サナザナダルマ 16号
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 むかし心が清らかで執着を持たず徳の高いシビという王さまがいました。神々は シビの心を試してみることにしました。火の神アグニと天界の王インドラは鳩と鷹のすがたを変えました。鷹は鳩を追いかけました。鳩は王座にすわっていたシビの膝に降りて、助けてくださいと頼みました。

 シビはインドのダルマの教えのとおり、困っている鳩を鷹から救う約束をしました。その瞬間、鷹もまた王の前に降りると言いました。「わたしは腹がぺこぺこだ。せっかく餌にありつけるところを、そなたのせいで食べられなくなってしまった。わたしの食べ物をとってしまうなら、そなたの修行の徳は消えてしまうよ」

 シビは言いました。「鳩の肉と同じ目方だけわたしの肉をあげましょう」 はかりの一方の皿に鳩をのせ、もう一方にシビのからだから切り取った肉をのせました。何回シビの肉を切りとっても鳩ののった皿はぴくりとも動きませんでした。とうとうシビは言いました。「わたしのからだを全部あげましょう」シビがそう言い放つやいなや、鷹はインドラのすがたにかえりました。鳩もまた光を放つアグニのすがたになりました。

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Sanathana Sarathi June 1990