なんてったって歳三めぐり

「歳三」とは、言わずと知れた、新選組副長土方歳三のことである。
日本中が熱に浮かされた幕末という時代を独自の思考で駆け抜けたスーパー小市民。
明治政府に「新時代」を高く売りつけ、士道とともに散華した男。
敗者の美学は、時に、勝者の功績にも勝る。

知る人ぞ知る、私は、戦国・幕末マニア。
正確に言うと、真田幸村と土方歳三のマニアである。この二人は、ともに、その時代の敗者。
今、時代は流れ、人々の記憶の中では、むしろ勝者といっても過言ではないだろう。

私は、時空を越えて、しばしば、歳さんに会いに行く。


#####高幡不動編#####

新宿から京王線で30分から1時間くらい。
ココには、歳さんの生家(土方歳三資料館)やら、お墓(石田寺)があり、週末ともなると、
歳三めぐりの人々で賑わう、メジャーなスポット。

あっちをみても、こっちをみても、「土方」という表札がかかっていて、妙にウキウキしてしまう場所。
歳三最中やら新選組せんべい等、おみやげものも、なかなか歳三(笑)。
全体的な雰囲気は、やはり「いまどき」な感じになってしまっているけど、昔ながらの家並みもかろうじて
残っていて、夕暮れ時に浅川(多摩川の支流)をぶらぶら歩く時など、「ケッ。ここも歩きにくくなったぜ」
とかいいながら、歳さんがついてくる気がしないでもないです。

初めて、ココに来た時、浅川の土手にクローバーがいっぱいあって、歩きながら横目で見ていて
こんなにいっぱいクローバーがあって、こんな思いつきでチラチラみるだけで、四葉が探せたら、
ラッキーだよなぁ。そうとうココに縁があると思っていいよなぁ・・・なんて、漠然と思っていたら、結構、
大き目の四葉が見つかり、それ以来、すっかり、ココが気に入ってしまいました(笑)。>ハイハイ。私は単純

その昔、私は、土方マニアがこうじて(^^;;;)、高幡不動に住もうとし、父に「家を出て行くのは嫁に行く時にしてくれ・・・」
と止められ(今じゃ、止めるんじゃなかった・・・とため息つかれてますが・・・笑)断念した経験があります。
その時、申し込みをしたアパートの管理人さんも、たしか土方姓でした。
ああ、一生のうちにせめて1年でもいいから、住みたいな。>高幡不動(ちなみに京都とフランスも)

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土方一族の中でも、お大尽と呼ばれるほど裕福な家の末っ子である歳三。
この多摩時代が、私は一番好きだな。なんか、お茶目で。
ヘタくそな俳句を残してて(^^;;)、その時の歳さんのお茶目な雰囲気をうかがい知ることができる。

(赤間倭子著「新選組参照」より)

佐藤c氏(歳さんの姉の嫁ぎ先である佐藤彦五郎氏の子孫)とお腹をかかえて大笑いした句に
「鶯やはたきの音もついやめる」がある。
彦五郎邸に居候していた歳三が、姉ののぶのいいつけでもあろうか、着物の裾を尻はしょりにして、たすきをかけ
障子にハタキをかけている。
鶯の鳴き声に思わずハタキをかけるのを止めて、聞きほれている彼。
「なにぼんやりしているの。さっさと掃除しなさい。」という姉の叱言に、またあわてて手を動かす彼。
佐藤氏のその説明と歳三の真似のうまさに、涙をこぼして笑った覚えがある。

当時、毎年大晦日に佐藤家で餅つきをした。ちょうど、近藤勇も土方歳三も来ていて、餅つきを手伝ったそうだ。
近藤は、まるで試合のように「エイッ。オウ。」と気合をかけて、杵を真っ向から大上段に振り下ろしては汗をかいてつく。
ところが歳三ときたら、ふざけておどけた仕草でつく。あるときは、わざとつき損じてみたり、ちょっと卑猥な仕草を
したりするので、見ている者達は腹を抱えて笑った。とある。

