■モルトア技能
◆『モルトア』とはラーバード種に伝わる独自の格闘技です。モルトアまず“掴む”事から始まる格闘技で、掴むことに成功すれば「掴み」状態になり、その状態から「モルトア独自の技」と「組み合い戦闘」に持ち込むことが出来ます。「掴み」状態から「組み合い戦闘」に移行する場合、「組み合い戦闘」同様ラウンドの最後に行動する事になります。モルトアは組み合で行える動作の他に下記一覧の動作を行う事が出来ます。
ラーバードのモルトア使いは左腕に己の技能に応じた刺青を入れていきます。刺青は段々大きくなり最高レベルの使い手は左腕にとどまらず左肩から腕全体に刺青が入ると言われています。優れたモルトア使いはその誇りある左腕を隠す事はないでしょう。
モルトアを覚えると、モルトアを使用した攻撃において攻撃力、打撃力、追加ダメージ、回避力にパングアム技能の数値を使用できます。成長レートはファイター技能と同じです。
◆他種族のPCでもA特典を使用することによりモルトアを習得することが可能です。その際の成長レートはシャーマン技能に準拠します。
到達レベル |
ラーバード / 他種族 |
1 |
1000 / 1500
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2 |
1500 / 2000
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3 |
2000 / 3000
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4 |
3000 / 4000
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5 |
4000 / 5000
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6 |
5000 / 7000
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7 |
7000 / 9000
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8 |
9000 / 12000
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9 |
12000 / 15000
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10 |
15000 / 20000
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◆また、モルトア技能は以下の能力を使用できます。
- 殺気感知:敵の殺気限定の『危険感知』として扱ってください。
- 応急手当:レンジャー技能と同様。
- 技量推察:「自分より強そうだ」程度のおおまかな技量を推察することができます。判定は知力ボーナス+モルトア技能。
- 戦術:ファイター技能と同様。
◆モルトア技能を使用するには、以下の制限があります。
- 二本以上の腕がすいている事。
- ソフトレザー以下の鎧で筋力の半分まで。
- モルトア技能で武器を扱うことは出来ない。
- 体格が大きく違う場合技をかける事は出来ません。
(組み合いが不可能な者にはほとんど無力です。例外的に「防御:掴み」は使用出来ますが、回避のみになり掴み状態にはなりません)
- ファイター技能と重複しない。
- 冒険者技能として使用できる。
- 各種ラーバード種に対するボーナスはモルトア技能を使用時にしか付きません。
- モルトア技能は強打が宣言できません。
- エンチャント・ウェポン、ファイヤーウェポン等打撃をあげる魔法をかけてもモルトア技能の打撃力は上昇しません。
技能名 |
説明 |
【掴み】 |
攻撃にも防御にも使用可能な動作です。
攻撃時は“組み合い”と同じ判定をしますが、行動は最後のラウンドではなく攻撃者の敏捷度になります。命中判定は、「モルトア技能+器用度ボーナス」に−2のペナルティを受けた上で行い、攻撃が成功すればその瞬間から掴みの状態になります。
モルトア技能所有者はこの状態から下記の【モルトア独自の技】と【既存の組み合い戦闘】を行うことが可能です。
【投げ】以外の動作はそのまま“組み合い”状態に移行されます。掴み状態では転倒はしていませんが、組み合い状態に移行すればお互いに転倒する事に注意してください。また、掴まれた相手は振りほどかない限り振りほどく以外にほとんど行動がとれません。口がつかえるので神聖魔法とコモンルーンは使用可能です。
掴み状態からの脱出は、維持する側「モルトア技能+器用度ボーナス」で、振りほどこうとする者は「冒険者レベル+敏捷度ボーナス」ないし「冒険者レベル+筋力ボーナス」で判定し同点ないし振りほどこうとする者が大きかった場合、振りほどく事が出来ます。
防御時に【掴み】を使用する場合はラウンドの初めに「防御:掴み」を宣言してください。
攻撃が来た時に「モルトア技能+器用度ボーナス」に−2のペナルティを受けた上で判定を行います。成功すればその攻撃を回避する事ができ、さらに相手を掴んだ状態に出来ます。
ただし、接近戦闘のみ使用可能で遠距離武器を防ぐことはできません。なお、静止行動になるため3メートルまでしか動けず、「防御:掴み」を宣言しているので回避専念など他の行動は取れません。
相手を掴んだ状態で別の者から攻撃を受けた時に「防御:掴み」を使用した場合、最初に掴んでいた方は手を離してしまうため自動的に解放されます。組み合い戦闘時には使用できません。
ラーバードは多数の腕があるので掴みに+2のボーナスがつきます。ただし、4本の腕が自由である時のみに限ります。
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【投げ】 |
掴みの状態から相手を投げ転倒状態にします。
「モルトア技能+器用度ボーナス」に−2のペナルティを受けた上で判定を行い、投げを受けた相手は「回避のある技能+敏捷度ボーナス」で回避します。そこで相手の回避力より上回れば投げ飛ばし、投げ飛ばされた相手は自動的に転倒します。
攻撃者に複数の敵が接近していた場合、巻き込むように投げつける事も可能です。例えば攻撃者に敵A・B・Cが接近しておりAを投げ飛ばす場合、Bを巻き込むようにAを投げる事が可能です。
