広島ハイキングクラブ  山行記録
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2015年09月26日 槍ヶ岳


槍 ヶ 岳(3,179m)山行記録
2015年09月26~29日
9月26日(土)
台風も大陸へ向かい、心配された天気も持ちそうである。
広島駅に集合し、広島7:00発の新幹線で名古屋経由高山へ12:15着。
高山濃飛バスセンターからバスで新穂高温泉に14:15着、途中朴の木平スキー場辺りでガスが出て 小雨が降ったが、その後は快晴となり、バスを降りると青空を背景にした笠ヶ岳が目に飛び込んでくる。
絶景に、この山行への期待が大きくなる。
身支度をしてリーダーによる体操後、14:40出発。
すこし暑い位の気温の中、緩やかな右俣林道を歩くと、約1時間で穂高平小屋に着く。
林の中の牧場に併設した、こじんまりした今夜の宿である。
早々に名物の欅をくり抜いた風呂をいただく。
シルバーウィークのあとなので、ほぼ貸し切りであり、にぎやかに夕食を囲んだ。
2名の他のお客のうち1名が当ハイキングクラブのOBであったのには驚いた。(@_@)
中秋の名月(今年はスーパームーン)、満点の星の中、早々に就寝。

9月27日(日)
4時に起床し、天気も良く、気温もさほど寒くない中、山側を見れば明星とともに槍平小屋の灯りが見える。
(鏡を見ずに髭剃りをして、あごを切ってしまいました。(・・;))
弁当とお湯をザックに詰めて。
体操をし、5時にヘッドランプを点灯して出発。
5:30 笠ヶ岳とにせ槍が見える林道で、衣服調整の休憩をする頃に日の出となる。
白出沢の出会(6:15)で小休憩し、朝食をとる。
沢を渡渉すると山道となり、歩きながらヒカリゴケやゴゼンタチバナの実など植物の名を教えてもらう。
(覚えられなかった) 今日は標高差約1800m、9時間以上の長丁場なので15分から30分くらいの間隔で休憩を取りながら、ゆっくりと登っていく。
滝谷(8:05)で渡渉し、対岸で昨年人命救助中に亡くなったAさんへ線香を手向け黙祷する。
しばらく行くと絶壁を登頂した人の記念碑、藤木レリーフがある。
木々も色づきはじめた槍平小屋(9:25)でトイレ休憩と、軽く行動食を口にする。
標高約2000mのこの辺りは木々の紅葉が本格的になって美しいところだが、山道が急登になって、はぁはぁぜいぜいと喘ぎ、足下しか見ていない状態である。
最後の水場(11:15)で休憩と飲み水を補給。
この水が大変おいしかった。(^_^)v
標高2300mを越え、山道もかなりの勾配となった。
   SさんがKさんの荷物を担いであがっていく様は、すごい体力と感心する。(@_@)
自分は高山病からか頭痛がしてきたが、ゆっくりゆっくりのペースで登っていたので、やっとついて行くことができた。
飛騨沢の紅葉はすごくて、疲れも癒されるようであった。
千丈乗越(12:20~13:00)で長めの休憩を取り、ゴーロの急登(標高差約500m)を飛騨乗越まで登る。
(14:50) このころかなり足にきていて、いつ足が吊るか不安であった。
目の前に槍ヶ岳が迫り、遠くの山々まで見渡せる景観に圧倒されていると、急に冷たい強風が吹き、寒さで震え上がって防寒着を取り出した。
槍ヶ岳山荘まで登り部屋に荷物を置いて、槍ヶ岳の山頂へ向かう。
(15:30) 本格的な岩登りに不安があったが、基本どおり3点支持で行けば問題なく登れて楽しかった。
頂上での記念写真や、360度の景観を充分と楽しみ下山して山荘に入る。
(16:30) 夕日に染まった赤い槍ヶ岳と満月を従えた常念岳が幻想的な中、夕食をとって就寝。