もう、この本を読んだ時、役者のようないい男(←歳三を知ってる当時の人の弁)だけど、二次元っぽくて、
いまひとつ、把握しきれなかった歳さんが、急に三次元化して、生き生きと動きだし、身近に感じました。
それ以降、私の中の歳さんのイメージは、これで固定してしまって、いくら鬼副長だの皮肉屋だの冷酷だのと
描写されてても、「でも、歳さんだしぃ・・・(笑)」で、一蹴されてしまう。

京都とかではバカにみられるのが嫌で、むっつりしていたみたいだけど、本来は、お調子もんで、愛嬌のある奴
なのではないかな。

というわけで、私は、そんな、お茶目な歳さんに会うために、足繁く、この地を訪れることとなる。

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<土方歳三資料館>

京王線高幡不動駅より徒歩15分くらい。

歳三の生家で、今でも子孫の方(歳三の兄の直系)がその家で暮らしている。
ご厚意で、月に1回第三土曜日1:00〜4:00だけ公開してくれている。

平成二年くらいまでは、歳三の育った時のままの面影をとどめていたが、現在は、区画整理や維持修繕等の
諸事情で、やむなく取り壊されてしまった。
歳さんファンの私たちにとって、とても残念でしかたがないが、先祖代々この地に住み、慈しみ、ぎりぎりまで
保存の手を尽くしてくださった、当の子孫の方々の心中は、察するにあまりある。

こういうものは、一度取り壊してしまったら、もう取り返しがつかないのに。
公共機関からの手助けは、ほとんどなかったようである。
この土方家のように、人々の心の中では立派な歴史的遺産なのに、公に認定されていなくて、個人で莫大な費用を
かけ維持している所も多々あると思う。どうせ税金を払うなら、私は、こういうところに払いたい。

一応、入館料は払うのだが、それがとても微々たるもので、こちらのほうが、恐縮してしまう。
本当に「どうもありがとうございます」といいたい。

*所蔵品*

朱鞘の和泉守兼定(函館五稜郭で歳三が戦死した後、写真とともに遺品として届けられたという。長さ2尺2寸8分)

歳三使用の鉢金(三条なわ手の戦いで身に付けていたものらしく真面に2ヶ所の刀傷がある)

歳三使用の鎖帷子・鎖頭巾・手袋

歳三筆 豊玉発句集(うまいんだかヘタなんだか・・・^^;;;)

歳三が行商に使った薬箱

歳三の戦死を知らせる安富才助の書状  他

 

*私のオススメ*

---歳三手植えの矢竹---
幼少の頃から武人になって名を成したいと決意をしていた歳三は、16歳の時、自宅の庭先に武家の習いの矢竹を
自ら手植えしたという。
入口に向かって右の脇に、青々と茂っている矢竹。もう100年はたつんじゃないかという代物だが、意外と華奢で
16歳の歳三がニンマリ笑いながら、隠れているような気さえする。

---新選組関連の本---
かなり、たくさん置いてあり、読むこともできるし、勿論、売っている。
大きな本屋にしか売っていないようなものでも、たいがい置いてある。

---土方家の人々---
とにかく、歳さんの縁者にお目にかかれるだけでも、かーなーり、嬉しい。
しかも、とても、ファンに対して、温かく接してくれて、ありがたい限りである。

 

<石田寺>

やはり、高幡不動駅下車、徒歩15分くらい。
土方歳三資料館から、ぶらぶら5分くらい歩いてぶち当たる陸橋を渡った先にある。

もちろん、ここは、空墓地である。
歳三の遺体はどこにあるのか、いまだ、判明していないようだ。

歳さんのお墓は、立て札と、写真があるので、すぐわかる。
しかも、必ず、誰かいるから、全然、怖くないし、寂しくもない。

また、ファンの思いがいっぱい詰まった、ノートが、押入れケースにいーーっぱい入っていて、それを読んでるだけでも
アッと言う間に時間が過ぎてしまう。
なかには、漫画家もびっくりな、かっこよい歳三&総司がいたりして、なかなか興味深い。

私は、檀家じゃないのに、勝手に、水を汲んできて、かけるのが趣味である。(いいのか悪いのかわからない・・・^^;;)

