K野さん念願のトパーズを拝む


8日(7:30)上野駅=(8:50)水戸駅=(10:00)錫高野林道入り口→(11:30-14:30)ト パーズのズリ→(14:30-16:30)青物のズリ→(17:10)錫高野林道入り口=(18:20) 水戸駅=(20:05)上野駅

山のお友達であるK野さんと鉱物採集に行く。実はK野さんは13年前に鉱物採集 を始めた大先輩でもある。時代を先取りし過ぎたため十分な情報が得られず苦労 したという。それで、しばらく採集はお休みしていた。K野さんのハンマーは、 ピカピカに磨かれたエスティング製(あこがれの高級品!)。ザックも山スキー 用の大きいやつで、気合がにじみ出ていた。

何度も通った錫高野だから順調に現地に着く。久しぶりに会ったK野さんと話が 弾んで長い林道歩きもあっという間だった。ぼくら以外には山菜採りのグループ が1組いただけで産地は貸し切り状態だった。河原で少しハンマーを振るったが、 トパーズを手にするまで落ち付かない様子。トパーズのポイントへと急ぐ。

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トパーズを探すK野さん

トパーズのズリは石がずいぶん小さくなっていた。たくさん人が入っているよう だ。大きさを問わなければ、まだ採集はできる。今回は2ミリ幅の結晶が最大だっ たが、これくらいならルーペを使わなくてもそれと分かる。はじめは苦労してい たK野さんも目が慣れてくるにしたがっていくつも見つけられるようになった。 初めは柱面だけしかないものもかき集めていたが、余裕がでてくると頭付きに切 り替えた。1人で黙々と探す集中力は大したものだと感心する。

未練が残るK野さんを引きずり降ろす。拾った石をえり分けて、手ごろな大きさ に整形する作業は時間が必要だからだ。持ちかえったはずなのに、ない...とか、 結晶がポロッとはがれてしまったとかは、鉱物採集じゃよくあるアクシデントだ。 でも、経験が浅いとショックが大きく立ち直るのにある程度の時間がかかる。採 集の行動計画には、それも想定して時間配分をしている。例によって「一番いい のがなくなった」と嘆くK野さん。それは違う。なくなったのが一番よく思える のだよ。それに、大事なのはトパーズを得ることより、トパーズが分かること。 それは十分に収穫があったと思う。

とりあえず、目的のトパーズは確保した。これで上がってもいいかなとも思った けれど、それで納得してくれるK野さんではない。遅い昼食をとって青もののズ リで第2ラウンドに突入する。ここでは、金属鉱物を狙ったが、K野さんはいき なり孔雀石と珪孔雀石のびっしりついた重い塊を持ってくる。たぶん、輝銅鉱か 黒銅鉱だろう。ちょっと鑑定に自信がない。

1年前は二次鉱物の知識がまったくなかったため、孔雀石は無視していたが、い まはある程度違いが分かる。ほかに青い含銅アロフェンもある。ちょっと進歩し たなと思う。黄銅鉱と銅藍はいくらでもありそうだ。硫砒鉄鉱と、それが分解し たスコロド石も出た。K野さんは広大なズリを回ってハンマーを振るっていたが、 「向こうは何もなかった」という。金属鉱物の出る場所は限定されるようだ。

自分もかなり熱くなってしまったことを反省。予定の時間を大幅に過ぎてしまい、 急いで林道を戻る。バスが減ってしまったのでタクシーを呼ぶ。来るときは運転 手に「錫高野の林道」といえばOKだったが、事務所には通じなかった。それで 錫高野山崎のバス停にしてもらったら、タクシーの方が早く着いて焦った。

午後の一時だけ空が暗くなり雨もぱらついたが、暖かい陽気の一日だった。桜に は早すぎたのが残念。例によって成果には納得はしてないK野さんだろうけれど、 ある程度楽しんでもらえたかなと思う。のんびりと採集を楽しもうと思っていた けれど、つい夢中になってしまった。時間を惜しんで弁当を飲み込んだため、危 うくのどに詰まらせそうになったのは悲しい。茶ぐらい沸かせる心のゆとりがほ しいものだ。まだまだ、修行が足りない。