20日(6:50)東京駅→(9:11)京都駅→(10:05)石部駅→(10:40-14:20)石部鉱山→ (14:45)石部駅→(15:30)京都駅→(18:40)品川駅
石部鉱山の露頭 |
益富地学会館の「野外で石を楽しむ会」に参加する。滋賀県の産地は初めて。関 西方面では東京から比較的近い。何が取れるかよく調べもせず東京を発った。
石部駅から20分位で産地に着く。ここはスカルン鉱床で江戸時代に発見された鉱 山だが本格的に採掘されたことはないらしい。ズリはかなり残っているし、露頭 もある。地味な鉱物が多いが、鉱物採集には適した産地といえる。露頭のある場 所は対岸ががけになっている。見晴らしは抜群だが、危険なため近づかないよう にと注意があった。天気はいいが風が強く、吹きさらしの露頭は寒い。
露頭のもろい磁鉄鉱 |
露頭は磁鉄鉱だ。その下に石が貯まっているが、ほとんどが褐鉄鉱だった。それ でも、黒光りする仏頭状の針鉄鉱は見事だったので確保。グリュネル閃石も簡単 に見つかった。露頭の磁鉄鉱中には緑色をした銅の二次鉱物が入っている。しか し、母岩の磁鉄鉱がもろいので形を留めたまま取り出すことはできない。あちこ ち掘ってみたが堅い部分でないと難しい。磁鉄鉱はいくらでもある。ただし、自 形結晶が見られるのはまれ。葉片状のものはたくさんある。赤鉄鉱の仮晶なのだ ろうか。
左端の露頭上で非常に堅い石を割った。緑泥石やグリュネル閃石とともにピンク 色がかった微細な金属光沢の結晶部分が出た。赤銅鉱かと喜んだが、閃亜鉛鉱だっ た。ピンクに見えたのはべっこう亜鉛だった。小さな重晶石も見つかった。実は グリュネル閃石−閃亜鉛鉱−重晶石のきている堅い石には硫カドミウム鉱も入っ ている場合が多いのだが、このときはそれを知らずに小さな塊しか採集しなかっ た。
山ツツジの季節 |
ずっと磁鉄鉱の露頭でがんばっていた中学生に声をかけて取り付かせてもらう。 ここは母岩がしっかりしているので、良い標本が取れそうだ。しかし、露頭は思っ た以上に堅い。ブロックにして切り出そうとしたが、タガネがなかなか入ってい かない。やむを得ず小割りにしてはぎ取る作戦に変えたが、2切れもはがしたら 消耗してしまった。採集できたのは異極鉱、水亜鉛銅鉱、孔雀石かブロシャン銅 鉱あたりだと思う。硫カドミウム鉱や方流カドミウム鉱は自力で発見できなかっ たけど、お土産で用意してくれていたのでありがたくいただく。
早めにパッキングをして下のズリに降りる。すでに4人くらいが取り付いていた。 みなさんお目当ては赤銅鉱。しかし、どんな石にくるのかよく分からないから、 がむしゃらに割る。石英質の母岩に赤銅鉱が2、3ミリの筋状に入ったものを見せ てもらった。ひと目で赤銅鉱と分かる優れた標本だが、これが当地の一般的な産 状なのかはちょっと疑問。掘っても掘っても磁鉄鉱ばかり。無為に時間が過ぎて いく。最後に割った石から二次鉱物らしき結晶が出た。無色−白色透明で平らな 面が見える。結晶はややルーズ。周囲の人に聞いたところ、石膏、重晶石、異極 鉱という回答があった。果たしてどれか。ツツジの咲いた尾根を歩いて山を下り る。