山での体験談★★熊との遭遇★★

九州で野生の熊は絶滅したと言われていますが、今でも時々目撃した方はおり特に宮崎県と大分県境あたりの祖母山系から日隠山付近の大崩山系が多いようです。
私もこの付近で熊と思われる動物に遭遇したことがあります。
でも証拠写真は撮っていないし確実に熊だったという確信もありません、他の人に話すと笑われるだけなのですがあえてここに体験談を記しておきます。

第1話03年10月25日祖母山系

宮崎県高千穂町の土呂久林道から古祖母山へ今は使われていない荒廃した登山道があり、そこをつたって行くと石金山という地図に記されていない1491mのピークに立つことが出来ます。
土呂久林道の途中まで車で入りあらかじめ調べておいた取り付き口から分け入りました、最初は杉林の中を登っていきますがやがて自然林となり木に巻かれた古いテープにかつてはここが登山道だったことを知ることが出来ます。
最近この古い登山道を切り開いている方がおられ実はその方からこの登山道をお聞きして来たわけです。

木々が覆いかぶさる場所の要所要所は切り開かれていましたが基本的には旧登山道そのままなので地形図とコンパスで行き先を確認しながら慎重に登っていきました、中腹まで登ると藪は少なく見通しも良くなり一本の尾根に出てその尾根を伝わって登っていくようになります。
尾根に出た所で一休みすることにしました、回りは落ち葉が敷きつめられて直径10センチから30センチくらいの立ち木がたくさんあり気持ちがいい場所です、登って来た方向を見て座り汗をぬぐいペットボトルのお茶を飲んで一息つきました。
そして地形図を取り出してこれから向かうルートを地図上で確認していた時です、尾根の反対側から枯葉を踏みつけて誰かが近づいてくる足音に気づきました。
ガサッ、ガサッ・・・こちらに近づいてきています。
私が座っている場所は緩やかに丸みを帯びた尾根の東側ですが足音は西側からこちらに向かって近づいています、座っているので向こうの姿は見えません、また同じく向こうから私を見ることも出来ません。
ガサッ、ガサッ・・足音はさらに近づいています、「こんな登山道もないところに誰か登って来たのかな?」と最初は思いました、山中で猪や鹿に出くわすことは時々あります、笹などに隠れて向こうの姿が見えないでも猪や鹿ということは大体聞き分けられます、でもこの足音は違います人間でもなさそうだし大型動物だということは足音の大きさとそれが比較的ゆっくりとした等間隔なのでわかりました。
向こうも私に気づいていないので突然ばったりと出合ったら相手が何であろうと大変なことになるかもしれない、そこで私はとっさに声を出しました相手がびっくりしない程度の尚且つ相手にはっきりとわかる程度の大きさで「おーい」と呼んでみました。
そうするとその足音はぴたっと止まりました、何一つ聞こえません多分50m以内には近づいているはずです。
そして私は勇気を出して立ち上がりました、木々の向こう側はかなり遠くまではっきりと見通せます。
足音がしていた方向に目を凝らしましたが何も見つけることは出来ません『ちょっと待てよ、あの木の端っこから出ている茶色い物体は何だ・・・』
30mくらい向こうの木の裏に茶色い毛をしたような物体が隠れているように見えます、丁度頭隠して尻隠さずといったように座って背中から尻にかけて木の陰から出ているように見えます。
数秒間凝視していましたがぴたりとも動きません、足音もぴたっと止まったままです、当然向こうも私に気づいて様子をうかがっているのです。
それを見る少し前から『もしかして熊では』という気がしていたのですが動物園で見る熊の毛は茶色ではなく黒です、『違うだろう』と自分で自分に言い聞かせていたのですがそれが熊であろうが別の動物であろうがもうここに長居する必要は全くありません。
私は登って来た道を一目散に駆け下りていきました、最初はゆっくりと慌てる様子を相手に悟られないように足音も立てないように立ち去りましたが途中からは怖くなって転げるように山を駆け下りていきました。

熊の姿を見ていないし得体の知れない大型動物の足音を聞いただけですがいろんな動物と重ね合わせてみましたが納得が出来ない体験でした。


納得の出来ない私はその2週間後今度は仲間と大勢で、仲間にはその不思議な体験談は話さずに新しいルートを見つけたからと言って誘い、再びその場所を訪れました。
従って今初めてこの事実を告白するわけです、写真はそのとき撮った同じ場所です。

