キツネと蛇紋石がお気に入り


コースタイム

21日(7:45)東中野駅→(10:05)上長瀞駅→(10:15-12:50)自然史博物館→(12:50) 荒川→(14:20)上長瀞駅→(14:53)親鼻駅→(15:10-16:30)皆野中学下の川原→ (16:45)親鼻駅→(17:40)西武秩父駅→(19:45)練馬駅

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巨大ザメがお出迎え

今回の相棒はカホちゃん、コズちゃんの小4コンビだ。行きの電車ではまだ、緊 張しておとなしかったが、博物館の受付で松ぼっくりをもらうともう全開。入り 口には全長13メートルの古代ザメ「カルカロドン・メガロドン」の実物大模型と あごの骨が展示されている。その大きさに「あり得ない!」を連発する。ちょう ど「石コレクション」が開催中だったので石に興味を持ってもらうチャンスと考 えていた。ところが、ガラスケースに収まった標本はどんなにきれいでも興味が わかない様子だ。逆に直に触れる川原の石コーナーが好評だった。カホちゃんは 「これチャート、これは石英でしょう」と伊豆ケ岳の水晶採集で学んだことをよ く覚えていた。いつの間にか方解石と大理石も覚えた。よい子だね。

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キツネもお気に入り

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テンも

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イタチも

しかし、子どもたちにもっとも人気があったのは「さわれるはく製コーナー」。 カホちゃんはキツネ、コズちゃんはテンが「ふかふかしてやわらかーい」とたい そうお気に入りで、かなりしつこくなで回していた。猿、アナグマ、タヌキ、イ ノシシ、イタチ、モグラ、ノウサギ、キジ、カラス、ネズミなど展示されている 動物はすべてこの付近の交通事故犠牲者なんだそうだ。ほとんどの動物はなで回 されて頭のてっぺんがはげてしまっている。虎は死んで毛皮を残すというけれど、 この動物たちは虎よりはるかにお役に立っている。はく製で散々粘られたが、音 声案内器「おしゃべりマイマイ」を手にして第2ラウンドが始まる。片っ端から 音を出しまくる。「全部やらないとなっとくできなーい」。ピヨピヨ、ガーガー... 鳥の鳴き声聞いては歓声を上げる。もう、当初の予定はないに等しい(涙)。博 物館でこれだけ盛り上がっていただけるとは思わなかった。ふう。

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「おしゃべりマイマイ」で鳥の声を聞く

せっかくだから長瀞の石畳も見てもらいたい。子どもたちを博物館から引きずり 出して川原へ降りる。はじめは足元が怪しく不安だったがすぐに慣れ、岩場を飛 び跳ねる。昼食用の豆もちがなかなかうまく焼けずに焦ったが、ナイフでこげを こそぎ落としてなんとか食えるものになった。子どもたちは遊ぶのに夢中で昼食 に執着してないようなので助かった。岩場の歩き方が様になったので、岩登りを して遊ぶ。コズちゃんはもっとも簡単そうな所を探してさっさと登る「一般ルー ト派」。一方、カホちゃんは難しかろうが強引に直登する「バリエーション派」 と好みが分かれる。石畳には黄鉄鉱の結晶もあり、子どもたちは興味深々。ここ は天然記念物なので採集できないから見るだけなのが残念だ。

上長瀞の駅に着いたらちょうど電車が出たところだった。なかなかうまくいかな い。駅前でお茶を沸かして飲む。子どもたちから「ホームレスごっこ」といわれ た。時間がおしているが石を拾わないわけにはいかないだろう。親鼻駅から歩い て15分ほどで荒川の川原だ。探すのは「蛇紋石」という緑色のもろい鉱物だ。露 頭もあり、そこら中に破片が転がっている。薄くそぐと光を通して緑色がきれい だ。石はいくらでもあるが、見栄えのするものを探すのは難しい。

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チムニーを登るカホちゃん

カホちゃんは大きいハンマーで無造作に露頭をたたき、コズちゃんは小さいハン マーとタガネでめぼしい破片をしつこくそいでいた。時間も気になるのでもう十 分でしょうと声をかけるが、2人とも目がマジ。「何をいってるの。まだまだ」 と相手にされない。はっきりいって蛇紋石なんかありがたがる人はいない。磨け ば多少見栄えはするけれど、原石に魅力を感じるものではない。子どもたちがこ れだけ真剣に採集しても、周囲のおとなたちがどれだけ理解してくれるのだろう か。一方、子どもたちははしゃぎ回って話をちゃんと聞いているのかよく分から ないが、半分くらいは理解しているらしい。おとなのようにごまかすわけにはい かない。

たっぷり1時間採集してやっと納得。親鼻の駅を出るときはすでに17時をまわっ ていた。予定ではそろそろ練馬に着く時刻だ。ユキさんにどうやって言い訳しよ うか気が重い。子どもたちは「遠足みたい」とご機嫌だ。電車を待つ間もホーム を駆け回り、電車に乗ってもおしゃべりが絶えない。電車に乗ってしまえば疲れ ておとなしくなるだろうと思っていたが、大外れ。最後には記録をつけていたぼ くの手帳にまで目をつけ、カキコをしてきた。いったいのこの元気はどこからく るんだ。こちらのパワーはもう限界に近い。子どもが相棒だと流すところがなく、 気を抜けない。時間が長ければ、それだけ消耗も激しくなる。計画が甘かったこ とをちょっと反省する。

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蛇紋石を採集するカホちゃん、コズちゃん

今回はあれもこれもと欲張りすぎた。子どもたちの集中力を考えたら、もう少し じっくりと構えた方がよかったかもしれない。それでも地下鉄練馬駅で別れると き、何度も降りかえって手を振ってくれていたから、カホちゃんコズちゃんには 納得のいく1日だったのかもしれない。後日、ユキさんからカホちゃんの様子を 聞く。いろいろ勉強したことを話してくれたそうだ。しかし、悲しいかなユキさ んはカホちゃんが報告する埼玉の地質史や鉱物などの話に付いていけない。そろ そろユキさんにも理解できるような素材を提供し、勉強してもらう必要があるか も。

カホちゃんは雪を被った山を見れば「あそこに登りたーい」、岩登りのロープを 出しているおじさんを見れば「岩登りやってみたい」、荒川でカヌーを見れば 「乗ってみたーい」とやる気を見せてくれる。鍛えがいがあって大変よろしいが、 もうちょっと歩けるようにもなってほしい。