暑さを忘れる海沢の滝


11日(7:21)大泉学園→(9:15)奥多摩駅→(10:45)海沢園地→(11:30)大滝→ (12:00)ワサビ田→(13:20-13:40)大岳→(15:40)御岳山駅→(16:45)御嶽駅→ (18:20)吉祥寺

緑豊かな海沢

緑豊かな海沢

猛暑の練馬からY氏を引っ張り出して奥多摩に行く。Y氏と山に行くのは2002年 1月の大平山以来だ。ついこの間のような気がするけど、もう、あれから5年と7 カ月もたったのか。間はだいぶ空いたが、山に接する姿勢はお互いに変わってい なかった。

豪快な海沢大滝

豪快な海沢大滝

海沢は昔、沢登りによく通った。とくに、ゴルジュが続く下部瀑流帯は、ちょっ と水と戯れるには最適の場所。涼を求めて大滝を見に行ったこともあった。今回 はしかし、Y氏の希望で「一般」ハイカーに徹して、海沢探勝路を忠実にたどっ た。長いと思ったアプローチも話をしていれば苦にならなかったし、沢沿いの道 は思ったより涼しい。それに、水草やコケが生い茂り深山幽谷を思わせる奥多摩 の渓谷は夏の暑さを忘れさせてくれる。

三ツ釜の滝では家族連れが水遊びをしていた。一番下の釜ではしゃいでいた男の 子は完全に野性に返っていてY氏はいたく感激していた。沢沿いに進むとねじれ の滝が現れる。陰鬱で好きになれない。右岸に残置されたスリングを目ざとく見 つけたY氏が登攀ルートを読む。でも、自分は悪そうで登る気になれない。

探勝路に戻って小尾根を登り、大滝への分岐を下る。豪快に流れ落ちる姿は大滝 の名にふさわしい。Y氏はこの滝の側壁にボルトを連打してエイドで直登した記 憶があるという。まだリードの経験が浅く、飛沫を浴びて待つパートナーから遅 いと怒られたそうだ。でも、もっと傾斜が立っていたような気もするというから、 違う滝だったかもしれない。昔はそういうクライミングだったんだ。

変形菌(粘菌)ムラサキホコリかな

大滝から少し登るとワサビ田に出る。沢沿いに小さなモノレールが通っていた。 ワサビ田も軌道もかなり上流まで続いていた。ワサビの収穫のためのものだろう か。ポイントもあるしフードの付いた「駅」もある。本格的だ。傾斜は急になっ ていくが、沢もかなり上まであるので意外に涼しい。落ちている石はほとんど チャート。熱水が通った脈では日の光を受けて小さな水晶がキラキラ輝いていた。 杉のこずえに変形菌(粘菌)の少し呆けた子実体が付いていてしばし観察する。 お宝を探しながらゆっくりと登ると多少は暑さがしのげる。

ジグを切って急斜面を登ると尾根にでた。傾斜が緩み風も通るけど、暑いうえに シャリバテ気味で、ここから先がきつく感じた。左に大岳を見ながらゆっくりと 高度を稼ぐ。主縦走路との合流点に海沢方面への指導標はない。このコースは一 般ルートではないからだろう。三ツ釜の滝から先は誰にも会わず静かな登山だっ た。縦走路に出たとたん次々と登山者に会う。間もなく大岳の頂上に着く。

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大岳直下で岩と戯れるY氏

見覚えのある頂上は、少し印象が違っていた。それは展望があまりないこと。夏 だから草や樹木が茂っているからだろうか。考えてみれば晩秋か冬しかきたこと がなかった。違和感があるのはそのためかな。それにしても頂上は人が多い。木 陰で一休みして御岳方面に下山する。

ここまでは樹林に覆われた道だった。改めて広葉樹の多い奥多摩では、夏でも涼 しく登山できることを知った。御岳に続く稜線は右から左へと風が通り抜けていっ た。途中に水場もあり、下りも快適だった。御岳山でビジターセンターに寄る。 キツネやムササビなどの動物写真が秀逸。夜には周辺でムササビが見られること も分かった。御岳山は、山でもあり、地方の観光地のようでもあり、不思議なと ころ。この雰囲気はとても都内とは思えない。

御岳山駅に着くとケーブル乗車で長蛇の列ができていてげんなりする。それでも、 レンゲショウマを見ながら2本見送ったら普通に乗れた。レンゲショウマは二部 咲きくらい。うつむいた花は晴れていても写真にしづらかった。

「改めて奥多摩の良さが分かった」とY氏がいうように、今回の山行では自分も 奥多摩の渓谷の美しさなど忘れかけていたものが多かったと気付かせてくれた。 身近な山は大切にしたい。

御岳で「イノシシカレー」を土産に買った。さっそく食ってみた。一見、ごくご く普通のレトルトカレーだが、肉が怪しい。豚でも牛でもない。脂は少なめで味 が濃い。実のところ、あれだけの量だとよくわからない−−というのが感想だ。 次回は、幻の「鹿カレー」を求めて奥多摩の山々に繰り出すことを誓い合った。