 

 

 

 


第2話04年3月14日大崩山系


宮崎県日之影町日隠林道を約10km進んだところに五葉岳・化粧山・鹿納山の登山口があります、そこからゲートをくぐりさらに2km進んだところに大吹鉱山跡五葉岳・頭巾岳登山口があります。
この登山口から五葉岳は最短です、でも今日はこの登山口からブナの三叉路を通ってお姫山へ行き更に五葉岳を周回する予定です、ルートはしっかりしているのですがこの登山ルートを使う人は少ないようです私も今日が初めてです。
登り始めて30分くらいの時です、登山口とブナの三叉路との中間くらいの場所ですがスズタケがぱらぱらと茂っている場所で左手の斜面にスズタケの間をかき分けて進む何かの音がするのでそちらに目を凝らしました。
30mくらい離れたところに茂ったスズタケの間が2mほど開いているところがあり、そこをその音の主がノソノソと歩いて通過していったのです。
見たのはわずか2〜3秒くらいの短い時間でしたが通過して行く全身をはっきりとこの目で見ました。
黒っぽい色の毛に覆われた大型の猿くらいの大きさの動物です、でも色は黒だったし歩き方も猿ではありません、足が太くて長かったので猪でもなく鹿でもありません、その3つを否定するには一瞬あれば見分けられます。
熊だと思いましたが確信はありません、もしかしたら日本カモシカと見間違ったのかもしれません。
日本カモシカは大崩山系では結構見かけるので何度か遭遇したことがあり色も違うので見間違うことはないと思うのですが、後から『あの出合った動物は何だったのか』と問い詰めて考えると確かに子熊に似てはいたがまさか熊とは考えにくいので無理やり理屈をつけると日本カモシカだったのではとも思えます。

そのとき見たのを絵にしてみました。
今となってはおぼろげですが、この絵はその日の内に帰ってからすぐに書き記していたものなのでイメージは伝わると思います。


写真は当日その場所から少し進んだところですが感じとしては同じような感じです、実はその時あわててその場所から離れたのでその場所の写真はありません。

 

 


第3話01年頃の冬(記録していないので時期はあいまいです)大崩山系


私は登山とともにオフロードバイクに乗り林道を走るのが趣味です、このときは仲間3人と雪の林道を走ろうと出かけました。
場所は第2話と同じ日隠林道で大吹鉱山跡五葉岳・頭巾岳登山口から更に数km進んだ所です。
日隠林道の大吹鉱山跡五葉岳・頭巾岳登山口までは車で入れます(今は台風の影響で崩壊しており通行できません)そして更にその先はオフロードバイクであれば何とか進むことが出来ました。

すでに日隠林道の途中から林道上には薄っすらと積雪があり慎重に進んでいきました、舗装路の積雪は滑りますが未舗装路上にある新雪はほとんどすべることはなく凍結さえ注意していれば問題なく走れるものです。
大吹鉱山跡五葉岳・頭巾岳登山口から更に林道は伸びていますが車が通っていないので人の頭ほどある石がごろごろと転がっており、さらにその上に雪が降り積もっているものだから前輪を取られないように進めそうな場所を見極めるのに一苦労します、まるでトライアルか障害物競走のようにゆっくりと雪の林道を走りますが結構汗をかくものです。

そうやって数キロ進むと谷に行き着き林道の終点です、そこの積雪は10cmくらいでした。
バイクのエンジンを切りヘルメットをとると静かな風が心地良く吹いていました。
振り返ると林道の積雪は私たちの通ったバイクの轍だけがくっきりとついていました、所がその中に丸い足跡がいくつも残っています直径20センチくらいだったと思います、仲間と「この足跡何だろうか?もしかしたら熊?」と話したのですが雪の上の熊の足跡など見たこともないのでわかりません。

雪山登山で動物の足跡は結構見かけるのですがこんなに大きくて丸い形は見たことがありません。
少し時間がたっていたようで輪郭ははっきりとしていませんでした出来立ての足跡ではなく1日くらい経過したかなといった感じでしたのでそのために輪郭が丸くなったのかもしれません。

この第3話は一番確信がありません、従って話しに出す必要もないくらいです、しかし第2話で熊のような動物と遭遇した場所から直線距離で2kmくらいしか離れていなかったので気になっていました。


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