BACK
TOP
HOME

 
   
 
領名 = ケルテレンス
領主名 = ロギ・ムギ
都市名 = ケルテレンス

【領地概略】

 ケルテレンスは大きな本島を中心として、大小数百の島々の群島の事をまとめて、ケルテレンスと言います。
 広さはおおよそ、2500平方テル(約5000平方キロメートル)ほどあり、人口は約10万前後と確認されています。
 一年を通して温暖湿潤な熱帯性の気候で、珊瑚礁から生る白い砂浜や青い海にバケーションを求めて、トロウからツアーが組まれるほどの有名な観光地です。
 年中夏日なので島民達は非常に薄着です。主な資源は観光ですが、漁業、農業も相応に発達しています。もっとも観光に比べるとあまり旨味がないため、徐々に縮小傾向にあります。

 島の中央には大きな沼地があり、そこには大陸で最大規模のパクタックの集団地があり、その規模から大陸唯一のパクタックの『国』と言っても過言ではありません。
 東にある群島は入り組んでおり、潮の流れが複雑になるため海流がかき混ぜられ、非常に優れた漁場となっているのですが、そこには先住民のマーマンが住んでおり、長い間軋轢を生んでいます。
 群島の北には活火山の島が一つあり、常に噴煙を上げています。いつ噴火するかわからないこの火山は、原住民からは畏敬の対象とされています。
 
 また島の7割が人間ですが、残り三割のうち二割近くがライグル種です。このライグル種は主に中央から西半分を領土としていますが、元々「自分の領土」という感覚はありませんし、島民も強いて西になにかの圧力をかける気もありません。小さな交流がいくつかあるのですが物流にまで発達はしておらず、基本的にのんびりとしています。
 西のライグル種には『モグルグ』というジュゴンに似た空飛ぶ動物を友としており、そのモグルグが出す乳を産業として人間種と物々交換を持ちかけます。このモグルグはライグルよりも頭が良い生き物なのですが、ライグルに輪をかけた『お人よし』の種族であり、『敵』という概念が皆無です。
 ですので時折心無いハンターがモグルグを狩ってしまい、その頭数が減ってきてしまっています。

 観光地は、人間の生活圏であるほぼ島の東部に集中しており、観光地としてはかなり形になっていて、懐が許すならば、トロウに匹敵するほどの上質のサービスを受けることもできます。 
 観光地とするに際し、エルフ種の強い働きかけがあったので自然維持が徹底されています。資金援助を行える――つまり投資――貴族も厳選されており、自然との調和を根ざし、大規模な自然破壊に繋がる開発は一切させていません。

【歴史】

 歴史、と言ってもケルテレンスでは古来から刻の流れはゆったりと流れ、島民達の生活に変化が出始めたのはここ30年ほどの事です。
 トロウ42州の42番目であり、最後に編入した領地、と思われて居ますが、実質的支配者もなく、離島の為に軍事的な意味を殆ど持たないこの群島は、単にトロウ王に名義上、観光地として友好を築く一環としてトロウ国に編入してはどうか、という非常にやんわりとした提案を、酋長会議が、そんな事くらい好きにしていいぞ、と二つ返事で飲んだに過ぎません。島民達にとって見れば、外の人間がどう言う名前で呼ぼうが、なんにも変わりが無いのです。
 なので、正式にはガーヴィが最後のトロウ編入領であり、トロウ王といえども政治的に口を出すことの出来ないケルテレンスは、ほぼ完全な独立領になっています。 

【主要都市】 

 ケルテレンスでは、本島を含めた群島全てをケルテレンス、と住民は呼んでおり、原住民は他集落などを「東の村」とか「二本大樹の村」など、それぞれが近隣集落を適当な名称で呼ぶ為、外からの人間が便宜上、東側のリゾート地をケルテレンス、と島の名前をそのまま使っているに過ぎません。
 
 リゾート地、ケルテレンスには波打ち際に高足のコテージが、椰子の木やシダの葉を掻き分けるようにしてホテルが建てられ、トロウの裕福層を中心とした観光客がのんびりと南国のバカンスを楽しむ光景が一年中見られます。
 熱帯性の果物や新鮮で物珍しい海産物を使った料理は、トロウのグルメ達の中では非常に高い評価を受けており、ある著名な女流作家の記した最新ガイドブックには、ごくまれに水揚げされるという、『エンシェントオクトパス』という巨大蛸を用いた不思議な球状料理が絶賛されており、このガイドブックを見て、そのホテル。『ハーベルバレイ』に訪れる観光客が絶えないとの事です。

