ヒスイ海岸で返り討ち


コースタイム

15日(23:30)練馬市役所前→(5:40)富山駅→(7:40)越中宮崎海岸駅→(11:30)市 振駅→(14:00)須沢バス停→(14:25)糸魚川駅→(18:00)池袋

前回の失敗を取り返すべく、夜行バスで富山へ向かう。今回はヒスイ輝石の確保 とともに、できる限り広範囲に海岸を回って採集地の状況を調べる方法を採る。 当初は青海町と糸魚川市を巡回する予定だったが、「西の方が条件がいい」とい う不確かな情報を得て、宮崎から市振も回ることにする。

朝日に照らされた剱岳を見ながら越中宮崎に向かう。きょうは天気がよさそうだ。 宮崎海岸は波も静かで好条件。地元の人が先っちょに熊手と小さな網のついた 「マイ棒」を使ってテトラ付近を探していた。「水の中でも見分けられるのです か」と声をかけたら、それらしいものはすべて拾うのだそうだ。なるほど、それ は確実な方法だと納得した。歩き初めてすぐ、メノウを拾う。前回のものより大 きい。白っぽいけれど繊維状の結晶が見える透閃石(ネフライト=軟玉)も見つ かる。幸先いい。

しかし、肝心のヒスイ輝石は見当たらない。樹脂光沢を放つような石は全然ない。 光らなくてもいいや、重ければと片っ端から手に取るがずっしりとくるような石 はない。しかしまだ早朝だ。ヒスイはなくてもさまざまな種類の石があるのでそ れで満足する。前回は波打ち際をまんべんなく探索したが、海中から石が運ばれ てくる場所は限られている。石の集まっている場所を効率的に調べた。

それにしても工事中の個所やテトラが積まれた海岸が多すぎる。境海岸ではブル ドーザーが土砂を押し流し、海が茶色になっていた。市振では捨てられた岩石が テトラのすきまを埋めていた。「糸魚川市から朝日町までの海岸ならどこでも拾 える」といわれていたのは昔の話。いまは波打ち際に出る場所でさえ限られてい る。4時間ほどかけて歩いたが、宮崎海岸と市振海岸以外は川から流れてきた青 く結晶した鉱物を拾った境川河口以外にめぼしい場所はない。

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カモメにもなめられた市振海岸

市振海岸では2人が立ち込んで「マイ棒」を駆使していた。ここは上がってくる 石が大き目で、大物が狙えそうだ。海岸に付いてすぐ、波打ち際に白い石発見。 大きさの割りにずっしりと重い。ただし、結晶は繊維状で明らかにヒスイとは違 う。硬さもそれなりのもので「コランダムか」と期待したが、違うみたい。正体 不明で1kg以上あるがとりあえずゲット。なぜか、サケの頭が散乱していてカモ メやトビがつついていたが、ヒスイは発見できず。海岸から10分ほどで駅に着い た。

次は青海を巡回。地図を確認しなかったので青海川河口を見逃してしまった。と りあえず、寺地の海岸に出る。ここは須沢まで、広大な砂浜が続いている。地図 で見る限り、条件はよさそうで期待したのだが、大外れ。広い割りにポイントは 少なく、ほとんどウオーキング状態だった。とくに波打ち際が急傾斜になってい て、石が上がってこない地形になっているところが多いのが致命的だ。

田海川を越えたところで、ヒスイ輝石の表面に見られるような結晶が付いた石を いくつか拾った。見た目はヒスイそっくりだが、軽すぎる。たぶん曹長石だろう。 はっきり石英と分かる石にまで部分的にヒスイの結晶が付いているものもあった。 手の込んだキツネ石だ。危うくだまされるところだった。ふう。しかし、ヒスイ 輝石と曹長石では生成の条件が少し違うだけだから、両者の間にはっきり線が引 けるわけではない。おそらく中間的な石だってあるはずだから、ヒスイといい切 れないこともなかろう。とりあえず持ち帰って、比重を計ってから結論を出して もいいじゃないか。本物を手にできてないからちょっと弱気になる。

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ご利益ありそうな巨大ヒスイ原石

14時15分のバスに乗らないと遅くなる。満足な成果を得られないまま、とぼとぼ と須沢のバス停に向かう。バスに揺られながら糸魚川でもう1ラウンド周るか悩 んだが、14時37分の「はくたか」で帰ることにする。列車の時刻が迫る中、駅前 の土産物屋「ヒスイ王国」に飛び込んで1階に飾ってある巨大なヒスイの原石を 写真に撮る。今回は見るべき成果はなかったが、次こそちゃんとした標本をゲッ トできるよう巨大ヒスイにお願いして糸魚川を後にする。

駆け足で日本海の海岸を回ったが、ヒスイの感触をつかんだのは宮崎と市振だけ だった。とくに宮崎は石の種類が豊富なので探していても楽しいが、境はサケの 頭とカモメ、カラスはたくさんあるがめぼしい石はない。市振は条件がいいが狭 いので、地元の人がいればおこぼれは難しそう。寺地はアプローチが長いわりに 探索個所は限られている。残るは糸魚川と親不知、それに川。まだまだ、巡回し たい場所はあるし、フォッサマグナ・ミュージアムや青海町の自然博物館、翠宝 堂さんも見学したいし、山も行きたい。次こそリベンジ果たすぞ。

この日集めた標本は全部で17点3.2kg。メノウや方解石、緑閃石もいくつかある。 すべて重量と比重を計り、透明度や硬度、蛍光性を調べた。そこまでやっても、 ヒスイ輝石とはっきり断定できるものはなかった。これだけ集めればひとつくら いは引っかかるかと思ったのだが、甘かった。でも、いくらデータ的にヒスイ輝 石と同定できても、見た目がヒスイらしくなかったら誰も信じてはくれないだろ うな。やっぱりひと目でそれと分かる石を手に入れないと標本としてはふさわし くないだろうなあ。