24日(7:20)田端→(10:00)錫高野林道入り口→(10:40-15:30)錫高野のズリ→ (16:05)林道入り口→(18:45)田端
鉱物同志会の採集会が錫高野であった。年末年始に3度も通ったところではあっ たが、産地が広大でまだまだ学べることがあると考えて参加した。トパーズをは じめ主要な鉱物はすでに手元にある。今回は余裕をもって参加できるはずだ。
集合場所の田端で、大蔵鉱山で会ったY田さんに再会。その後、鈴庫鉱山でブー ランジェ鉱を採集したことや大宮鉱山のバラ輝石の話で車中は盛り上がった。バ スの中で回覧された今回のサンプルは13種類。ヒシンゲル鉱とかコサラ鉱とか訳 が分からんものもあるし、とても覚えきれない。トパーズは肉眼でもはっきりと 特徴が分かる大きさで魅力的だった。あとは銅関係、それに水晶かな。Y田さん は「錫石とコサラ鉱を採るんだ」と意気込んでいる。
林道前に到着したら、真っ先に歩き始める。冬にきた時に比べて道は整備されて いる。真ん中に大穴が空いていた橋もちゃんと直してあり驚いた。沢沿いにズリ を見て歩くが適当な大きさの石英片は少ないし、掘ってもあまり出ない。Y田さ んから直径数センチはある水晶の頭をいただく。表面はさびているけど、透明度 が高くなかなかのものだ。堀先生がトパーズの産地にいくというので喜んでつい ていく。奥の方には林道にも大きな石英塊が落ちている。適当な所で山道を登る。 すると道沿いに赤っぽいシマの入ったチャートらしい石が出てくる。上の方に露 頭があるそうだが、道だけに落ちているのは不思議だ。
堀先生は「トパーズは脈にきている」という。でもちっちゃな脈じゃなあ。小さ な柱面を見付けて先生に見せるが「結晶の形が分かるものでないと」ダメを出さ れてしまった。やっぱり頭付きか。そんなのあるのか。山道を登りながら水晶の が付いた石を根気よく調べていくと1ミリ程度の結晶が見つかる。でも、この大 きさでは人に見せてもその存在にすら気づいてもらえなかった。親指ほどのすき 間がある晶洞を割って、やっと2.5ミリくらいの結晶を採集する。
頭付きもたくさんあるけど、最大で2.5ミリ |
ちょうど登ってきたY田さんに見せると、驚いて目の色を変えて探し始めた。錫 石とコサラ鉱狙いじゃなかったのか。パンをかじりながら一息ついて、周囲に転 がっている石を丹念に調べる。柱面だけならいっぱいある。「根気がないから見 つかりませんでした」といいながら降りていく人にそのひとつをあげた。良品を 採集できた人たちはどんどん降りてしまうので、後から登ってきた人に狙い目を 教える。どんな小さな結晶でも、あるとないとでは大違い。見つけられない人の お手伝いもする。
降りたらすでに14時半を回っていた。15時にはズリを出発するから採集時間は後 わずかだ。途中のズリ山と新たに掘り直した溝をチェックしながら集合場所に戻 る。トパーズが採れず残念という人に、途中で拾った晶洞付きの石をあげる。幹 事のMさんから「割る前によく洗ってみるんだよ」とアドバイスを受けていた。 そうか。いきなり割っちゃいけないんだ。いいことを聞いた。でも、「さんざん 洗って磨いて、割ってみたら何もありませんでしたってこともある」ともいって いた。それもありそうでいい話だと納得する。
皆さんが採集してきたものには硫砒鉄鉱の大型結晶や黄色いスコロド石、怪しい ヒシンゲル石、鉄マンガン重石だけのかたまり、それに大きな水晶もあった。参 加者の成果を見ていると鉱物採集は運ではなく、採集者の実力がきっちりと反映 することを思い知らされた。まだまだ修行が足りないことを痛感した採集会だっ た。それでも、採集は改めて出直せば良いと割り切って、今回は他人の採集した 標本もよく見たことは収穫になった。桜は散り際だったが、木々の芽吹きは鮮や かな時期。暖かな陽気の中での採集は久しぶり。色めきたって石をたたいてちゃ もったいない1日だったかも。