9月28日(月)
4時半に起床し、天気が良く、気温も少し低いが冬支度までの必要はない中、外に出ると槍ヶ岳のシルエットの先にうっすらと赤くなる雲海があった。
5時半の朝食時に御来光が見られて、その後雲海の中には富士山や南アルプスが浮かんでいた。
自分の足が吊りそうだということで、今日のコースが変更となり、急登の3000m級の山々縦走から 槍沢を下って、景色のいい天狗原を目指すこととなった。
体操をして6:00出発、槍沢を下る。
殺生ヒュッテ別れ(6:55)で、槍ヶ岳をバックに記念撮影と衣服調整。
振り返れば、青空の中に槍ヶ岳がいつまでもあり、前方は、ハイ松の緑、ダケカンバの黄、ナナカマドの赤、ゴーロの白と雪渓、そのバックにいろいろな色に染まった山々と青空など秋色真っ盛りの槍沢と凄く恵まれた山行である。
坊主岩(7:37)で、播隆上人が篭もった播隆窟で休憩する頃には標高も下がり、高山病の頭痛はなくなった。
天狗原分岐(8:35)でザックをデポし天狗原へ、ゴーロばかりでザックを背負っていればへたっていたかもと、ぞっとした。
途中、ナナカマドの中を横切るときは凄くきれいだった。
天狗原の氷河公園(9:35~10:00)は、天狗池に写った逆さ槍で記念撮影し、まわりの山々の景色や紅葉に染まる南岳を仰ぎ、北アルプスの紅葉を満喫した。
分岐まで戻り(10:30)、横尾に向け下っていく。
水俣乗越の沢(11:35)やババ平(12:03)(標高約2000m)で休憩し、飲み水を補給。
槍沢ロッヂで昼食休憩(12:40~13:30)(標高1800m)。
一の俣、二の俣で小休憩し、横尾山荘へ15:10到着 最近建て替えられた横尾山荘はきれいで、しかも風呂に入れる(嬉し~い)。
入浴、おいしい夕食後、部屋に集まり、反省会(ミーティング)という名の楽しい宴会となった。
横尾大橋でスーパームーンを見てから就寝。

9月29日(火)
4時に起床し、5時の朝食時にお茶を補充して、体操をし、山荘前の前穂高岳に圧倒されつつ、 帰りたくない気持ちのまま6時に出発。
前穂高岳、屏風岩、明神岳と次々見える山々のなか、新村橋(7:00)へ。
林道を下り徳沢園(7:23~7:45)で大休憩し、コーヒーやソフトクリームで元気づけ。
明神岳の尖りに槍ヶ岳を想い、明神館(8:40)のこなしの樹の実を食す人もあったり、明神池右岸を歩み、木道を通って景観の良い岳沢湿原(9:45)で前穂高岳をバックに記念撮影。
上高地最大の観光地、河童橋(10:10)から見た穂高連峰は、天候も良く観光パンフそのものの景色に初めて来た自分は感激して写真を撮りまくる。
昼食をとった後、バスの時間まで買い物や散策を楽しんだ。
後ろ髪引かれる思いで12時のバスに乗り込み、新島々で松本電鉄に乗り換えて松本(13:55)へ。
松本駅では乗り換え時間があり、おみやげを見ていると色々買い出して荷物になるが、あとはJRだけなので奮発してしまう自分が未熟者?
松本(14:53)発、名古屋経由で広島(19:31)到着して解散しました。

          ☆

4日間をとおして天気に恵まれ、快晴・紅葉の中の山行で皆が無事、感激のうちに帰れたのもリーダーが無理をせず皆の体調に合わせた歩行と適度な休憩のおかげと共に、それぞれの参加者も規律を守って、和やかに一体の行動がとれたことがあげられると思います。
本当にTさん、Iさんには大変お世話になりました。
同行の皆様ありがとうございました。
          ☆

最後に、いろいろな山の会の中で「広島ハイキングクラブ」に今年5月に入会し、3回目の例会で登山を始めて2年半の自分が憧れの槍ヶ岳に登頂することができました。
これも、40年の歴史あるクラブで入会時は緊張していましたが、諸先輩の暖かい雰囲気のなかで迎え入れてくださったおかげで、年少者?でありながら、楽しく混ぜていただきました。
これをお読みの方、ホームページを見た方、一緒に山に登ってみませんか。
一般の人と行く山行もありますので、一度参加されてはいかがでしょうか。
お待ちしております。
(第一木曜日にある月例ミーティングに顔を出して話を聞くだけで直近の山行計画もよくわかるし、早くなじめやすいと思いますよ。)
次回の山行を楽しみにして、山行記録を終わります。
          (A班 小谷 英春)

    ~~~~~~~~~~~~~~~~☆~~~~~~~~~~~~~~~~

槍 ヶ 岳 山行記録(その2)

