6日(5:50)練馬高野台→(7:00)上野→(9:50)林道入り口→(10:40-13:40) 錫高野のズリ→(14:35)錫高野山崎→(15:40)水戸→(18:00)練馬高野台
「関所越え」 |
「水晶が採りたい」というN尾君のリクエストを受けて朝6時前に練馬を出発。 上野駅から常磐線の特急に乗って錫高野へ遠征する。駅で切符を求めたら「ひた ち往復キップ」が安いっていわれる。確かに指定が取れて20円くらい安い。知ら なかった。N尾君は鉄道ファンで特急に乗れることをとても喜んでいた。何度も 乗っているぼくよりずっとよく特急列車の種類について知っていて驚いた。車中 で朝食にパンを食い、サンプルを見せながら鉱物の説明をしているとあっという 間に水戸だ。
水戸でバスに乗り、石塚(常北町)でタクシーに乗り継ぐ。ほぼ予定どおりゲー ト前に到着。雪の積もった林道を歩き出す。水たまりに張った氷で遊んだり、石 を観察しながら進む。やや大きな水晶の側面だけのかけらを拾ったので、Kenく んに渡すととても気に入ったみたい。「きょう一番の大物」とご機嫌だった。 Kenくんは途中で早くも錫石を拾う。いったいどこを見ているんだか、大したも んだよ。ズリの手前には橋の真ん中が陥没した「関所」がある。しかし、2人と も楽勝で関門を突破してしまい、ちょっと残念。待望のズリはまだ雪で真っ白だ けれど、年末にくらべればまし。適当な石英片を拾って割ると緑色をした蛍石が 現れた。気合が入る。
結晶あるかな |
斜面を登って杉林の中に入ると雪はすっかり消えていた。思い思いにそれぞれが お目当ての石を探す。錫石は思ったよりある。でも、水晶は小さいのばかり。い つものようにKenくんは「おっ、すげー!」を連発。水晶はもちろん錫石や蛍石 も要領よく見つけている。一方、N尾君はなかなか成果が上がらず焦っている様 子。ここでは、石の表面をよく観察して結晶を探すのが採集のコツ。ところがN 尾君は、大きな石を割ろうとしているから、なかなか結晶は出てこない。それに 気づくまでちょっと時間が必要だった。でも、自分の力で見つけようという意欲 を持つことは大切なことだ。ちょっとだけ、助け舟を出す。坑口付近は露頭も残っ ているし、標本となりそうな錫石もまだ十分ある。
ここでも石を探しました |
お昼になったので下に降りてモチを焼く。山形土産のくじら餅は好評で、用意し た食料はすべて片付いた。こちらでは、雪の中から石英のかたまりを拾い出し、 片っ端から割る。マンガン鉱山でさんざんハンマーを振るったから割るのは得意 だ。今度はちゃんとみんな黄鉄鉱や蛍石が採れた。採集の成果には満足できたよ うだが、すべて持って帰るにはザックが小さすぎる! 分からん石は家で割れば いいと思っていたN尾君は計画が破たんした。もちろんKenくんもたくさん拾っ てはいたが、そこは経験の差が歴然と出る。何を残し何を捨てるか。これは好み や思い入れがあるから他人の口出しは無用。自分で考え抜いて結論を出さないと 納得できないもんね。「ザックが小さすぎた」と文句をたれながらも何とか詰め 込んだN尾くん。これがいい修行になるんだな。自分もいつ、舌切りスズメの欲 張りじいさんにならんとも限らない。気をつけたい。
帰りの林道歩きは気が緩んで遅れがちだ。バスの時刻があるので気をもみながら 歩いたが、5分前には滑り込めた。バスの中では全員しっかり寝た。子どもたち は終点に着いてもなかなか起きなかった。水戸駅からは予定通りフレッシュひた ちに乗る。林道歩きでは「明日は筋肉痛になりそうだ」と悲鳴をあげていたのに 電車の中でははしゃぎまわっていたN尾君だった。Kenくんはというと、西武線 ではさすがにおとなしくなったのでやっぱり疲れたんだと思っていたら、まだま だ元気で、その日は午後10時過ぎまで起きていたそうだ。ふーん、今度は2時間 以上歩いてもらう産地にしよーっと。