いいかげん流植毛術
Tutorial: Nonsense method of rooting doll-hair
まえおき
Introduction
複数の他サイト様の手法の合成になりますが、私流の植毛方法について紹介してみます。
フェイスペイント同様、軽くお試しでやってみたい方に。ただ、ヘッド1つ植えきるには時間も手間もそれなりに掛かります。
なお、植毛の方法には大別して一針ごとが独立した「玉結び方式」と全体がひとつながりの結び目になる「くさり編み方式」がありますが、当サイトは「くさり編み方式」に準じた手法の紹介になります。
<材料および工具>
Tools and materials
以下のリストのうち、のある物は「有るといいな」程度のものです。
- お好みのヘッド
- Doll head that you like
- 糸、針金、ゴムバンドなど「縛れるもの」
- string, rubber band, or wire
- お好みの植毛用糸(後述)
- A set of paint (I say about it in subsection below)
- 針(後述)
- Narrow blush
- Pencil
- Mr. color clear (not as spray)
- wide blush
- A filler
- Small pinchs
- A stick (maybe 30cm length)
- Small bin (empty)
- Vinyl bag ,or vinyl sleeve from other doll
<髪型の選択>
Step 1: Plan hairstyle for your doll
植毛に関しては、まずこれが重要事項となります。というのも、1/6のサイズでは植える髪自体の太さを無視できないため、どれだけの量を植えるべきか最初に考えておく必要があるからです。
よく既製品ドールヘッドで言われる「テールを解いたらハゲ」は、結った時のテールの太さと、植毛でカバーされたヘッドの見た目の大きさから植毛量を逆算されています。逆に、均等に植えてある植毛ヘッドをそのまままとめ髪にするとヘッド(というか顔)の大きさに対してやたらでかい頭とテールになります。
テールに限らずアップスタイルでうなじや耳回り、額の生え際を見せたい場合は生え際から2〜3段だけ植えて奥をスカスカに。全体のボリュームを抑えたい場合は頭頂付近を重点的に植えて生え際は抑えないと、髪の厚みと弾力で上が持ち上がってマッシュルームになります。
キャラ物でアホ毛が必要な場合、全体を植えた後でそこだけ追加植毛になります。試した事はありませんが、いわゆる「エアインテーク」、強烈に立った前髪も追加植毛が楽かもしれません。
いずれのスタイルにしても、ラフ画でいいのでデザインを紙に書いておくと後で便利です。
<髪種の選択>
Which materials is good for your doll's hair?
植毛用の「髪」としてよく知られているものにはサラン樹脂糸、レーヨン糸、トヨカロン繊維糸、ナイロン糸などが挙げられますが、必ずしもこれにこだわる必要はありません。
例えば、ドレッドヘアを予定しているのであれば上記のような糸を植えていちいち編むよりも染めた麻糸や毛糸を縫い付けるように植えてしまう方が楽(糸からヘッドへの色移りには注意)です。ベリーショート未満なら植えるよりも粘土を使って「ハードづら」を作る(縄文土器の要領で毛の流れを付ける)方が労力が節約できます。
(上で「髪型が重要」と書いたのは、それがこのように髪その物の選択にも関係するからです。)
また、一口にサラン、レーヨンといっても全てが同じ性質ではありません。個人的な経験でいえば、例えばノアドローム販売のサラン糸は原色系は太く堅く、逆に茶系は細くしなやかです。
髪質の違いは、髪型の仕上がりに影響します。堅い髪はお湯パーマを煮込み式など強い方法で処理しないと弾力で立ちやすく、細い髪はそれなりの密度で植えないとあとで地肌が透けて見えます。
また、植毛糸は1パック30g程度と重量で分けて売られているので、太く重い髪は細い髪よりパック当りの量が少なくなります。
<針の選択>
Choice of needle
・・といっても対した選択肢はありません。人形系ショップで植毛針として売られている物や、手芸店で縫いぐるみ針や布団針として売られている、比較的長くて針穴の大きいものを選択して下さい。
ただし、髪型によってはこれ以外に針を用意した方が作業が容易になります。アップやテールでうなじぎりぎりまで植毛したい場合は手芸店で「カーブ針」を購入すると針運びが楽になりますし、上に書いたような縫い付け方式の場合は単に長い針を用意すれば大丈夫でしょう。
<事前準備>
Step 2: The prepare for rooting
髪型の計画が決まって道具がそろったら、植毛作業の準備をしましょう。以後の写真では、撮影都合上複数ヘッドの作業風景が混じっていますが、余り気にしないで下さい。
<ヘッドの準備>
Setup your doll head
