見つけました。

2001.05.25


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