私は、多摩の歳さんには漠然としたイメージがあって、気が向くと、京王線の乗り口のところにある花屋で、
花を買っていく時は、黄色が多い。
もし、みなさんがココへ来た時に、黄色い花があったら、貧乏さんかな?なんて想像してくれると、とても嬉しい。

*私のオススメ*

---カヤノキ---
境内に堂々とはびこっている感のある、でかーーーいカヤノキ。
樹齢500年だそうで、もちろん、歳さんもみているであろう。
そう思うと、なんだか、とても、感慨深いものがあるし、さわってみると、なんとなく、ありがたい気がして、私は、必ず
木に抱きついてくる(いい子はまねをしないように・・・笑)

---猫---
私が行くと、いつもいるんですよ。
入る時は、あまりみかけないんだけど、出てくると、必ずといっていいほど、ガンたれてくる(笑)。
しかも、道の真中にいて、態度LL。
私は、いつも、じーーーっとにらめっこをしてしまいます。
ちなみにいつも私が勝ちます。え?笑うわけじゃなくて、猫が目をそむけるんです・・・(^^;;;)。

 

<高幡不動>

ここは、駅を背にして右側にずーーっと行くと正面にたたずんでいる。
いつからだろう。私の初詣は、高幡不動になった。

今は、新しいお不動様が開眼したが、何年か前までは、歳さんの頃と同じお不動様で、ものすごく、感動した覚えがある。
また、とてもいい感じの表情をしているお不動様なので、機会があったら、新お不動様同様、お参りしてみて。
正月は、それこそ、ごったがえすけれど、辛抱強く並んで、ぜひぜひ、本堂の中で拝むことをオススメします。
誰でも自由に入れます。(但しお坊さんの説教があるので時間制)

境内に歳三の像があります。ちょっと、スカした奴です。
私は、いつも、この歳さんを見ると、「そんなにカッコつけんでも・・・」と照れてしまいます(^^;;;)。

境内の裏のほうに、殉節両雄の碑があります。
この両雄とは、言わずと知れた、近藤勇、土方歳三両氏である。
かなり、マニアな場所にあるので、うっかり見落とされがちかも。

*私のオススメ*

---炎のうちわ---
これ、厄除けらしいんですけど、普通のお守りやら、破魔矢より、気に入って、毎年、これを購入しています。
500円ですが、これまた、なんだか、お不動さまらしく、勇ましいうちわなので、お部屋にあるだけでも、がんばるぞっ!!
って気になります。

---骨董市---
これは、別に、歳さんには関係ないんだけど、よく、骨董市をやっています。
それこそ、浮世絵みたいなものから、古着の着物とか、雑多に物があり、結構、面白いです。

 

<浅川>

ここの雰囲気、とても好き。
土手など、ジョギングコースに舗装整備されてはいるんだけど、まだまだ、自然がいっぱいあって、気持ちよい。
川の水は、あんまりキレイではないけれど、日に反射して、きらきらしている。
オススメは、5月頃と、まだ、残暑の残っている9月。
子供達やカップルが、ぼーーっとしている脇で、足を川に突っ込んで、風を感じていると、極楽。極楽。
昼寝にも最適。
ここで、ひなたぼっこしている時が、一番、歳さんを感じられるかな。
ちなみに、この土手に生えている牛革草が、後に、新選組の常備薬となる家伝薬「石田散薬」の原料である。
牛革草の葉茎を乾燥させて粉末にしたもので、うちみ・くじきに効くとされていて、お酒で服用する。
現代の鑑定では、毒ではないが薬にもならない代物らしい。
新選組ファンとしては、毒じゃないんなら、一度試してみたいと思ってしまう。

物の本によると、土方家では、毎年、土用の丑の日にこの草を採集したそうだが、その時には村中の人々が手伝いに
きて、まるで、戦さのような騒ぎだったという。その大勢の人々を指揮するのが歳三だったが、その采配ぶりは、実に
見事なもので、誰もかなわなかったと伝えられているそうだ。

歳さん、やるぅ♪


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