第二話『本番直前っ!』
GM:んでもって大会当日。たった3日の練習だったけど、君たちはなかなかがんばった。特にガルフとリース、よくやった。メリッサも慣れが悪いほうに行かなければ、よかったんだけど。
メリッサ:サイコロの平均が7以上だから、十分でしょ?
GM:まあね。最初の一日目はスパイク君、悟りを開けそうだったね(笑)
リース:惜しかったですね(笑)
スパイク:……惜しかったって言うのか? アレ。
一同:(笑)
GM:最後にユーファ。決してブレストファイアーと中華キャノンだけは打たないように(笑)
メリッサ:余計な機能を付け加えるからでしょ!(笑)
GM:そのヒモにはばってんマークをつけといたから。
ガルフ:ばってんつける前に切れって(笑)
ユーファ:引いてみたくなるじゃない(笑)
GM:……まあ、なんと言うか、最終兵器には自爆装置がつき物って言うか……。
一同:最終兵器なのか?
GM:……つけちゃったものは外したくない、っていうか、いろんな感があるってことで。
※はて? いつの間に付いてることになったんでしょう?
GM:では、本番に当たって、団長ン・グワさんから一言。
「いいか? 間違えてもいいから、押し通してくれ。そうすれば、我々もなんとかカバーのしようがある。もちろん、たった3日しか練習してないんだから、君たちがカンペキにこなせる、なんて思っちゃいない。演技に関しては、思い切りよくやってくれれば言うことはない。特に、正義の味方を演じるものは元気いっぱいにやってくれ」
ガルフ:分かった。
リース:うう、緊張しますね。
GM:では、今の時点で観客が何人くらい集まってるか、リーダー、サイコロ振ってちょうだい。
ガルフ:(コロコロ)8だ。
GM:んでは、現時点で観客の入りは800人てとこだね。
一同:は、800人!?
ガルフ:少ないほうがよかったのか……。
GM:こら、少ないほうがよかったってどういうことだ?(ヒクヒク)
一同:(笑)
GM:団長、ちょっとキレそうになっております(笑)
ガルフ:ところで、この人数は多いのか? 少ないのか?
GM:そうだなあ。この場所で、この時間帯にしてはちょっと少ないかもね。1000人は超えてても不思議じゃない。もしかしたら、主人公役がごっそり役を降りたというのが、どっかから漏れたのかもしれないな。
スパイク:あ〜〜、そういえばイヤガラセの話、すっかり忘れてたなあ。(ズリズリ)
GM:と、顔になにやら塗りながらスパイク君。尻尾がずりずりいっております。
メリッサ:? 下半身なのになんで顔に化粧するの?
スパイク:バカモン、これは汗止め。おしろい塗って汗止めるの。そんな常識も忘れちゃったかあ? あらあらあらあら……(尻尾ふりふり)
メリッサ:だって、下半身なんてしたことないから(笑)
スパイク:(リズミカルに尻尾をふりふり)
GM:上半身のズシマさんが一言「まずい、どうやら違う意味で下半身を極めそうだ、あのばか」(笑)
スパイク:(怪しげに尻尾をさらにフリフリ)
ユーファ:それにしても、『あのばか』って。
GM:「いや〜、3日間付き合って分かったけど、あいつバカだよ。賢いかもしれんが、バカなのは間違いない」
ガルフ:あいつ、これが終わった後も尻尾振りながら旅するんじゃないだろうな。
GM:あのまんま歩いたら相当気持ち悪いぞ(笑)
メリッサ:いっそパーティーからはずす?
リース:だ、大丈夫です。まだ悟ってはいませんから。
ガルフ:……今日で悟るかもしれんぞ?
メリッサ:まあ、そうしたら後ろから思いっきりおしりを殴ってやればいいんじゃない?
スパイク:誰がやるの?
メリッサ:わたし。
スパイク:……グーで?
メリッサ:当然。
スパイク:やめてよ。割れてるしりがさらに割れるじゃんか。
ガルフ:俺は剣でいいか?