一度やると判りますが、作業中はヘッドをつかんであっちに向けこっちに向けとなりますので、気づいたら鼻の頭や耳の端が擦れて黒くなっていることがあります。
こうした事を予防するため、植毛前に顔面と耳部分をクリア塗装します。植毛後に溶剤で落としてしまうので一層だけで構いません。
塗装が乾いた所で、予定している髪型の生え際と分け目の線を鉛筆で軽く引きます。これは落とせないのであくまで軽く。(多分、植毛中に指で擦って消してしまうと思いますが・・・)
<髪の準備>
Setup the doll hair
- 2-1
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- 入手元にもよりますが、サランやトヨカロン、レーヨンを選択した場合買って来た糸は写真のような大きな輪、というか巻き取り状態になっているはずです。植毛ミシンならこのままセットすればいいですが、手植毛の場合これを予定している長さに切り分けて使った方が楽です。
- 昔は一気に全部切っていました(ノアドの輪の場合、8分割すると仕上がりの長さが20cmくらいになります)が、切った毛束から毛を数えて抜くのが面倒なので最近私は別な方法を取っています。
- 2-2
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- この糸の輪は、もともと9〜10本位の糸の束をリールか何かで巻き取りながら計量して切り分けてあるようで、探すと端の部分がテープや糸で結んであります。
- そこで、欲しい仕上がりの長さと同じくらいの幅の板を用意して、束を崩さないようにして元の輪から毛束を巻き直していきます。(編物する際の毛糸のかせ繰りみたいなものです)
- この状態なら、1周(仕上がり長さの2倍・後述)ごとに切り分けることで一定本数、長さの毛束を速やかに用意することができ作業能率が上がります。また、日程上一気に植毛できない場合でも板巻きのまましばらく保管できます。(長くほっておくと癖が付くので御用心)
- 2-3
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- 切った毛束は適当な台に仮り置きして、そこからピックアップして植えていきます。まぁ1針分づつ切っていっても別に問題はありません。
準備のできた所で作業開始です。
<植毛開始>
Step 3: Basic rooting
最初の1針目をどこから始めるかについては「生え際派」と「頭頂派」に流儀が別れるようですが、私の場合、左耳の真上辺りの生え際が起点です。これは最初に参考にしたサイト様の手順に従っているだけですので、やりやすい所で始めて下さい。
なお、テール系のように生え際以外スカスカの植毛パターンでしたら、生え際のどこかから始めて1周決めてしまった方が後々やり易いのではと思います。
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- 毛束を付けずに針を外側からヘッドに半分ほど差します。ヘッド内部には首穴周りのバリなども有るので、針が余計な所を貫通してない事を確認してから毛束を半分に折って針穴に通します。(後述しますが、ここがくさり編み式の特徴の1つ)
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- そのまま針を差して、首穴から抜きます。針が抜けた所で、毛束を針から外して写真のようにヘッドの内外に毛束が出ている状態にします。これで1針目完了。
- 首穴側の毛束はループになっていますが、これがばらけないよう注意して下さい。(洗濯ばさみで片側を止めてしまうのが楽)
- 普通にくさり編み式の植毛をしている所ですと、ここでループの先端を玉結びにしますが、私はまだです。
- 3-3
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- 1針目をそのままにして、2針目を同じように植えます。この時、針を差す位置が近過ぎると毛束の付いた針穴近くが通る際に穴がつながる事があります。なお、2・3針位ならつながってもそのまま続行できます。
- 2針目の毛束が首穴から出た所で、2針分まとめて玉結びにします。
- くさり編み式植毛の弱点として、どっか1か所の毛が抜けると連続してズルズル抜けやすい点がありますが、つながった毛穴以外で抜けやすい個所が植毛の最初と最後です。この2か所を各2穴分束ねることでずる抜けのリスクを避けるようにしています。
- なお、2穴分束ねた後もループは混ざらないようにしておいて下さい。
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- 2針分結んだままにして更に3針目。ここから本格的に「くさり編み」と呼ばれる手順に入ります。
- 3針目の針先を、先の2針分のループの内側に通します。1回通せば十分ですが、時々ヘッド内の見えない場所で逆方向に絡まっていて、後でほどけて抜けることがあるので私は念のため2回通しています。植毛は確実になりますが、普通のくさり編みよりヘッド内の編目が大きくなるデメリットがありますので、この辺の判断はお任せします。
