2日(8:30)新宿駅=(11:04)蓮台寺駅→(11:35)大沢口→(12:30-14:25)掛橋坑→ (14:35)大沢口→(14:55)蓮台寺駅=(17:45)東京駅=(19:00)大泉学園
近隣の山は雪に閉ざされてしまい採集が難しい季節になった。それでも、南国の 山ならまだ大丈夫だろうと、しぶとく初採集の計画を立て、伊豆方面の産地を探 索することにした。自然金や沸石産地の菖蒲浜海岸は魅力的だったが潮位の関係 であきらめ、河津鉱山の二次鉱物を狙う。
杉林の中にズリはある |
8時30分発のスーパービュー踊り子号で新宿を発つ。乗り換えなしで下田まで直 行できるのはうれしいが、トクトクきっぷを使っても交通費はかさむ。行きは指 定が取れたが、帰りはすでに満席になっていた。目的地が近づくにつれ天気は悪 くなる。スーパービュー踊り子号は天井部分までガラス窓が広がる新型車両。伊 豆の車窓に海が広がると「晴れていれば大島や伊豆諸島が見られます」とのアナ ウンスがむなしい。蓮台寺駅で降りると小雨がぱらついていた。
駅から蓮台寺温泉方面に向かって歩く。新しいバイパスができていて少し戸惑っ たが、温泉街にはすぐたどりついた。問題は雨。カッパを忘れたのはぬかった。 とはいっても傘をさすほどではない。大沢口のバス停わきから枝沢に沿って山に 入る。住宅のすぐそばからズリが現れ、道端に鉱石が落ちている。さすがにここ で石を割る訳にはいかないだろう。もう少し先に進み、砂防ダムの上で沢に降り てみる。
坑口はすべて |
転石には石英片が目立つけれど、割ってもなにも出ない。マンガンは少ない。小 さな物を探し出して割る。めちゃくちゃ堅い真っ黒な塊の中には紫色をした鉱物 が入っていた。イネス石だろう。ばら輝石らしきものもある。
2つ目の砂防ダムを越えると道は沢の中になる。さらに進んで左側の枝沢につけ られた踏み跡をたどると杉林の中にある鉱山跡らしき場所に出た。ここが掛橋坑 だろうか。ザックを置いて辺りを探索する。坑口がいくつかあるがすべてふさが れている。石英片がかなり広い範囲にわたって散らばっている。水晶もあるが、 柱面のないものが多い。チラッと見渡したところではマンガンはあるが、二次鉱 物は確認できない。
山に入ると雨が強くなる。傘を差すが、あまり意味がない。手袋も石もどろどろ になり、何がなんだかよく分からない。堅いマンガンを意地になってたたいてい たら、ついに自分の指を直撃してしまった。だめだこりゃ。これで最後にしよう とち密な石英片を砕いたところ、緑色をしたマリモのような孔雀石が出た。1ミ リほどの大きさだが、やっと念願の二次鉱物が見つかった。近くにある同じよう な石英片をいくつか割ると、やはり孔雀石があった。黄鉄鉱となにやら分からん けど金属鉱物も採集した。これで二次鉱物を見つけるめどが立ったので山を下り る。バス停まではほんの10分だった。
下田までのバスは1時間に1、2本あるが、ちょうど出たところだった。蓮台寺ま で歩く。街にでたら雨はあがっていた。採集しているときは足も手も冷たかった が、歩けば温かくなるから苦にはならない。腹が減ったので何か食いたかったが、 駅に着くと間髪を入れずに特急きたので飛び乗る。駅弁が無性に食いたかったが、 車内販売にはなかったので、東京駅で購入して帰った。
その後の観察で赤銅鉱や方鉛鉱も確認できた。方鉛鉱はピカピカの結晶でゆがん だ立方体をしていたので同定が難しかった。鉱物科学研究所のIさんに助けても らいへき開の様子から同定できた。天気が良ければもう少し楽しめそうな産地だ。