(8:00)池袋→(9:20)越生駅→(11:50)西山高取→(14:20)林道終点→(17:40)越 生駅→(19:15)和光市駅
膠原病から復活過程にあるタカハラさんから、障害者といっしょに山登りしない かとのお誘いを受けた。障害を持つ人といっしょに山に登っている「しろうまの 会」の月例山行に参加するのだそうだ。興味があったし、越生にいきたかったこ ともあり、ごいっしょさせてもらう。
集合場所である池袋に行くと若い人たちがいっぱい。一瞬、集合場所を間違った かと思う。しかし、女性が多く、力仕事のできる若い男性が少ないのが悩みとい う。例会参加は40人を超えるが、行動は班ごとに分かれる。ぼくは歩行障害を持 つBさんとタカハラさんをサポートする班に入れてもらう。リーダーはOさんと いう強そうな女性。ほか4人のメンバーも経験が豊かそうで安心だ。
ぼくは主にタカハラさんのサポートをする。障害が残る彼女は重い物が持てない。 サポートといっても雨具やストックを持つことと、ペットボトルのふたを開ける ことくらい。Oさんは傾斜がきつくなったり段差が大きいとちょっと大変。それ に比べれば大したものではない。
ルートは役場横から無名戦士の墓を経由して西山高取に向かう。元気よく越生駅 を出発したのはいいが、すぐに「道はどっちだ」になる。山岳会ならリーダーが 必死で地図を広げるところだが、われらがリーダーはそんなことで動じない。迷 わず山に向かって進む。いいぞ。
登り始めは緑色片岩が目に付く。他のメンバーから好奇の目で見られながらもハ ンマーで割りまくる。しろうまの会はペースがゆっくりで置いて行かれる心配が ないのがうれしい。無名戦士の墓を過ぎると本格的な山登りとなる。急傾斜が続 くと杖が全く役に立たず、Bさんは大変そう。それでも要領よくお手伝いするみ んさんに感心。
感心ばかりしてないで、少しは働いたらよさそうなものだが、まずはよく観察し て、勉強することが大事なんだと自分に言い訳する。西山高取に着くと稜線を吹 く風が涼しい。ここで幹事のMさんとタローが追いつく。先行組はさっさと行っ てしまい、結局ラストのパーティーとなってしまった。
ここからは多少緩やかな稜線となる。大高取山直下の急登は見ただけでしりごみ したくなる。Mさんが巻き道でいいというので迷わずトラバース。タカハラさん は急傾斜の下りにてこずる。下りはひざに負担がかかるから厳しいという。ルー ト沿いの露頭は石英の塊。よく観察するがそれ以上の物は見つからない。しばら く行くとみな立ち止まっている。道はジグを切って急傾斜を登っている。結局巻 き道ではなかったのだ。
とりあえず戻る。途中から沢沿いに下る道を進む。本来のコースから外れること は明らかだが、安全に下りられるのなら悪くない選択だ。みんなで相談してこの 道を下ることに決め、腰を落ち付けて昼食にする。沢には石英塊がゴロゴロして いる。早目に食事をとり、石を物色する。
先行したMさんが車を手配してくれた。林道終点まで10分ほど下って順番に車で ゆうパークに向かう。ショートカットしたため、一番乗りだった。結構シビアな 状況だったのに、リーダーをはじめ全員笑顔を絶やさず行動できたのは大したも んだ。バーベキューで交流し、越生駅に。
初めてサポート体験はとても勉強になった。障害者登山のお手伝いは特殊な技術 が必要なものではない。そういう部分は難しいものではない。しかし、気をつけ なければいけない面があることも分かった。
何をどうお手伝いするかは障害の程度によってさまざまだ。タカハラさんは「よ かれと思ってやってくれたことでも、負担になることがある」という。何をお手 伝いすればいいのかは、本人に確認することが一番いいのだ。つまり、気を利か せることよりも、きちんとコミュニケーションをとる方がいいというわけだ。
でも、これって障害を持つ人に対してだけに当てはまることだろうか。お互いの 意思を常に確認しあうのはパーティーを組んで山登りをする場合には一番大事な ことのはず。なーんだ、ということは山登りの基本ができていれば障害者のお手 伝いでも十分役に立つということか。けれど山ヤにとってもそこが一番難しいと ころかもね。