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- 3針目の毛束は1・2針目のループの中をくぐった状態になります。ここで先の2針をヘッド側から引っ張って、結び目をヘッド内に収めます。
- 4針目の毛束を差し、上記の要領で3針目のループの中を通したら3針目を引っ張ってループを引っ込めます(結ぶ必要はありません)。以降、針を1つ前の毛束のループに通し、前のループを引っ込めるという作業の繰り返しになります。
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- ヘッドの前半分は内部の空間に余裕があるので比較的楽ですが、後ろ半分、特にテール系をうなじ狙いで植えようとすると首穴までの距離がないので針をこじりながらの植毛となり作業は難しくなります。こういった個所では普通の針に替えてカーブ針を使うと楽になります。
- なお、カーブ針はストレートの針より太いので毛穴がつながりやすくなります。毛穴の間隔には十分注意しましょう。
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- ヘッド1周分植えきったら、そのまま頭頂側に1段上がって2周目に入ります。
- テール系なら2周植えれば生え際が透けなくなるので、最後の2針分をまとめて玉結びにして作業終了です。
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- ストレート系は頭頂部まで渦巻状に続けていって、同じく最後の2針を玉結び。なお、スタイルに関係なく髪の分け目は別工程として次項で説明します。
<分け目>
Step 4: Root a parting line
各ヘアスタイル別の基本部分を植えきってから、分け目やアホ毛といった追加部分の植毛を行います。アホ毛のように立ってないと意味のない部分は次以降の工程に回して、ここでは分け目を整えます。
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- 最初に決めたデザインを見ながら(ここで紙に書いておくことが役に立ちます)実際に植えた髪を、植毛針を使って毛穴単位で針で左右に寄せて分けます。
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- 基本部分の植毛と同じく、くさり編み式で分け目を植えていきます。前髪であれば、まずは生え際から頭頂に向かって1列植えます。この時、基本植毛と毛穴がかぶる場合は同じ毛穴に植え足してしまいます。
- 写真は前髪多めポニテの前髪とテールの境目。左から右へ、ヘッドを横断するように植えています。
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- 分け目の終点まで達したら、今植えた列の奥側に、毛穴どうしの間を狙ってもう1列折り返しで植えていきます。2列の分け目植毛が、お互いの根元を隠すような形になればOKです。
- この時点で地肌が目立つ個所があれば、個別に植え足して行きます。
- 1、2針で足りる場合は1針ごとに玉結びして固定。ある程度まとめて植えないと目立つ程広域な薄毛はくさり編みで対処します。
<仕上げ>
Step 5 : Boil parm
一通りの植毛を完了した所で、今まで植えた毛の流れを整えるため簡単にお湯パーマを掛けます。
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- 最初に決めたデザインに合わせて毛束をまとめ直し、櫛を入れます。テール系の場合は想定した位置でしっかり束ね直して下さい。
- 全体の形を崩さないように、適当なビニールで覆います。既製品人形や植毛済みヘッドに付いてくるスリーブが便利ですが、無ければビニール袋を切ってヘッドを巻き、針金か糸で軽く縛れば大丈夫です。
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- 上写真のポニテ程度であれば、上から1〜2分ほど熱湯を注げばパーマ完了ですが、「ドリル」と形容される巻きのきつい縦ロールでは左写真の様に鍋で数分煮る必要があります。
- 煮る際は鍋に髪が付かないように十分注意すること。割とあっさり溶触したり、そこまで行かなくても劣化して艶を失ったり変色します。
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- 美味しく(?)煮上がった所で,首穴に菜箸を差し、空き瓶か何かに立てて自然乾燥させます。乾燥するまでビニールやワイヤー類は外さないこと。
- アホ毛の類はこの後で植えます。分け目の所でちょっと触れましたが、必要な毛量に応じて玉結びかくさり編みかを選択します。
- 最後に、顔と耳に塗ったクリアー塗装を薄め液でふき取って作業完了。