3日(6:15)中村橋→(10:45)中津川市→(12:10-15:20)恵比寿鉱山、4日 (10:50-12:15)鎮野峠→(12:40-14:00)中津川市鉱物博物館→(17:10)恵那IC→ (22:00)大泉
石友N尾君が岐阜県の中津川市に引っ越した。N尾君の鉱物修行をサポートする ためK阪ファミリーと当地を訪れた。岐阜県といえば有名な鉱物産地がゴロゴロ している所。その中でも中津川は飛びぬけて有名な地域だ。ガイドブックにはいっ ぱい載っているがいずれも昔の話。最近の状況は今ひとつ分からない。当たって 砕ける作戦でいく。
恵比寿鉱山のズリ |
中津川市内でN尾ファミリーと合流。N尾母さんに道案内をしてもらい、まずは 遠ケ根鉱山。道路地図には載っているのだが場所がわからずあっさりと断念。一 柳鉱山もいつの間にか通過してしまった。成り行きで、恵比寿鉱山に向かう。こ こは道路わきに施設が残っており、無事到着。でも、ズリはどこだ。選鉱所跡か らヤブをかき分けて河原に出てみても鉱石らしきものはあまりない。下見をして ないから不安だ。建物裏手に小規模なズリを発見。金属鉱物らしきものがあって ホッとする。KenくんN尾君を呼んで早速採集態勢に入る。
いっぱいあるのは輝水鉛鉱らしい。小さすぎて確認が難しい。この産地は濃飛流 紋岩の中にできた高温熱水鉱床でタングステンを掘っていたという。鉱床タイプ は錫高野と同じで産出鉱物も似ているが、なぜか主要鉱石の鉄重石はあまり見か けない。「鉱物採集の旅5東海地方をたずねて」によると他に黄鉄鉱、砒鉄鉱、 ケヒリン石、ラッセル石、蛍石、トパズ、白雲母、鉄リチア雲母などが採れると あるが、なにせ20年以上前の案内書だからなあ。多くは期待できない。
N尾君が黒水晶の群晶を見つける。こんなもんがまだ出るんだ。よーっし! 気 合が入った。てな一方でKenくんは虻に追いまわされて大騒ぎ。まだまだ青いな。 でも、夏の採集では虻対策を考えたほうがいいな。そのうちお母様方もやってき て自由研究に付ける写真を撮るのどうのと大騒ぎだ。証拠写真なんてなくても、 現物があればいいじゃないと思うのだが、「そうはおっしゃいますが、青山さん。 後で私たちがどれだけ苦労するかご存知ないでしょ」なのだそうだ。はあ〜。
沢を渡って鉱山があった対岸を調査。Kenくんは2センチ四方はある輝水鉛鉱を発 見。N尾君もトパーズを確保する。鉱物はグライゼン(石英と雲母からなる変成 岩)と石英の間にきていることは分かったが、これで何とか格好がついたと思う とちょっと気が抜けた。輝水鉛鉱の入った石を割ると銀紙のようなペラペラの金 属片がでてくる。ふにゃふにゃしてとても鉱物とは思えんのだが、これが輝水鉛 鉱の特徴。これで同定に確信が持てた。子どもたちはヒキガエルを見つけて歓声 を上げる。川遊びに興じれば靴を水の中に突っ込むくらいはお約束だろう。でも、 K阪さんは「そうはおっしゃいますが」という。いまはそういうものなのか。は あ〜。
水晶を探すKenくん |
鎮野峠で水晶を探すN尾君 |
N尾家に引き揚げてすぐ雷雨になる。夏場の夕方はこんな天気らしい。温泉施設 に行ってN尾家に泊まる。夜が涼しくて快適だった。翌朝は新宿への直通バスで K阪さんが帰京。K田号はベリルの産地である福岡鉱山に向かうも、「社有地に つき関係者以外立入禁止」の看板の前に採集は断念。目標を鎮野峠の水晶に変更 する。しかし、ズリの場所が分からず途中にあった道路わきの斜面で採集。表面 採集はコツがいる。小さいけれど苗木地方特産の煙水晶、黒水晶が採れたのでや や満足。ここでもKenくんは虻に絡まれるが、余裕をもって対処していた。
中津川市鉱物博物館。入り口は「山入り」 |
次は「中津川市鉱物博物館」。ここはすごい。とくに地元・苗木で産出した煙水 晶や長石ザクザクの大型標本は圧巻だ。地元産大型トパーズの標本にはKenくん もN尾君も「すげえ」を連発。やっぱり、身近なところで採れた鉱物はいいよな あ。輝水鉛鉱もあったが、ぼくらが採集したものの方が立派だとみんなで喜んだ。 ショップには、京都まで買い出しに行った標本整理箱やラベル、ミネラライトま でがそろっていた。図書も充実しているし、うらやましいぞ中津川市民。
ソバ屋で昼食をとってN尾くんらと分かれる。ところがその直後、K田号はクラッ チが滑って19号の上り坂で前に進まなくなった。サガミの駐車場に突っ込んで三 菱に電話。哀れパジェロはトレーラーに乗せられて営業所に直行となる。結局、 恵那からレンタカーで帰ることになってしまった。「経費を浮かせようと車でき たのに、かえって高くついた」とK田さん。車ってあるんだよね。そういうこと。
恵那ICを出て間もなく暗雲が立ち込め雷がやってきた。松川ICを過ぎると前が見 えないほどの豪雨になり、駒ケ岳SAに緊急避難。30分ほど待って出発すると、雨 はあがった。K田さんと交代して談合坂まで運転する。トヨタ車はオートマのシ フトレバーがハンドルに付いているので操作に戸惑う。慌ててブレーキを踏みひ んしゅくを買う。それでも後半はスイスイといった。やっぱ、レンタカーは運転 しやすかった。
採集できた標本は多くないが、中津側周辺産地の様子が分かったし、N尾くんの 元気な顔も見えたし、得るものの多い、中身の濃い2日間だった。現地で確認し た採集鉱物は輝水鉛鉱、水晶、トパーズ、鉄重石。その後、短波長紫外線などを 使ったら石英の間に蛍石があることが分かった。よく見ると薄い緑色をしている。 でも、蛍光はほんの少し光るだけだったので分かりにくかった。他にも確認中の 鉱物がある。なかなか良い産地なので、次はヤブが深く虫の多い夏ではなく、冬 か春先に訪れてみたい。