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美術品の修復・保存について(2)


現在、多くの美術品がごく自然な形で、私達の日常生活空間の中に
とけ込んでいます。絵画版画写真彫刻オブジェ…等の作品が
一般家庭や学校、公共施設、そしてオフィスに至るまで、インテリア
の一部として用いられています。            
             

日頃、一部のものを除いてはメンテナンスを怠りがちなものであるだけに
気がつくと数年間そのままになっているものが多く見られます。また一旦、
倉庫等に収納されると…何年間もそのまま、といったケースも多い様です。
美術品も、私達の廻りに見られる家・車・家具と同様に、年月経過や環境の
変化により、知らない間に少しずつ劣化している場合が多いのです。
困った事に、一度劣化が進行してしまうと、ひどい場合には修復すら不可能
といったものも出てきます。                               

油彩画作品裏面・水流れ跡 絵の具層の亀裂浮上り剥落
       修復前

       油彩画
 キャンバス裏面への水流れ
                修復前

     その影響による画面絵の具層(地塗り層共)
     の亀裂・浮き上がり・剥落

美術品も、一つの物質である限り、どんなに保管(保存)に心掛けても、日々
少しずつ変化(劣化)して行きます。しかし適切な
保存処置、更には「機」を得
修復処置によりその進行を極力遅くする事が可能となります。      

現在、私達が生活する建物及び環境は大変快適になっています。人工的な
空調により、一年中同じような快適さの中で生活しています。しかし、意外
にも大変不自然な環境を強いられていることを、私達は気が付いていないの
です。この不自然さこそが、湿度コントロールの不備であり、それに伴った
いろいろの弊害発生の源となっているのです。             
         

油彩画・画面部分比較
油彩画作品部分(修復前)黴・結晶 油彩画作品(修復後)処置完了
      修復前
湿度過多環境による黴・結晶発生
        修復後
    黴殺菌等…処置完了

例えば、考えられない場所でのの発生、更に害虫の発生、反面…乾燥
過多によるダメージ等があげられます。これらの原因で美術品に黴の発生、
キャンバスの変形、紙の波打ち
にそれらの変形に伴った絵の具層の
亀裂、浮き上がり〜剥落
が発生します。
                 

油彩画・画面部分比較
油彩画作品部分(修復前)亀裂・剥落・波打ち 油彩画作品(修復後)処置完了
      修復前
画面上の波打ち・亀裂・剥落
      修復後
     処置完了

更に別の問題として…作家自身が用いた材料の不良性、及び表現を
重視した為の技法の無理…等の原因による劣化が指摘されます。
例えば油彩画のキャンバスを張る際の木枠の不良及び張り方の不備、
版画・水彩に用いられた紙質(酸性紙)の問題、制作工程に必要とされる
乾燥及び保護処置(油彩画の保護ニス処置等)の不備があげられます。
これら複合原因によっても美術品の劣化損傷が発生し、更に時間の経過
に伴って状態は益々悪くなっていくのです。                           

油彩画・画面部分比較
油彩画作品部分(修復前)亀裂・浮きあがり・剥落・黴 修復後
      修復前
裏面浸水による絵の具層の
浮き上がり・亀裂・剥落・黴
      
     修復後


     各処置完了

油彩画作品部分(修復前)黴・結晶 油彩画作品(修復後)処置完了
       
       修復前

湿度過多による黴・結晶発生
       
       修復後
      各処置完了

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「まずは、日頃私達が何気なく見ている美術品を、
一度チェックしてみては如何でしょうか?」
 


岡崎絵画修復工房:岡崎純生 

美術品のチェックについて!


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