美術作品等の日常チェック
及び保存について
1.作品は、高温〜多湿の場所へ展示・保存しないで下さい。特に、直射日光の
当たる場所やホコリの多い場所は避けてください。又、エアコンの吹き出し口
近 くへの展示も要注意です。更に水彩画、版画等では、一般用蛍光灯照明
器具の直下での長期間の展示も退色の原因となる場合がありますので注意
して下さい 。
2.作品(額縁)にガラスやアクリル等の装着が無い場合、長年のホコリ、油煙、
タバコ煙、虫糞の付着等による画面の汚損、変色、黄化等が考えられます。
但しガラス、アクリルの装着は、逆に湿気を閉じ込めることにもなり、黴等の
原因になる場合がありますので、適材適所の判断が必要になります。
3.作品(額縁)の展示に於ては、壁面に「止め金具」を確実!に固定して下さい。
壁面が脆弱な場合、落下による大きな破損事故となります。特に大型の作品
や、重量のある作品、ガラス入りの額縁は要注意です。又近年の突然の地震
災害に備えて工芸品や彫刻作品についても、倒壊や落下に対して日頃から意識
を持っておく事が必要です。
4.一日内、もしくは数日内に、温度差の極端に違う場所へ作品を移動した場合、
作品上もしくは作品周辺に結露し、後年…黴等の弊害を生じる事があります
ので、注意して下さい
5.作品を展示されない場合、例えば額縁収納箱等に入れて保管される場合に、
その箱内の作品をビニール袋等の密閉度の高いものに長期間入れたままに
すると、黴の大きな原因となります。又特に油彩画の一部には画面が不乾性
になり額縁の「入れ子」と癒着するケースがあります。
6.半年から1年に一度くらいは、作品の状態(油彩画の場合は、キャンバスの
張り具合等…)をチェックして下さい。もし、キャンバスの張りゆるみが激しい
場合…更に数ヶ月経ってもその張りが戻らない場合は、出来るだけ早く張
り戻しの必要があります。又作品周辺に堆積したホコリ等は、こまめに掃除
をして下さい。昔から行われています「虫干し」は、日陰に於て実施する限リ
は良い方法(メンテナンス)と言えます。
7.作品の状態が良くない場合は、出来るだけそのままにして、早急に専門家
にご相談下さい。不用意に手を加えた為に、とり返しのつかない症状になる
事もあります。くれぐれもご注意下さい!!
岡崎絵画修復工房:岡崎純生
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その他にも多くの症例があり、ここで全てを明記する事は出来ませんが、
夫々に対策を講じていますので、どうぞ気軽に修復家へご相談下さい。
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