「新鉱物」に釣られて岩井沢


13日(8:00)大泉学園→(9:20)西吾野→(10:45-14:10)岩井沢鉱山→(15:40)西吾 野→(17:30)大泉学園

気がつけばシャツもズボンもドロドロだった。鉱石など残っていないと思ってい た岩井沢鉱山だったが、杉ッパで埋まった沢の転石の間にはまだ残っていた。狙 い目は大石のすきまや水たまりの中。沢はすっかりヤブに覆われ、クモの巣が張 り巡らされている。そこに、はいつくばって丹念に石をさらう。

すぐに見つかるのがブラウン鉱。まっ黒で重い石。たいていは菱マンガン鉱の脈 が入っている。それに石英や赤鉄鉱、カリオピライトなどが混じっていると何が 何だか分からなくなる。次は菱マンガン鉱。黄色ッポい、しわくちゃのものが多 く、持ち帰る意欲のわかない鉱物だ。

この鉱山では1981年に新鉱物「種山石(タネヤマイト)」が見つかっている。マ ンガンの珪酸塩鉱物で黄緑―黄色の葉脈状鉱物だ。これを目当てにいまでも鉱物 愛好者が採集に訪れているようだが、そんなものでもなけりゃとっくの昔に忘れ 去られただろうちっぽけでへんぴな産地だ。とはいっても、種山石だって地味な マンガン鉱物。見た目は薄汚れた黄色っぽい筋のような物だ。ありがたがるよう なものでは決してないが、マニアは「日本産新鉱物」ってレッテルに弱いんだな。

そんなわけで、お宝を探すわけだが、これが楽な作業ではない。泥にまみれたま まの鉱石では、さっぱり見分けがつかない。めぼしい鉱石を割って水で洗って確 認する。また割って洗って調べる。こんなしょぼい作業を幾度となく繰り返す。 これも鉱物採集と割り切れば苦にもならない...はずだが、どこまでやって黒と 茶色ばかりじゃ気分も暗くなる。種山石など気配すら感じられない。

適当に切り上げるつもりだったのに、気が付けば3時間以上たっていた。われな がらあきれる。なるべく明るい、変わった色・質感の石を持ち帰る。しかし、比 重を計ったら石英だった。残念。やっぱり、新鉱物だからね。険しいがけをよじ 登るとか、ジャングルのようなヤブをかき分けるとか、骨の1本や2本、折るくら いの苦労をするとか、しないと拝めないんだろうね。日帰りでちょこちょこっと きて採集しようなんて考えがそもそも甘いと。まだまだ気合が足りないと反省。