大逆転の高尾キノコ散策


12日(8:10)吉祥寺→(8:50)高尾駅→(9:20)蛇滝口→(9:45)日陰沢→(12:00)頂 上付近→(14:55)ケーブル駅→(15:10)高尾山口駅→(16:20)新宿

キノコの観察に、東京近郊で比較的自然林の多そうな高尾山に出かける。雑木林 の多そうな日陰沢から登る。たしかにモミ混じりの自然林だが、乾燥気味でキノ コは少ない。たまに群生しているのはフジウスタケくらい。煮こぼせば食えると いうが、そこまでしてで毒キノコを食う気にはなれん。まだ相当暑い。時期が悪 かったか。稜線に上がるとやや種類も増えるが傷んでいるものがほとんど。ザラ エノハラタケだけはしっかりしたものがいくつもあったので写真に撮る。でも、 食えるって知らなかったので採らなかった。せっかく図鑑を持ってきたのに惜し いことをした。

山頂近くになると人がどっと増え、急ににぎやかになる。道を外れてキノコを探 せる雰囲気ではない。周回コースで頂上を巻き、稲荷山コースから下山する。杉 林がつづくので飛ばす。だいぶ下ると雑木林が現れるが、ドクツルタケくらいし か見当たらない。今回は外れかと落胆しながら歩いていると道端に怪しいキノコ 発見。茶色い傘に茶色い柄。同定が難しいが、傘の裏の色と根もとが太くなって いることからフウセンタケ科のキノコだろう。斜面を降りていくとあちこちに顔 を出している。かなり大きいが整った固体はほとんどない。食えるかどうかは分 からないが、とりあえず、いくつか採集する。キノコに誘われて斜面を下ってい くと、今度は中型のイグチが現れる。傘がしわしわで特徴がある。シワチャヤマ イグチだ。かなりきれいなものが多かったのでこれもカゴに入れる。かなり収穫 があったので満足して下山する。

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アカヤマドリ。これで収穫の半分

ケーブルの駅がチラチラ見えはじめたころ、上方にオレンジ色の大型キノコを見 つける。人目もはばからず、ヤブっぽい急斜面をよじ登る。傘の径20センチほど のしっかりしたイグチが群生していた。さっそく図鑑で確認すると「アカヤマド リ」だった。もちろん食える。柄が堅くしっかりしていてヤマドリタケモドキの ようだ。生長したものは傘がひび割れ、黄色い肉が見えている。間違えようがな い。こんな目立つキノコが人通りの多い登山道脇に残っていることが不思議だっ た。傘が30センチを超えるものもあったが、虫に食われていない状態の良い物を 選んで採集。それでも、8本になった。食えないと分かったシワチャヤマイグチ はその場で捨てたが、カゴには半分も入らない。新聞紙にくるんで無理やりザッ クに押し込む。一発大逆転だ。思わぬ大収穫にぼう然としながら高尾山口駅に向 かう。

持ちかえったのはいいが、いったいどうやって食うかが次の課題だ。とりあえず、 さっと湯がいて刺身。歯ごたえはあるが味はあまりしない。スライスしてオーブ ンで焼いたらほんのりと甘くうまかった。塩・コショウしてステーキ風にしても ボリューム感があってお勧め。しかし、あまりにも大きいので1日に1本食うのが やっと。K阪さんら職場の知人にもおすそ分けしたが、まだあまりある。水分を ふき取ってスライスし、冷蔵庫に入れ6日間食いつづけた。クリーム煮、つくだ 煮などこの機会にいろいろと試してみた。煮汁がまっ黄色になってしまうが、イ グチらしい独特の香とふんわりとした傘の食感がどんな料理にも合う。ふつうキ ノコは日がたてば味も香もかなり落ちるものだ。しかし、アカヤマドリは最後ま でおいしかった。なかなか良いキノコに出会えた。