スパイク:だから割れるって(笑)
GM:(笑) んでは、公演30分前。またサイコロ振ってちょうだい。
ガルフ:(コロコロ)9だな。さっき8のときに800人だったから……
GM:ふむ、てことはさっきとあわせて1700人くらいが集まってきた、と。まあ、この立地条件だったらそれくらいは来てもらわないと、と団長さん。
リース:うわあ……増えてますね……。
GM:んでは、みんなの緊張度を測ってみようか(笑) 冒険者レベル+精神力ボーナスで振ってみて。
ガルフ:(コロコロ)14。
メリッサ:(コロコロ)わたしも同じく14。
ユーファ:(コロコロ)だいじょぶ。17だって。
スパイク:(コロコロ)げ、3……。
リース:えいっ(コロコロ)ああっ!?
一同:(サイコロの目を覗き込んで)ああっ!?
出た目は1ゾロ……。
スパイク:(ガタガタガタガタ……)だだだだだ誰か〜、早く上半身を連れてきてくれえ〜(泣)
GM:スパイクはけっこうビビってるねえ。でも問題はこっちだな(笑) まったくリースらしい目だね。
リース:あう〜、夕日か朝日がないとダメなんですう〜(笑)
GM:たまねぎかジャガイモを並べて練習させとけばよかったかな。夕日と朝日に向かってしゃべらせたのが間違いだった(笑)
リース:夕日か朝日はどこですかあ〜(泣)
GM:今は正午です! あなたが期待するモノは天にいます! 地平線にはいません!
一同:(爆笑)
ユーファ:わたしぜんぜん平気〜。
GM:……おい、そこのパイルダーオン連れて来い。こいつにその度胸を分けてやれ。
メリッサ:ブレストファイアーに向かって!
GM:ダメだよ、そんなの。丸くないもの。
メリッサ:羽広げてもダメ?
GM:それは本人が決めないと……(ちらっとリースを見て)……どうにもなりそうもないって顔してるよ(笑)
メリッサ:やっぱダメか(笑)
スパイク:(震えた声で)あああああ、だだだ大丈夫だよリリリリリリースぅ〜〜。
一同:おまえもダメじゃん!(笑)
スパイク:ずずズシマあ〜〜(泣)
GM:んでは、ルールを説明しよう。今回、話の場面というのは、マッジーが魔法で伝えていくから。んで、自分の番になったらもちろん演技してもらうわけなんだけど、前にも言ったとおりこの演技は完全にアドリブ。台本なんてGMは用意してないからね。
ユーファ:そういうの苦手なのになあ。
GM:で、三日間の突貫工事のおかげで、この演目においてのみ、君たちはアクター(アクトレス)Lv3として取り扱う。自分のセリフ、あるいは出番が終わった時点でサイコロを振って。アクター(アクトレス)レベル+各能力値ボーナスの合計でその演技の出来を判断するから。
さらに、その演技やセリフがみんなから見ていい出来だったら、ボーナスをつけることにする。どうしても演技できないとか、この場面はちょっとセリフが出てこない、ということだったら、とりあえず演技なしでサイコロ振ってちょうだい。そのサイコロの目によって、こちらが適当な演技をしたことにしちゃうから。
メリッサ:つまり、高得点を狙いたいならちゃんと演技しろということね。
GM:そゆこと。あ、もちろん演技に照れとかがあったりしたら、マイナス判定しちゃうかもしれないからそのつもりで(笑)
一同:え〜〜〜!?
GM:文句言わないの(笑)
ガルフ:やっぱり、全部サイコロだけというわけにはいかないだろうな。
GM:言うべきところはちゃんとセリフ入れたほうがいいと思うけどね。
ガルフ:サイコロの目に応じて、GMに適当に入れられてしまうのはなあ。
GM:リプレイ起こすときにはとんでもないセリフが入ってるかもしれないよ(笑)
一同:(再び)え〜〜〜!?