槍ケ岳への山行の日がとうとうやってきた。
今まで登ることに不安があり迷っていたので、いまだに心臓がドキドキする。
でも、もうやるっきゃないという気持ちで望む。

☆26日(土)
7:00 広島を出発。
私はハイテンションのまま、Iさんとずっとおしゃべり。
シルバーウィークの間、天気があまりにもよかったので心配していたが、当日天候に恵まれほっとする。
12:17 名古屋で特急「ひだ5号」に乗り換え、高山に到着。
12:40 農飛バスで、高山バスセンターを出発。
14:⒃ 新穂高温泉に到着。
目の前の高い山に、すでに感動。
景色が違う! 14:35 体操、記念撮影後、準備を整えて穂高平小屋へ向けて出発。
気持ちのよい川沿いの道をのんびり進む。
15:52 穂高平小屋に到着。
さっそく大きい檜をくりぬいたお風呂に入る。
小屋の方が薪で沸かし てくださり、ありがたかった。
さっぱりした後、品数の多い夕食を頂く。
ビールを飲む人あり、強いお酒を飲む人あり それぞれに明日への英気を養う。

☆27日(日)
5:00 穂高平小屋を出発。
真っ暗の中に見える、はるかはるか遠くの槍ケ岳山荘の明かりを、 山小屋のご主人が教えてくださり、今日あそこまで行くのかと茫然とする。
「よし、でもがんばるぞ!!」
6:12  白出沢出合に到着。
まわりは明るくなり、各自が持参した朝ごはんを食べる。
6:25  白出沢出合を出発。
白出のコルから穂高へと続く道を分けると、まもなく林道終点。
いよいよ登山道となる。
ここから先、数本の沢を横切る。
途中、Aさんに全員で黙とう。
樹林の中を進むと、岩の間にヒカリゴケの案内がある。
滝谷を仮設の橋で渡ると、右手の岩肌に藤木九三のレリーフが埋め込まれている。
9:23  熊の可愛い看板が出迎えてくれる槍平小屋に到着。
大きいテラスのようなところで長い 休憩。
ここで、みんな一息つく。
9:50  槍平小屋を出発。
しばらくは、おだやかな傾斜の道が続く。
標高2250m付近に、こんこんと水が流れる最終水場がある。
ここで水の補給をするが、あまりにも冷たくて手が凍えそうになる。
とても、おいしくてのどが潤う。
12:21  千丈分岐に到着。
救急箱が置いてある。
まわりの素晴らしい景色を見ながら昼食。
ナナカマドやダケカンバなどの紅葉もきれい。
おなかもいっぱい、気分も最高。
空の青さがすばらしい景色を引きたててくれるが、時々ガスがじゃまをしにくる。
風が強いので、景色は流動的。
13:00  千丈分岐を出発。
徐々に勾配はきつくなり、道は左へ右へと折り返す。
ダケカンバは消え、ガレ場状態。
広い谷を、ジグザグに登って行く。
14:50  飛騨乗越到着。
標高はすでに3020m。
槍ヶ岳が登場。
すごい強風の中、槍ケ岳をバックに記念写真を撮る。
15:00 あまりの寒さに、みんな槍ケ岳山荘へ向けて急いで出発。
体温が奪われ、手足が震える。
15:15 槍ケ岳山荘にやっと到着。
長い長い道のりを乗り越え、喜びのハイタッチをする。
山荘前のテラスのような所に座り、本当にここまで来たのだという喜びをかみしめる。
15:35 少し休憩をした後、いよいよ槍ケ岳にアタック開始。
天気は上々。
体が震えそうになるのを我慢しながら一歩一歩、手と足を進める。
リーダーのTさんが優しく、的確に声をかけてくれるので気分が段々落ち着いてくる。
はしごがあるので、思ったよりスムーズに登ることができた。
15:55 槍ケ岳登頂。
登る時より、山頂を移動する方が恐ろしかった。
狭い頂上の祠の前で、記念写真を皆で撮る。
天気がいいので周りの景色はよく見えるのだが、こわくて落ち着いて鑑賞できない。
16:05 登る時同様、下りるのもこわくない。
どうして頂上がこわいのか、自分ながら情けない。
16:30 山荘に到着。
長い長い槍への旅が一区切りつき、大きく深呼吸する。
またまた、皆でハイタッチをして喜びを分かち合う。
「やった~!!!」 今晩は、中秋の名月? 槍と美しい満月とのツ-ショットがすばらしい。
いい時に来たものだ。

