愛すべきイノシシ


コースタイム

31日(8:30)甲子園駅→(9:15)芦屋川駅→(9:30)高座の滝→(9:35)高座川えん堤 →(10:50)高座の滝→(11:20)芦屋川駅→(11:50)甲子園駅

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山は春満開

きょうは高校野球が1試合だけなので午前中に六甲の巡回を行う。芦屋川駅を降 りると川沿いの桜が満開だった。こんないい季節にこられるなんて夢のようだ。 ハイカーを追い越して高座の滝から岩場を登る。桜とともにツツジも季節になっ た。キノコもそろそろお出ましかな。

岩場から高座川のえん堤にいく。さっそくイノシシ親子とご対面できた。親1匹 に子が3匹。こちらの姿に気がつくと子どもはさっと斜面を駆け上がってしまっ た。しかし、その場にうずくまってじっとしていたら、ふたたび水場によってき た。おやイノシシはこちらに注意しながらも、すぐに逃げるそぶりは見せない。 しばらく観察していたが、中高年ハイカーがどっとやってきて「イノシシがいる わよ」と騒ぎ出したのでゆっくりと上流に退散していった。

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悠々と歩くイノシシ親子

イノシシがいなくなったので石を物色する。よく探せばペグマタイト位はありそ うだが、時間が限られているのであまり熱を上げたくない。とりあえず閃緑岩の サンプルを確保したのでよしとしよう。地元のおじいさんが2人で「最近ハナコ を見かけないな」などとイノシシ談義をしている。中身がディープ過ぎてついて いけない。

しばらく水辺で遊んでいると、山の方から別のイノシシがやってきた。親1、子1 のペアで、真まっすぐこちらにやってくる。親は1メートルほど手前までやって きてこっちをジーと見る。それでいて襲ってくるような様子もない。えさをくれ るのを待っているようだ。あまりに人懐っこいのでついあげたくなるが、それは できない。両手を広げて「食いものはないよ」とアピールするとしぶしぶ離れて いく。母親の後をちょこちょこと付いていく子イノシシのしぐさがおもしろくて しばらく観察を続ける。

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中学生にも人気者

イノシシは地元のおじいさんに呼ばれて、跡に付いて歩いていたが、気づいた子 どもたちが大勢やってきてにぎやかになったのでまたまた、山の中に戻っていっ た。とはいえ子どもたちも中高年ハイカーも大騒ぎして、イノシシを驚かせたわ けではない。人数が多かったのでにぎやかではあったが、マナーを守った接し方 だった。えさをねだってかみついてきた数年前に比べたら、イノシシと人間の関 係はずいぶん変わった。共存共栄できるようお互いに勉強したんだなあと思った。

これだけ近くでじっくりと野生動物を観察できる機会はめったにはない。動物園 でもないのに子連れで人間の前に悠々と現れる野生動物がどれだけいるんだろう。 イノシシといえば、やみ雲に突進してくるものと思っている人が多いようだが、 それは真実ではない。もっと多彩な動きをする愛すべき動物だということが、こ こにくればよく分かる。帰り道、夏にイノシシに出合った場所で2人の女子中学 生が目をキラキラさせながら教えてくれた。「そこにイノシシがいるんですよ!」

高座川周辺は手軽に野生動物との付き合い方を学べる場になりつつある。この貴 重なフィールドを大事にしていきたい。同時にイノシシは、昼間に行動すること、 体が大きいことなど観察しやすい条件のそろった動物だ。鹿やカモシカに比べた ら、ずっと愛きょうもある。うまく付き合えれば大いに人気も出に違いない。今 後とも仲良くしていきたい。