NEWSWEEK ニューズウィーク・日本語版
2008年6月4日号 | by ペオ・エクベリ

NEWSWEEK (ニュースウィーク・日本語版) | 2008年6月4日号 | by ペオ・エクベリ

"Is That It?"
京都議定書も楽々クリア 「え、それだけ?」 のエコ生活
NEWSWEEK (ニューズウィーク・日本語版)

 かれるかもしれないが、環境コンサルタントとして働いている私にとって一番のヒーローはアル・ゴアではなく、あるロックスターだ。それはボブ・ゲルドフ。ブームタウン・ラッツというバンドのボーカリストだ。80年代のある日、ゲルドフはアフリカの飢餓についてのニュースを見て、世界中のアーティストに、ライブ・エイドという救済のコンサートを行おうと呼びかけた。彼は当初、政治家たちにも飢餓をなくそうと訴えたが、当時のリーダー達の返事は否定的だった。それでもコンサートを行ったゲルドフは、お金や食糧を飢餓に苦しむエチオピアへ送ることに成功。その後、彼が出した自叙伝のタイトルは、私の記憶に一生残るものとなった。「Is That It?」だ。(『え、それだけ?』)

 時間を現代に戻そう。話題は「温暖化」。新聞やテレビは、こう繰り返す。「温暖化は止められるのか?」「京都議定書のCO2削減目標の達成は不可能では?」。日本では、議論は「むずかしい」や「大変」と、消極的なコメントで終わりがち。ゲルドフが20年以上前に直面したことが、今も繰り返されている。では「むずかしい」から「それだけ?」という姿勢に切り替えてみたらどうか。実はCO2の削減は、思っているより簡単にできる。東京ではエコライフの実践は不可能と思っている人も多いが、「東京だからこそできること」もたくさんある!

 私と妻は東京で、好きなライフスタイルを続けながらエコを取り入れている。その結果を
計測してみた(計らないのは「体重計のないダイエット」と同じだ)。結果は……。ゴミの量は、日本の一般家庭に比べて94%減(だいたい1ヶ月でサッカーボール1個分)。CO2排出量は60%減(京都議定書の「6%削減」を大幅に達成)。エコライフスタイルのおかげで年間で24万円の節約にも成功した。 これには自分でも驚いた。「むずかしい」という思いは、あっという間になくなった。「エコはお金がかかる」も偏見だった。大都市・東京で達成できたのは、「え、これだけ?」という考えのおかげだろう。

オシャレもディナーも楽しんで

 国内外の政府やNGO、カーボンオフセット会社、消費者協会、大学のデータからCO2値はわかる。京都議定書達成には、1人当たり年間1300キロの削減が必要だ。では私たちの、ふだんの生活を紹介しよう。朝、目覚めた時点CO2削減は始まっている。化石燃料を使用しないオーガニックベッドを使えば、削減量は年間で約10`だ。さらに好きな朝食を食べて約70`削減。運搬にかかる石油の消費量が少ない国産品を使用したから。オシャレもオールオーガニック服で楽しめば約約25`が削減できる。

通勤では約266`cの削減。周3回は車の代わりに自転車で通 勤している。オフィスはグリーン電力(再生可能エネルギー)に契約し、パソコンも風力発電で充電することで500`近く削減。東京ではグリーン電力の契約も簡単だ。昼食はお客さんとのビジネスランチで、約454`削減。オーガニックランチを食べながら、ペーパーレスミーティングをすればいい。仕事が終わったら、遊びに出かけよう。まずはワイフに花をプレゼント。包装の少ない商品を選び、袋を断れば約164`の削減ができる。そして2人で映画館へ行き、ディナーやワインを楽しむ……。それなのに約191`の削減になる。電車で出かけ、東京で増えているオーガニックワインとベジタリアンフードの店に行ったからだ。楽しかった一日の最後は、タクシーで帰っても約5`の削減。東京では、ずいぶんとハイブリッドタクシーが多くなった。
 
どうだろう。自分のライフスタイルを崩さなくても、エコの暮らしは実践できる。しかも節約できた24万円で、もっと生活を楽しむことだってできるだろう。



PROFILE
● ペオ・エクベリ
スウェーデンのマルメ市生まれ。
環境コンサルタント。講演、コラム
執筆、テレビやラジオ出演のほか、
武蔵野大学非常勤講師を務める。
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