この個展は、1998年11月2日(月)〜11月7日(土)に
かけて銀座・日辰画廊で開催されたものです。
もう一度、このホームページ上での、再展覧となります。
魚達の所作 (35) 墨 1988年 1630o×1550o |
望月洋史個展
特定といっても多様である対象に向かい、その動きに対応して動く
画像を創出するという企図は、容易ではない。
それは、写実の観念に基つ゛くリアリズムの枠を超えるものであり、
そうかと言って、自由自在にどうでも描けるものでもない。
「照応」correspondenceという言葉があり、それに近い作画法に
なるのかも知れないが、ぴたりとした既存の言葉は見つからない。
対象と鏡あるいはレンズという関係ならば、昔からあるが、この画
家の心は、かならずしもそういったものではない。私の見るところで
は、両者は同等であり、たとえ前後関係はあるにしても、視覚が画
像を触発するのは、瞬間的で同時的である。それを記述する手の動
作までが、即時的とは言えないが、まさしく 「間髪を入れず」 であ
り、髪すらも入らないこの 「間」 に、それにもかかわらず、視覚言
語が発生するのは、驚異である。譬えれば、火花や電光に近い言
わば表情の言語であり、「メタ言語」と呼ぶしかないものだろう。
言語としては、確かに「メタ」(以前)であるが、それが「絵画」以後を
目指しいる画家から闊達に内発していることに、私は眼を見張る。
瀬木槙一(美術評論家)
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