GM:基本的な話の流れだけさらっておこうか。まずはシューラスグリュウノゥがフーハライルゥをさらう。それを救うために最初に立ち上がるのがアトールシャン。
ガルフ:俺、か。
GM:で、アトールシャンはカイザティーニ、マハデービィの順に仲間を集めていく。
メリッサ:どうやって出会ったのかは決まってないの?
GM:それも自分たちで決めてちょうだい。3人が出会って、打倒シューラスグリュウノゥを誓い合ったあたりで場面が変わる。次に出てくるのが黒騎士。
ガルフ:また俺か。
GM:そそ。正義の騎士団としてゴブリン達を出すから、殺陣をよろしく。それが終わったところで暗転、黒騎士と3人が戦う。ここはもちろん別の人が黒騎士に入れ替わるけどね。これが終わるといよいよクライマックス、3人とシューラスグリュウノゥの戦いになるんだけど、ここでフーハライルゥは自由に参加してもらってかまわない。
ユーファ:うへぇ、ヤダなあ。
GM:どういう風な最後にもっていくかは、アトールシャン達3人とフーハライルゥとの折り合いで決めてちょうだい。
これはこの芝居独特のもので、現実の芝居とかでもシナリオの最後を空白にしといて、演技者に任せちゃうてのがあるでしょ? あれと一緒。
今回付け焼刃なんだけど、この辺をヘンに決めてしまうと芝居の勢いを殺してしまうかもしれないという団長の判断から、君たちに任せることにしたらしい。後半の流れに乗って、うまく立ち回ってちょうだい。
ガルフ:シロウトにやらせることじゃないよな(苦笑)
メリッサ:痛い、痛すぎる(苦笑)
GM:まあこの最後の部分ていうのは、脚本家が触れちゃいけない領域でもあるんだよ。言ったでしょ? 演じる場所や人によって『天を追うものたち』の話はいろんな解釈があるって。それはこういうことでもあるんだよ。
中には、3人の勇者をシューラスグリュウノゥが倒してしまって、それを見ていたフーハライルゥが飽きて天に帰ってしまった、なんて終わり方まである。
ユーファ:飽きて帰った?
GM:そう。そもそもフーハライルゥっていうのは、レーティー・パルの第一天使ではないかと言われてるんだよ。
レーティ・パルっていうのは、当然グラードオリジナルの神様なんだけど、時間と曖昧をつかさどる神様。で第一天使と言ったら、それはもう神に近い存在なんだよね。小神と言ってもいい。
そんな存在が、なんでシューラスグリュウノゥごときに捕まったんだ? という話もあるわけ。
ね、曖昧でしょ?
前に、冗談で『さらわれたんじゃなくて、ついていったんじゃないの?』なんて言ってたけど、それも正式な解釈のひとつでもあるんだよ。
ユーファ:難しいなあ。
GM:この話の主人公は確かに勇者3人かもしれないけど、影の主人公はユーファかもしれないよ?
ユーファ:ふわぁ……。
GM:話の流れ、大体覚えてくれたかな?
一同:(うなづく)
GM:さっきも言ったとおり、場面場面にあったセリフでよろしくね。
一同:(ため息)
GM:げんなりしてるねえ。じゃあ、ちょっと休憩をはさむとしようか?
〜休憩中〜
メリッサ:リースとガルフにはちょっとだけセリフあったんだよね。GMが考えたのが。
リース:でも、もう覚えてませんよ(苦笑)
ガルフ:そもそも、この場でそのまま使えるとは限らんだろう? ないのと一緒だ。
ユーファ:でも、わたしはどうしたらいいのかサッパリわからないよ?
