27日(6:45)大泉学園=(7:40)北千住駅=(11:00)足尾駅→(12:05-13:30)久良沢 →(14:20)通洞駅→(14:40-15:35)銅山観光→(15:40)通洞駅=(16:00)神戸駅= (16:30)サンレイク草木、28日(9:30)サンレイク草木=(9:45)神戸駅=(10:00) 小中駅→(11:15-13:50)萩平→(14:50)小中駅=(17:00)高崎駅=(19:30)大泉学園
神戸駅を出るあかがね号 |
山ヤのリハビリはめどがついたので石屋のリハビリに励む。足尾山地にはマンガ ン鉱山がたくさんあるので、この機会を利用して探査してみよう。本来なら野宿 +ウオーキングで行くべきだが、大寒波がきている。冬山登山でもないのに雪中 ビバークは勘弁してもらいたい。病み上がりでもあるし、国民宿舎に泊まるとい うぜいたくをさせてもらっても罰は当たらないだろう。
足尾は、わたらせ渓谷鐵道でいくのだが、時間的には東武伊勢崎線の特急を利用 して相老から「わてつ」に乗るのが早そうだ。相老駅で待っていると海老茶色1 両編成のおもちゃみたいな列車がやってきた。その名も「あかがね号」。おお、 採集意欲がわいてくる名前だ。中はこぎれいで窓にはカーテンがかかっている。 快適なわてつの旅をしばし楽しむ...。つもりだったが、あたりに雪が現れ、行 く手の山には乳白色のガスがまとわりついている。真っ青に晴れ渡っていた空も 雲が覆い始める。列車が進むにつれて景色は白くなっていった。
雪に埋もれた久良沢鉱山 |
足尾駅で降りると雪。柏尾峠へ向かって進む。道路はチェーンなしでは走れない 状態。歩道が吹きだまりになっているところもある。すでに敗退は濃厚だ。それ でも現地を確認することが大事。目印の山ノ神を探して久良沢沿いの道を南に進 む。しかし、山の神は無い。道路はつづら折りになって沢から離れる所からは、 沢沿いの林道を進んでみる。積雪は20センチくらいか。雪山ハイキングと思えば 楽しいのだが。
ニホンザルの親子 |
しばらくして「歩道入口(マンガン山)」と記された小さな看板を見つける。雪 の中に踏み跡が残ってはいるが怪しい。それでも一応たどってみる。沢を渡って 尾根を進む。しかし、いくら登ってもズリらしきものは出てきそうも無い。林道 に戻って道路まで引き返す。道路工事の事務所わきに目をやると山ノ神があった。 今度は正解だろうと、沢に下りるとまた「歩道入口(マンガン山)」の看板があ る。いきなり怪しくなる。道は沢を渡って対岸の斜面にジグを切って登っている。 かなり先まで急登が続いている。やっぱりこの道も違う。枝沢で石を探すが、マ ンガン気は無い。
万策尽きた。とぼとぼときた道を戻る。ふと対岸に目をやると石垣が見える。鉱 山施設っぽい。しかし、目印の山ノ神は見当たらない。道路の山側に少し雪が積 もって小高くなっている部分があった。足で雪を払いのけると、ワンカップの器 が転がった。ここが山ノ神だったのか。慌てて手を合わせる。沢に下りて対岸に 渡ってみても、雪が深くてズリ石を掘り出すことなどできない状態だ。せめてマ ンガンのマの字でも拝みたかったけれど、あきらめる。場所を確認できただけで 良しとしよう。
銅山観光の中庭 |
天井のたんばん |
街に向けて戻る途中、ニホンザルの親子に出会った。白銀色の毛がふさふさして 温かそうだった。目が合うと急いで逃げていった。足尾橋を渡ってから足尾では なく通洞に向かう。足尾の街は昔ながらの商店街が健在で活気があるように見え た。通洞駅で一休みして足尾銅山観光に行く。足尾にきてここを見ずに帰るわけ にはいかないでしょう。ここではまず、トロッコ列車に乗って通洞坑に入ってい く。これがなかなか迫力ある。たった1人の客のために申し訳ない気がした。本 物の坑道を利用して採掘の様子を再現した展示はとってもリアルで感心した。天 井からは青い銅の硫酸塩鉱物であるたんばんが染み出している。鉱石・鉱物の展 示が少なかったのは残念だが、今はなかなか接する機会の無い鉱山の様子や仕組 みがよく分かる優れた施設だった。列車の時刻を気にして急いで回ったのが残念。
本日のお泊まりは「国民宿舎サンレイク草木」。神戸と沢入の間にある草木湖の 対岸にある。公共交通機関は東村の村営バスのみ。それでもあるだけありがたい。 暖房の効いた8畳の部屋に1人で泊まる。温泉付きである。今夜はインナーシュラ フや湯たんぽを使わなくても暖かく寝られるのはうれしい。年に1度くらいこん なぜいたくがしたいものだ。
風が吹くと地吹雪となる |
28日。朝起きたら、うっすらと雪が積もっていた。きょうも敗退のにおいがする。 しかし、真の石屋はだめもとでもいくのだ。小中駅から少し歩くともう、道路は 真っ白。初っ端からへこむ。かなりの急坂を登っていくと最後の集落・萩平は雪 の中だった。その先は道路で積雪10センチ。久良沢とほとんど変わらない状況だ。 鉱山跡はすぐにわかったが、ズリの位置を見つけ出せる状態でないことも明らか だった。雪に覆われた沢にズボズボ入って鉱石を探す。石を割ると、破片は片っ 端から雪に吸い込まれていく。手袋はぬれて冷たい。むなしさだけが残る。2日 間の成果は銅山観光だけか。雪の中にガックリとひざを突く。
むなしくきた道を戻る。でも、どうしてもあきらめきれない。少し下流で小石が 顔を出している場所に下りた。マンガンっぽい石を探して割っていくと、最初に 出たのは満ばんざくろ石だった。0.5ミリほどの非常に小さな結晶だが褐色で透 明感がある。それから、へき開がはっきりし、褐色がかったばら輝石、紫がかっ た粗粒のばら輝石、ヤコブス鉱やアレガニー石様の鉱物などがあった。時々風に 乗ってやってくる地吹雪に耐えながら採集を続けた。この産地の鉱物としては平 凡なものだけれども、ボウズをまぬかれたことはうれしい。やっと休憩する余裕 が生まれた。
1時間で小中駅まで下り、わてつで終点・桐生にいく。できれば、水沢駅で温泉 に入りたかったけれど、年末年始の休業で果たせなかった。桐生からは両毛線で 小山に向かうのがベスト。乗換えでもたもたしているうちに乗り過ごしてしまい、 やむなく高崎に出る。高崎駅ビルで夕食をとり、大宮まで新幹線を使って帰る。