分からなかった大黒の毛鉱


14日(5:50)大泉学園=(8:07)三峰口=(9:00)六助沢出合→(9:20-13:15)大黒沢 →(13:45)出合バス停=(15:00)三峰口=(15:35)西武秩父=(17:45)大泉学園

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大黒沢は左岸にズリが広がっている

またまた六助がアウト。1カ月たっても終わってないじゃん林道工事。というか、 橋の手前がガードレールで遮られて前回より沢に下りづらくなった。早々に撤退 して大黒へ。地下足袋で河原は歩きにくい。前回はザックを下に置いたまま登っ て失敗したから、すべてかついで登る。が、水量が多い。結構流れている。ぬれ た岩が滑る滑る。何度か尻もちをつく。お気楽採集モードから本気で遡行モード に切り替える。

採集もするが、登れるところまで登って産地の現状を観察するのが今回の主な目 的。出合の左壁が雨でえぐられ、新しいズリ石が露出していた。黒光りするマン ガンがあるのでさっそく割る。薄ピンクの菱マンガン鉱だ。ハンマーでたたきま くり、二酸化マンガンの皮膜をはがす。初っ端から消耗した。菱マンからは、た まに毛鉱やブーランジェ鉱が出るらしい。それもきょうの狙い目。透明な結晶が ついた石を拾う。方解石! とぬか喜びしたが、つぶれた水晶だった。砂利に埋 もれて自形が残っている方解石などある訳ないか。

チムニーは、ぬれてて悪かったから巻く。ここまで一気に登る。傾斜が緩くなっ たところで左岸の斜面を物色する。表面にズリ石はあまり残っていない。鉱石ら しきものを探してよく観察する。たくさんあるのは硫砒鉄鉱。結晶もよく見つか る。菱マンに埋まっている金属鉱物はたくさんあるが、結晶は小さめ。金属鉱物 の塊の方が大物が期待できる。でも、内部にそれなりの晶洞があるものはまれ。 産状の変わったところでは、方解石ですきまが充填されたボロボロの閃亜鉛鉱も あった。八面体結晶の方鉛鉱も出るが、表面が風化していて美しくない。幾何学 模様のへき開面が黒光りしている方が鉛って感じが出ている。

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黒っぽい部分が方鉛鉱。後ろの石には「焼け」が見える

さらに登るとナメ滝状になる。枯れていれば登るが、きょうは結構勢いよく水が 流れている。遡行はここまでだな。この辺りは沢筋も狭く石も少ない。金属鉱物 は見かけなくなったが、マンガンはある。割ってみると小さな晶洞が出た。菱マ ンの結晶を期待したけれど、形が分からないほど細かい。ルーペで見るも暗くて よく分からない。天気はいいのに、異様に暗い。両岸の木が覆い被さり、光を遮っ ている。暗いと鉱物の観察は辛い。ライトがほしいところだ。ハンマーでガシガ シやったら小さなかけらがはがれた。よく見もしないで大きい方を捨てて、かけ らをしまう。途中で小割りにして置いた標本を回収しながら下る。

ザックがすごく重い。またまた欲張り過ぎたかな。大黒沢出合でまじめに標本の 整理をするが、あまり軽くなった気がしない。沢の中は風が通って涼しかった。 セミの声も聞こえなかった。歩き始めると日向は暑い。セミもミンミンとうるさ い。一瞬で夏に逆戻りした感じ。バス停までは40分弱。まじめに歩けば早いもの だ。時間つぶしにバス停前の河原を物色。ここは金属鉱物の塊がゴロゴロしてい る。晶洞内に硫砒鉄鉱の完全結晶が入った石を拾う。ほかにも怪しい結晶がある ぞ。これは後の楽しみ。

三峰口では急いで電車に乗り、西武秩父の仲見世通りでソバを食った。これが全 然、秩父ソバらしくない。失敗した。電車を1本遅らせても、ソバは三峰口で食 うべし。教訓にしよう。

帰宅後、石を整理・確認していたら、菱マンガン鉱のかけらに毛鉱(あるいはブー ランジェ鉱)が付いていた。水洗いする一歩手前だった。ぎりぎりセーフ。それ にしても、探していたはずの鉱物を現場で見落とすなんて、なんとも情けない話 だ。ひょっとしたら、捨てた大きい方の片割れにはもっと大きな結晶があったか もしれない。グハッ(血を吐く音)。ま、これが鉱物を見分ける力の現状という ことで納得するしかないわな。ほんのわずかでも、採集できたことで満足しよう。