【宗教】

 ケルテレンスではトロウで信仰されているような12神信仰は無く、ノーヴェストラ、と呼ばれる炎の神が信仰されています。
 ノーヴェストラは、トロウの宗教観では、イーヴノレルの下位神に位置されている神様で、海産物の神様とも言われており、山菜の神様とも言われている。いわゆる「恵みの神様」です。
 ケルテレンス本島にあるミウシレ火山は、現在休火山になっている標高2000m弱の山で、昔からノーヴェストラの住まう場所とされ、巡礼者の聖地とされています。
 ミシウレ火山の周りでは、十数年に1度、ごくまれにノーヴェストラの御使いであるとされる、火妖精『ジンニーヤ』が現れるとの言い伝えがあります。
 ジンニーヤは愉快な音楽を好み、祭りの時などにひょっこりと姿を現すことがあり、その資格のある者のみがその火妖精を見ることができる、という事です。
 運良くジンニーヤに好かれた者は、その者の守護者として、音楽を供するかぎり一生を共について周るという話がありますが、ジンニーヤを連れたバードの話は、半ば伝説化したケルテレンスの御伽噺です。

 ノーヴェストラを奉る神官は、通常の12神の神官と違い、どちらかと言うと精霊使いに近い存在です。
 群島の中にも様様な部族がおり、ノーヴェストラに仕える者の中には、『呪術師』という立場の精霊使いが、産まれた時から選ばれ、火を焚き、呪いや祈祷と言った、独特の奉納法を身に付け、育てられるという話も聞かれます。

【その他のケルテレンス固有の生物】

ケルテレンスベア

 ベア、と名がついては居ますが、熊などという可愛げのある生物では無く、熊とトカゲを足したような、体表が堅い鱗に覆われた化物です。
 小さくても体長は3mはあり、凶暴で人を見ると襲いかかって来る害獣ですが、島民達の中には、この熊を狩るハンター達もおり、ケルテレンスベアを仕留めることができるとハンターとして一人前、というならわしがある位です。
 そのグロテスクな外見とは裏腹に、肉質は魚と牛肉の中間のような不思議な味で、革はなめして鎧にするなど、島民の生活には欠かせない存在です。

バスタークラブ

 バスタークラブは甲羅2mほどもある、巨大なヤシガニです。
 他の地域でも見られるジャイアントクラブとの差異は、バスタークラブが陸棲生物である、ということと、その甲羅の硬さ、鋏の強さが挙げられます。
 ずんぐりむっくりとしたバスタークラブの分厚い甲羅は、フルプレート並の硬度と防御力を誇っており、殻に真正面から振り下ろしても、刃物は殆ど通じない位です。
 好物である鬼椰子の殻をやすやすと砕く鋏は、ジャイアントクラブ以上の挟む力を持っています。
 倒そうとすれば、難敵であるバスタークラブですが、気性はさほど荒くもなく、普段は人を避け、何かされない限りは大人しく身を縮めてやり過ごし、自分から他の生物を襲うことはありません。
 バスタークラブの肉は泥臭く、あまり美味しい物ではありませんが、そのカニミソだけは高級珍味として持て囃されており、ホテルに高額で卸せる為、危険を承知でバスタークラブ狩りをする人達もいます。  

【交通】

 トロウからほぼ定期的に本島行きの船が出ています。大体一週間ほどで到着し、トロウからケルテレンス、ケルテレンスからトロウへと円を描くように海流が流れてるので、意外と早く着きます。  
 本島から群島に行く場合は、個人的に船を船着場で現地人から借りる必要があります。
 飛行船の定期航路などは無く、精精。裕福な商人や貴族が個人所有の飛行船を使って来る程度です。 

【人物】

ロギ・ムギ

 御年89歳になる人間の男で、ケルテレンス本島の大酋長です。
 ケルテレンス本島東部には大小37の部族があり、そこの酋長達の中から、1人、まとめ役としての大酋長を選ぶのがケルテレンスの昔からの掟です。
 ロギ・ムギは40年前に選出された大酋長で、大酋長は死ぬまで次の人には代替わりしません。
 既に老いで殆ど家から動かない生活をしていますが、垂れ眉の下の目には未だ力強い光があり、周りの者達もロギ・ムギを尊敬しています。
 老いてこそ居ますが、今でも大精霊の声をも聞ける上級のシャーマンだ、という噂があります。


担当者:レン

BACK
TOP
HOME