「静韻(祭りのあと)」 P100号 油彩画・キャンバス |
結婚後、暫くして妻の実家の2階に数年間「修復工房」のアトリエを 構えた事がある。場所は、東京都の西方…小平市小川西町である。 窓の外には道一つ隔てて「広場」があり、日中は子供達やお年寄り の格好の「憩いの場」になっている。何十年と経過したこの町の一角 をずっと見据えてきた多くの大樹が鬱蒼としている中、永年踏み均さ れた地面に、くっきりと残る同心円状の白い線…。実は、昨夜遅く迄 「櫓・やぐら」が建てられ、連夜の夏祭り(盆踊会)が催されていたの である。毎年お馴染みの場所ということだが、一夜にして夏の賑やか さが消え、途端に夏が陰りを見せる。辺りにほんの少しだが秋の気配 が感じ始められた…そんな昼下がりの空虚な風景である。 記:岡崎純生 |