巻き込まれたBはその時Aが受けた攻撃力を基準に回避判定をします。失敗すればBも転倒してしまいます。巻き込むように投げる時対象はCでも構いませんが、BとCを同時に巻き込むように投げる事はできません。巻き込める対象は一人だけです。
ラーバードは多数の腕があるので投げに+2のボーナスがつきます。ただし、4本の腕が自由である時のみに限ります。
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【関節技】 |
掴みないし、組み合いの状態から使用可能の動作です。関節を極めダメージを与えます。
「モルトア技能+器用度ボーナス」で命中判定を行います。相手は転倒しているので回避に−2が付きます。命中すると関節技が極まり、以降振りほどかれるまで1ターンに「モルトアレベルの打撃力+筋力ボーナス、クリティカルなし」のダメージを与えます。
関節技に防具は関係ありません、ダメージ減少は冒険者レベルのみになります。関節技は首、腕、足のいずれかにかける事が可能です。
首にかければダメージを与える事が出来ます。締めと違い金属鎧でも関係なくダメージを与えます。
腕にかければ部分狙い:腕のように目標値10に生命に受けたダメージをペナルティに武器を落とさなかったかどう か判定する事が出来ます。
足はかける事が可能ですが特に付属で効果は期待できません。(既に転倒状態にあるため)
なお、どんなにダメージを与えても骨折する事はないです。
関節技で生命力が0になった場合自動的に“手加減”攻撃になります。相手は1ゾロを振らない限り死亡しません。
関節技を極められた相手は、以降のラウンドは振りほどこうとする事しか出来ません。
極めている者は「モルトア技能+器用度ボーナス」で振りほどこうとする者は「冒険者レベル+筋力ボーナス」で判定し、同点ないし振りほどこうとする者が大きかった場合、振りほどくことが出来ます。
ラーバードは多数の腕があるので関節技の命中判定に+2のボーナスがつきます。
ただし、4本の腕が自由である時のみに限ります。
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【組み合い戦闘の修正】 |
モルトア使いは掴み状態から組み合い戦闘の動作を行うことが出来ます。
全てのモルトア使いは組み合い戦闘の全ての判定を「モルトア+器用度ボーナス」に変更して判定する事も可能です。
しかしモルトアでは武器を使用しての戦闘は教えていない為、武器を使った判定には使用できません。
ラーバードは多数の腕があるので「モルトア+器用度ボーナス」に変更しての判定には+2のボーナスがつきます。
ただし、4本の腕が自由である時のみに限ります。
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【首投げ】 |
掴みの状態から相手を投げてダメージを与えた上で転倒状態にします。
「モルトア技能+器用度ボーナス」に−6のペナルティを受けた上で判定を行い、技を受けた相手は「回避のある技能+敏捷度ボーナス」で回避します。相手の回避力より上回れば投げ飛ばします。投げ飛ばされた相手はダメージを受けた上で自動的に転倒します。
攻撃が成功した場合、「モルトアレベルの打撃力+筋力ボーナス、クリティカル10」のダメージを与えます。関節技同様冒険者レベルのみダメージ減点できます。
これは危険な技ですので、関節技の様に自動的に手加減にはなりませんし、手加減を宣言する事も出来ません。
判定に失敗した場合は自動的に掴み状態からも解除されます。
また【投げ】同様に攻撃者に複数の敵が接近していた場合、巻き込むように投げつける事も可能です。巻き込める対象は同じく一人です。
ラーバードは多数の腕があるので投げに+2のボーナスがつきます。ただし、4本の腕が自由である時のみに限ります。
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【取り押さえ】 |
掴みの状態から相手を投げそのまま組み合い戦闘の「押さえ込み」に移行します。
「モルトア技能+器用度ボーナス」に−6のペナルティを受けた上で判定を行い、技を受けた相手は「回避のある技能+敏捷度ボーナス」で回避します。相手の回避力より大きければ自動的に組み合い戦闘「押さえ込み」に移行します。
ラーバードのモルトア使いであれば2本の腕で「押さえ込み」残りの2本で「関節」や「締め」を行うことが出来ます。ですが、もちろん4本使っていないので下記のボーナスはつきません。4本使っているので判定に失敗した場合は自動的に掴み状態からも解除されます。
この技は【投げ】のように巻き込んで投げる事は出来ません。
ラーバードは多数の腕があるので投げに+2のボーナスがつきます。ただし、4本の腕が自由である時のみに限ります。
※この技は自分の敏捷度で組み合い戦闘を仕掛けられる強力な技です。
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【受身】 |
転倒する攻撃を受けた時に使用します。
転倒する攻撃を受け、それを避けそこねた場合、「モルトア技能+敏捷度ボーナス」に+2の修正を加え相手のその時の攻撃力を基準に判定します。相手の攻撃力と同点ないし上回れば転倒せず即座に立ち上がります。
なお、この技は転倒状態を回避するだけなのでダメージを防げるわけではありません。また、魔法攻撃の転倒・絡みつき武器による転倒は避けることが出来ません。
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◆ルール関係補足
【他者からの攻撃処理】
他者が攻撃する場合は掴み状態は組み合い戦闘と同じ処理をします。
・掴み状態での他者からの攻撃処理
接近武器で攻撃する場合は1D6で判定し
<1〜3>攻撃可、武器攻撃に対しては転倒により回避は−2。外れても味方には当たらず。
<4〜5>攻撃不可。
<6>味方に自動命中
飛び道具ないし射撃型魔法:完全にランダム
組み合い戦闘に新たに追加する形になった『関節技』は締めや押さえ込みと同じように処理します。接近武器で攻撃する場合は1D6の結果が<4〜5>の目でも攻撃する事が出来ます。
・組み合い戦闘
接近武器で攻撃する場合は1D6で判定し
<1〜3>攻撃可、武器攻撃に対しては転倒により回避は−2。外れても味方には当たらず。
<4〜5>攻撃不可。ただし、押さえ込み・締め・関節技を使用中は攻撃可。
<6>味方に自動命中
飛び道具ないし射撃型魔法:完全にランダム
◆提案
・モルトア技能の修正
モルトアは組み合い戦闘に持ち込めばほぼ敵なしの強さを発揮する強力な技能だと思います。そこで少しリスクをつけるのはどうでしょう?
