露頭の下でザックザク


22日(5:50)大泉学園=(7:45)三峰口駅=(8:30)赤岩橋→(8:45-10:00)ざくろ石 の露頭→(10:10-12:00)枯れ沢出合→(12:10-12:35)小倉沢の河原→ (13:20-14:25)神流川の河原→(14:30)出合=(15:25)三峰口駅=(18:00)大泉学 園

行ったばかりの石灰沢に再チャレ。先週は人数の多い採集会だったので、落石の 危険がある露頭採集はできなかったし、納得いくまで観察することも難しかった。 出ずっぱりで標本の整理と記録のまとめが追い付かないけれど、条件のあるとき は採集に行っておきたい。

秩父はガスが山にまとわりつくいやな天気。肌寒く感じるほどの気温で、中津川 では紅葉も始まりかけていた。しかし、雨の多い今年は紅葉は期待できない。ほ とんどが「枯れ葉」状態だった。遠くから見れば目立たないから、紅葉見物の観 光客は今年もやっぱり「まあ、きれいな紅葉」というのだろう。

水量の多い小倉沢を石伝いに飛んで、石灰沢に入る。ふたつ目のえん堤を越える 前にざくろ石が入っている大理石の露頭を探す。大理石らしくはないが、ある露 頭の下に行くと、それらしい転石が大量に積もっていた。黄色の灰ばんざくろ石 はすぐに見つかった。粗い結晶の方解石の中に埋もれている。角のとれたひし形 十二面体のざくろ石らしいきれいな結晶も多い。

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ざくろ石の露頭から見た赤岩

気をよくして採集していると雨が降ってきた。かなり降ってきたので、雨が当た らない露頭の際1メートルにへばりついて合羽をはおり、長靴を履く。数十セン チ幅の足場はあるが、その先は傾斜が60度はあるガレ。客観的に見ればやばい場 所だけれど、雪壁の途中でアイゼンを着ける作業に比べりゃ楽なものだ。ついで に、ガスが流れる赤岩の写真を撮る。登ったことはあるが、その姿をじっくり見 るのは初めて。結構かっこいい山じゃん。

ここには褐色のベスブ石もあるが、結晶形が残っているものは少ない。ざくろ石 は、探せばきりがないという感じ。適当に切り上げて先に進む。沢には点々と割 られた石が転がっている。でも、目こぼしはほとんどない。さすが鉱物同志会。

左岸の枯れ沢に入る。先週できなかった分、じっくりと転石を観察する。ほとん どがスカルンで若草色のベスブ石とち密な灰ばんざくろ石の塊が多い。ざくろ石 は重くてめちゃくちゃ堅い。むやみやたらに割っても疲れるだけ。何にも出てこ ないから消耗するばかりだ。採集会の後だけに満足な結晶も残っていない。何を 目当てに探せばいいのか迷うところだ。出てくるとすれば、埋もれているスピネ ルかクリントン石だろう。ちょいと割ってはルーペで観察することを繰り返す地 味な作業を続ける。

ベスブの黄緑色とザクロ石のクリーム色が入り混じった石の断面からクリントン 石がでた。雲母状の割れ口がキラキラと光るので、色は薄くても注意していれば 見つけやすい。やっぱり、自力で見つければ得るものも多い。スピネルは前回を 上回るものはなかった。ほかに方解石のひし形結晶も採集した。方解石は珍しく もないが、前回は犬牙状結晶だったから違う形状のものもいい。母岩を小割りに したら大半が飛び散ってしまったのは悲しい。大した収穫はなかったけれど、納 得するまで観察できたので満足して先に進む。このころには、雨はすでにやみ、 時々日も差してきた。

本沢を少し進んでみるが、スカルンは多くない。やっぱり採集会をした辺りが供 給源なのだろう。沢の中でもキノコはかなりでていた。腰をすえて観察し、写真 も撮りたかったが、バスの時刻を考えるとそんな余裕はなかった。バス停まで1 時間の歩きは、かなりプレッシャーになっている。せかされるように左岸につけ られた踏み跡をたどって沢を下る。

小倉沢の河原で電気石を探す。運がよければざくろ石もと思ったが、そっちの方 はさっぱり。電気石は質を選ばなければいくらでもある。晶洞のある閃緑岩を割 ると毛状の結晶が出る。うまくすると放射状に広がる毛玉のようなものも見つか る。黒光りする針状結晶もある。いずれもルーペサイズだが、見栄えがする。で も、時間が気になるので選鉱作業もいいかげんにザックに放り込む。急いで川を 渡ると12時35分。バスまでちょうど1時間だ。長靴のまま出合に急ぐ。鉱山住宅、 共同浴場、鉱山郵便局など鉱山町の雰囲気を残す施設を横目でみながら早足で歩 く。神流川は相変わらず水量が多い。

バス停まで後20分という場所にきて、はたと気付いた。バスの時刻って14時35分 じゃなかったっけ。手帳のメモを見る。やっぱり! 念のため、以前の記録も確 かめる。間違いない。ああ、1時間早く降りてしまった。焦るとろくなことはな い。とりあえず、河原に降りて一息つく。対岸に渡って鉱物を探すと、マンガン があった。砂漠のバラみたいに板状結晶が重なった菱マンガン鉱だ。割るとオレ ンジ―ピンクの断面と方鉛鉱、閃亜鉛鉱も現れた。白い部分はクトナホラ石か。 閃亜鉛鉱の母岩に方解石のひし形結晶がついたものも採集した。いずれも重いも のばかり。これで本日の採集品の重さは2.5キロになった。今回は採集会で拾い 過ぎ、もてあまし気味の石約1キロを石灰沢に返したところなのに。

三峰口駅ではいつものようにソバ屋に入り、念願の天もりソバを食う。もりソバ にマイタケ、インゲン、カボチャ、ナス、サツマ芋の天ぷらが付いたものだ。天 ぷらは塩でいただく。野菜の味がよく分かってよい。それに、寒くなると温かい 天ぷらはうまい。きょうは朝からろくなものを食っていなかったから、なんでも うまいと感じるのかもしれないけど。西武秩父駅ではアカモミタケがあったので、 1パック買ってすべてパスタに入れて食べた。季節の味を満喫できた。

石灰沢の方解石でひし形結晶の部分は、短波長と長波長といずれの紫外線でも白 く蛍光した。そのうえ、ライトを消してもしばらくは光る。手元にある石で、こ ういう具合に長波でも短波でも燐光するのは琉球石灰岩くらい。錫高野の蛍石も 燐光するけれど、短波のみ。何でも、一応は拾ってくるもんだね。