☆28日(月)
朝5時15分頃、みんなで下山コース変更の相談をする。
みんなの体調を考慮して南 分岐の方には行かず、天狗原分岐方面に直進することになる。
6:30  槍ケ岳山荘を出発。
今日もすばらしい天気。
遠くには富士山の美しい姿がはっきりと見え、またまた感激。
富士山を見ながら下山できるなんて、なんという幸せ。
7:00  殺生分岐着。
槍が岳をバックに記念写真を撮る。
7:40  坊主岩小屋着。
Eさんお勧めの場所。
槍ケ岳を開山した播隆上人が利用したという岩穴を覗き込む。
8:34  天狗原分岐着。
10分程度休憩。
荷物を置いて天狗原の方へ行こうということになり、全員が参加。
9:35  天狗原、天狗池着。
ナナカマド、ダケカンバなどの紅葉がすばらしい。
何度「きれい~」と言っただろう。
天狗池には逆さ槍が映り、まわりの紅葉と青空がマッチして言葉にならないほど美しい。
このきれいな景色を見ることができ、寿命が5年ぐらいのびた気がする。
いつまでも見ていたい。
もちろん、ここでも記念撮影。
10:00  後ろ髪を引かれる思いで、天狗池を後にする。
10:33  天狗原分岐着。
「ザックさんただいま~。
」ここでまた10分ぐらい休憩。
   12:00  ババ平着。
10分程度休憩。
途中トリカブトの紫色の花が、きれいに咲いていた。
シシウドもたくさん、ハクサンフウロも見られた。
下山中、NHK「にっぽん百名山」の撮影スタッフに出合う。
11月9日に放映されるらしい。
絶対、見なくては!! 12:40  槍沢ロッジ着。
木陰で、のんびり昼ごはん。
槍ケ岳山荘のお弁当は、おこわみたいな炊き込みごはん。
おいしかった。
13:30  槍沢ロッジ発。
ここでゆっくりしたので、エネルギー充電OK!! 14:05  一の俣で5分休憩。
ここぐらいまでの川は槍沢。
ここから先を梓川というらしい。
15:12  横尾山荘にやっと到着。
途中で3匹のお猿さんと遭遇。
またまたうれしくてハイテンション。
(いったい何回ハイになるのか)目を合わせないようにしながらカメラでパチリ。
横尾山荘は、大きくてきれい。
ごはんも、おいしかった。
      今晩は、スーパームーン。
山の上にとびっきり大きい月が輝いている。
昨日も見たので、いい事があるかも。

☆29日(火)いよいよ最終日 今日もいいお天気。
4日間すべていい天気なんてすごい。
こんな山行始めて。
6:15  横尾山荘発。
あまりの気持ちよさにIさんと、ついつい歌ってしまう。
題名は「恋人よ~」 7:21  徳沢園着。
ソフトクリームがおいしかった。
みんなコーヒーを飲んだり、お土産を買ったりしてのんびり過ごす。
7:45  徳沢園発。
平日なのに多くの人に出会う。
「涸沢どうでした?」と聞いてくる人が多く「涸沢じゃなく槍です」と返答するのがちょっと、めんどくさい。
前穂高の美しい姿を右手に見ながら、梓川沿いに散歩しているような気持ちよい歩き。
8:40  明神館着。
10分程度休憩。
コナシ、マユミなどの赤やピンクの実がなっていて、きれい。
まさに上高地という雰囲気が、どんどん強くなってくる。
10:00  上高地着。
各自自由行動。
バスターミナルでKさんが、みんなに買ったばかりのりんごを切ってくださる。
おいしかった。
12:00  上高地よりバスで出発。
なごり惜しい景色を目に焼き付けようと、眠い目を開けてバスの中でもきょろきょろする。
13:02  新島々バスターミナル着。
駅前で野菜や果物を売っていた。
さっそくりんごをゲット。
13:26  新島々駅発。
しつこく遠くの山並みを見る。
途中、かわいい小学生の団体が乗り込み、賑やかになる。
小学生から電車通学なんて大変ね~ 13:55  松本着。
それぞれ切符を買ったり、お土産を買ったりと自由行動。
私はスタバでのんびり。
偶然にも、隣の席に山帰りの女性二人連れ。
四国から来られたとのこと。
山の話で盛り上がる。
14:53  松本発。
特急しなの16号。
  17:02 1分遅れで名古屋着。
17:14  名古屋発。
だんだん現実が近くなってくる。
今までまるで夢の世界にいたみたい。
19:31  とうとう、広島に着いてしまった。
                        ☆

登ることをためらっていた私の背中を押して下さった方々、思い切って行って本当によかったです。
今までで一番と言っていいほどの素晴らしい思い出ができました。
4日間とも素晴らしいお天気に恵まれたことも幸せでした。
(こんなに長い山行記録を書いたのは初めてです。
帰ってから一生懸命思い出して書きましたが記憶違いがありましたら悪しからず。)
~ご一緒したみなさん、楽しかったですね~
そして、担当のIさん、Tさん本当にありがとうございました。
お世話になりました。
                                (B班 記録 村上)