単純に普通の回避をなくすだけなのですが、この修正によって攻撃:掴みは掴みの修正で同一ラウンドには防御:掴みが使えなくなったので簡単には使えません。
技能的にも自分からガンガン攻めていくよりも待ち構えてる方が投げ、関節技使いっぽくてよいかなと。相手が同じ素手ならまだしも鎧兜を身にまとい武器を持った者が相手になる訳ですし。
もちろん隙があれば自分から攻め込んで行って問題ないと思うので掴みは攻撃にも防御にも使用可能にしています。
まとめると、
モルトア技能は通常状態では回避力を持ちません。組み合い戦闘中のみ「モルトア技能+敏捷度ボーナス」で回避する事が出来ます。
ただし、ラーバードは3本以上の腕を使用する場合回避が−2される種族特性がある事に注意してください。
・大きさの制限
モルトアがかけられるかどうかの判定基準はとりあえず、自分の身長から±1メートルの相手で二足歩行の生物に限られると言うのはどうでしょう?
身長を決めていない場合は種族平均を基準に判定すると言うことで。キャラクターシートに明記していない場合も同様に判定します。
・大きさの制限2
技をかけられる制限の提案はすでに出されていますが、以下のようなものはどうでしょうか?
・「人間型で、平均身長が1/5〜2倍の種族」
相手が小さい場合にはかなり小さくても対応出来るでしょう(大人が子供に柔道を教える様を想像してみて下さい)。またプラスマイナスで決めるよりは倍率で決める方が様々な種族に対応出来て良いと思います。(人間が+1mの相手を投げるのとフェアリーが+1mの相手を投げるのではかなりイメージが変わってくるでしょう)
また個人の身長ではなく、あくまでも種族の平均身長という事にした方が分かりやすくて良いと判断しました。
・回避に対する制限
現状の回避に関する提案も良いとは思うのですが、それだと弓兵などと対峙した時や、複数の敵と対峙した時にはなすすべがありません。
そこで「回避したラウンドには『攻撃の掴み』は行えない」というのはどうでしょうか?
・技の扱い
パングアム技能における技と同様にモルトア技能にもレベルを上げる事によって覚えられる技を設けたらいかがでしょう。下記は一例です。
- 対巨大種族
モルトア技能を使える相手は通常、平均身長が2倍の種族までですが、この技を取得する事により平均身長が3倍の種族までになります。なお、この技は複数取得する事により4倍、5倍とその値が増えていきます。 この技はモルトア技能が3レベル以上にならないと選択出来ません。
- 対非人間型種族
モルトア技能を使える相手は通常、人間型種族に限られますが、この技を取得する事により非人間型種族相手にも使用可能になります。その際の大きさ制限は身長を体長と置き換えて判断して下さい。
つまり、この技と上記「対巨大種族」を1段階取得している者は平均体長が1/5〜3倍までの非人間型種族にモルトア技能を使用する事が出来ます。
この技はモルトア技能が3レベル以上にならないと選択出来ません。
- つくり
モルトア技能は通常、掴みが成功した次のラウンドにしか技をかける事が出来ません。この技はそれを省略し、掴みが成功したら即、技をかけられるようにするものです。
通常モルトア技能の技は、相手を掴み、そのバランスを崩し、そこに技をかける。といういくつかのステップが必要ですが、この技は巧みな足裁きと身体運用によって、掴みが成功した瞬間には、すでに相手のバランスが崩れている。という状態を作り出す事によりそのステップを省略しているのです。
なお、この技は【投げ】【関節技】【首投げ】【取り押さえ】とそれぞれ別に取る必要があります。
この技はモルトア技能が3レベル以上にならないと選択出来ません。
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