御岳はレンゲショウマと雷と


(9:01)御嶽駅→(9:25)滝本駅→(9:45)御岳山駅→(10:20)長尾平→(11:10)七代 ノ滝→(12:05-13:00)休憩所→(14:10)長尾平→(14:50-16:00)御岳山駅→ (16:35)御嶽駅

最近、1人で山に入るのがつまらなくなってきた。1人でいる時間が長いと人格が さらに歪みそうな気もする。パートナーも作って、たくさんの人と山に行こうと 方向転換を決意した。そんなときに、タカハラさんから山に誘われた。

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御岳山に登るケーブルカー

タカハラさんいわく「参加者は女性、子ども、障害者、高齢者の弱ヨワ部隊」。 いきなり手ごわそうだなあと少し不安になったが、メンバーの顔を見て安心する。 どちらかというと「きょうは足が当たる」とかいってる当人が、ネックになりそ うだ。今回の山行で自分に何を求められるかが見えてきた。

そうはいってもタカハラさん、きょうも元気で口が達者だ。障害や病気があるよ うにはとても見えない。人間こうありたいものだとも思うが、良い子は危ないか らまねしない方がいいでしょう。とりあえず昨年、奥多摩の本仁田山で起きた落 雷による死亡事故の概要を伝え、きょうも雷がきそうなので早めに下山するよう に進言しておく。

ケーブルで御岳山駅に登る。タカハラさんに付き添って最後尾を行く。長尾平か らは当初の予定を変えて急斜面を下る。途中から視覚障害のあるHさんのサポー トに付く。片手を持ってリードするわけだが、下りだと手にかなりの体重がかか る。そのうえ、自分の足場が確保しづらい。バランスをしっかり保たなければサ ポートにならない。結構大変だ。七代ノ滝に着いたときは正直ホッとした。これ だけ厳しい下りは近年経験したことがない。妙な充実感がある。

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七代ノ滝で一休み

本人はもっと厳しいんだろうと思い、ついつい気合が入ってしまうんだけど、そ れはあまりよろしくない。山でがんばり過ぎるのは好ましいことではないから。 久しぶりのサポートだったので、こちらに余裕がなくて申し訳なかった。相棒の 意思を確かめながら、こまめに休憩を取るべきだったと反省する。

ロックガーデンなら、あまり高低差がないと思っていたが、実際には結構急な上 り下りだった。記憶はあまり当てにならない。ロックガーデンに入ってから休憩 所までも長く感じた。こちらは腹の影響が大きい。実は昨夜、暑くてほとんど寝 られなかった。それで早くから起き出して飯を食い、駅でも食った。でもやっぱ り、腹は減るものだ。

休憩所の周辺でやっと食事タイムになる。山での飯の楽しみなんて、とうに忘れ てしまっていた。食事は義務みたいなものだった。できれば食わずに済ませたい とさえ思ったときもあった。仲間と一緒なら何を食ってもうまいし、それだけで 楽しいことを思い出した。少しだけ人間らしさを取り戻せたかな。

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タマガワホトトギス

沢の対岸にやや大きめの黄色い花が咲いていた。花の名前に詳しいタカハラさん なら分かるだろうと聞いたら、「これは、...忘れた。私は目立つのは興味ない の。小さなのが好きなの」という。花でも得て不得手があるのか。自分もキノコ ならキシメジ科はまったくダメだからな。それ以上突っ込まない。

でも、写真の方は突っ込みどころが満載だ。だって、ピントが全然合ってないに もかかわらずシャッターをガンガン押すんだもん。へたな鉄砲も数打ちゃ当たるっ てわけか。でも、当たらないんだな、これが。考える前に突っ込む人だってこと はよく承知してますけど、「私は悪くない。カメラが悪い」と叫ぶ前に少しは考 えてね。

昼食時から、ずっと天候が気になる。高曇りで、しかも谷筋にいるから雲の様子 がつかみづらい。風が吹き出したの天候が変わるかと思って行動をせかしたが、 また無風で蒸し暑い状態に戻った。本当に雷がくるのかと疑問に思う。

綾広ノ滝を上がって大岳からの登山道と合流すれば、道は広く平坦になる。コー ス上の難所は去った。後は雷さえ注意していればいいだろう。タカハラさんは 「もし、反対コースだったら足が持たなかった」とすでに総括モードに入ってい る。まだ山行は終わってないと釘をさすが上の空だ。

長尾平で休憩中にラジオを聞く。まだ空は明るいが念のためだ。とはいえ、ラジ オでの雷チェックは初めて。音量を上げてNHKの音楽番組を聞く。すると、バ チ、ザッ、ザッとわずかに雑音が混じる。イヤホンの接触不良かと思ったが、違っ た。しかも、だんだん雑音の量が増えている。雷鳴はまだ聞こえないが、こりゃ やばいぞ。

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雨にぬれたレンゲショウマ

タカハラさんはお話に夢中で腰を上げる気配はない。事前にあれだけ注意喚起し たのに、ちょっと悲しい。一声かけて出発を促す。歩き始めるとポツリポツリと きた。しまった。躊躇したぶんだけ出遅れた。雨具を出させて、さりげなく急が せる。10分もしないうちに雷鳴を聞く。が、そのときは御岳の宿坊あたりまでき ていた。安全圏とみていいだろう。ビジターセンターを過ぎたあたりで土砂降り になる。御岳山駅では雷雲接近でケーブルカーが止まっていた。少しやばかった。 もう少し早い段階からチェックを入れるべきだった。

駅で雨宿りをしているときも、ラジオの雑音はすさまじかった。雨足が弱くなっ たり空が明るくなっても、落雷の危険が高いときがあった。雷鳴がかなり減って も雑音は入った。ラジオで雑音をチェックする方法はある程度有効だということ が今回分かった。また、観天望気だけで雷の去来をとらえるのは難しいとも感じ た。ほかに気が付いたことを箇条書きにする。

雷が去って雨の中、レンゲショウマを見に行った。咲いている株は数本。雨にぬ れて花はしょぼかった。ここまできたからにはと写真を撮ったけど、納得できな い絵だ。御嶽駅に下りたら河原でボルダーをやろうとザックに靴を忍ばせていた のに、夕立で出番はなくなった。おとなしく帰るとするか。

タカハラさんが4カ月ぶりの山で、自力歩行も久しぶりという話は山行も終わり かけたころに分かった。それじゃあ、自分のことで精一杯だ。リーダーを補佐す る役目は想定内だったけど、少し遠慮しすぎたかな。10人もいたし、ほとんど女 性だから腰が引けた。でも、大勢で行ったことで、久しく忘れていた仲間と登る 楽しさを思い出したのは大きな収穫だった。