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槍 ヶ 岳 山行記録(その3)
1日目 7:00 新幹線・広島→名古屋→高山→バスで新穂高ロープウェイ乗り場→穂高平小屋
バスを下りたら、目の前にアルプスの山々が圧倒的なスケールで聳えていた。
ストレッチをして、今日、泊まる穂高平小屋まで、ゆっくり木立の中を歩く。
ここでは、小屋の主人がお風呂を沸かして下さり、檜造りの熱々の湯が、とても気持ちが良かった。
きのこ汁も、おいしく頂きました。(標高差300m上がる)

2日目 穂高平小屋→槍平小屋→千丈沢乗越分岐→槍ケ岳山荘
5:00出発 ヘッドランプを点けて、辺りが真っ暗の中を歩く。
遥か遠くに、槍ケ岳山荘の灯が見える。
ほどなく夜が明け、川に沿ってしばらく歩く。
牛歩の如く、ゆっくりと歩を進める。
沢を渡り、徐々に高度を上げる。
ナナカマドの赤やダケカンバの黄と秋色の景色に代わって行く。
2600mでは、ハイマツの緑と草もみじの世界だ。
とても、綺麗だ。
やはり、牛歩の如くである。
ゆっくりと…と、この辺りから高山病予防の為、腹式呼吸を始める。
2700mでは、昔、氷河が削ったカールと岩の世界が広がる。
14時前、2800m地点に着く。
分岐ではガスがかかると思うと、横に風が吹き、槍の先が見える。
ガスと風が吹き上げ、寒い中、山荘に着いた。
ほどなく天候が快晴になり、槍の穂先に行くことになる。
SLがロープを用意し、万全の態勢の中、岩場に取り付き、ほぼ垂直にかかった鉄の梯子を登る。
下を見ることが出来ない。
やっと頂上に顔を出した時、3000mは「未知なる領域」だと云っていた人の、にこやかな顔が見えた。
とうとう来たんだ!! 小さい祠の前で記念写真を撮り、立ってバンザイをし、下を見ることが出来た。
その後、小屋に下り、夕陽に照らされた赤槍も見、満月の槍も見ることが出来た。
牛歩の如くは、高山病予防と疲れない登り方だと、後でわかった。
しかし、ガイドブックに書いてある所要時間と、ほぼ同じだった。
標高差1800m、約10時間の行程だった。

3日目 槍ケ岳山荘→天狗原・氷河公園→槍沢ロッジ→横尾山荘
6:00出発 岩陰に5㎝の霜柱発見。
雪渓も見える。
槍と日本晴れの空をバックに、ジグザグに続く道を下る。
天狗原分岐にザックを置き、紅葉を見に行く。
一面の紅葉と、岩と池とアルプスの山並み。
素晴らしい眺めだ。
池には逆さ槍も見える。
名峰には、紅葉や池が良く似合う。
槍沢ロッジから横尾までの道は、カラフルな高山植物が多く、元気をくれる。
猿の親子にも出会った。
梓川は、どこまでも澄み切った水と白い岩が美しい。
無事下山し、ストレッチをして、横尾山荘に入る。
お風呂が有難い。
若いスタッフと、広くて綺麗な山荘で気持ち良く、食後、我がパーティは楽しい一時を過ごす。
ここで3日ぶりに、ビールを飲んだ。

4日目 横尾山荘→上高地→新島々→松本→名古屋→無事帰広
一枚のプレートに数種類のおかずが盛られている朝食は、やわらかいハムが、とても美味しかった。
今日は楽な行程だ。
達成感と安心感、いろいろ混ざり、歌も飛び出す。
梓川の音と、こもれ陽を受けて木道を行く。
涸沢に向かう人達が、とても多い。

                    ☆

思えば1月、「今年は槍に登るぞ!」と宣言してから、毎月の山行に出来るだけ参加し、不安を感じた8月からは、ほぼ週1の山行トレーニングをして、槍に備えてきた。
期待と不安の中、四日間の素晴らしい晴天と、思いがけないスーパームーンにも恵まれ、最高の 孤高の頂きに登ることが出来たのは、ひとえに経験豊富なPL、SLのお蔭で、心より御礼申し上げます。
有難うございました。
同行の皆様、お世話になりました。
        (今 井)