ガルフ:だからといって、『ヒマだなあ〜』とかいうセリフは勘弁してくれよ(笑)
※実は、このオフセッションの前にチャットセッションで劇の場面を途中までプレイしたのですが、リースPLのパソコン不調により、あえなく中断せざるを得ず、今日に至っています。
ユーファの『ヒマだなあ〜』は、そのときに出てきたものです。
GM:あれものすごく困ったんだよ(笑) え〜、まじ〜〜!? って。あれを押し通したときのマッジーの心意気はすごかったよね。なんて言って流したんだっけ?
ガルフ:確か、『これこそフーハライルゥの性格をあらわしている』とか言ってなかったか?
あれは見てて驚いた。そのセリフはまずいだろう、と思ったんだが、言ってしまったものはどうにもならないしな(笑)
GM:まったくねえ。ユーファ、あんさんブレストファイアー撃ってればいいと思ってたでしょ?
一同:(笑)
GM:あのとききっと団長も真っ青だったと思うよ。「早く舞台裏に戻って来い〜、タコ殴りだあ!」
一同:(爆笑)
GM:まあ、あれこそユーファだ、ってセリフだったかもしれないけどね。
「しゃべらないはずの黒騎士がしゃべった」とかいろいろとあったけど、一番参ったのはやっぱりリースが途中で消えちゃったことかな。 『オフでやりたい』とは言ってたけど、さすがにちょっとできないだろうと思ってたから。
まあ、この場でそれを言ってもしょうがないけどね。始まっちゃったんだから。やるって言ったらやる。なんかまずいセリフとか言うと、舞台裏でこっそり団長の『滝涙判定』とかやってたりするからそのつもりで(笑)
一同:(笑)
GM:『ただいま4.5リッター』とかね(笑)(※もちろんウソです)さてと、みんな覚悟決まった?
一同:決まんなーい!!
リース:まあ、GM−Hが来ることになったときから、覚悟を決めてきたつもりですけど(笑)
GM:待ってても覚悟決まりそうもないね(苦笑) じゃあ、始めようか。
〜休憩終了〜
GM:さて、ガルフ。本番直前、最後のサイコロを振ってちょうだい。
ガルフ:(コロコロ)6だ。これはもしかして……。
GM:そう、観客の動員数なんだけどさらに膨れ上がって、現在2300人くらい入ってる。席は2000しかないから、300人ばかしは立ち見だね。
一同:うひゃあ!!
GM:さて、ちょっとでも会場を見ちゃう人。冒険者レベル+精神力ボーナスでサイコロ振ってちょうだい。
ガルフ:見るだろうな……14だ。
メリッサ:わたしも見ちゃうだろうなあ……13だって。
スパイク:俺もちっと見とこうかな……俺も13だな。
メリッサ:怪しい人がいないかどうか見ておきたいんだけど。
ガルフ:???
メリッサ:妨害があるかもしれないでしょ?
ガルフ:あ……そういえばそんなのもあったな(苦笑)
GM:こらこら、あんた一番忘れそうもないはずでしょうが(笑) 何一生懸命芝居してんの。
ユーファ:芝居に燃えてるらしい(笑)
ガルフ:そうじゃない。芝居のセリフやらを覚えるのにいっぱいいっぱいだったんだ(少し照れ)
GM:(笑) じゃあ、そのチェックは冒険者レベル+知力ボーナスで振ってみて。いくつが出た?
メリッサ:えっと、16。
GM:2300人の中から探すんでしょ? (コロコロ)いるよ〜な、いないよ〜な、いるよーでいないよ〜な……。
一同:(苦笑)
メリッサ:なんだそりゃ(笑)
ガルフ:結局、分からないということか。
GM:そりゃあねえ、2300人もいりゃああやしげな人なんてたくさんいるよ? 『マ〜ハ〜!』(マハーデービィのことらしい)と最前列で叫んでるのとか(笑)
メリッサ:おっかけがいたの? 誰がこの役やるのかもわからないのに(笑)
GM:3日前に逃げ出した連中の、らしいよ。
メリッサ:大丈夫かなあ。暴動とか起きるんじゃないの?
GM:さて、そろそろ覚悟はいいか?
一同:(沈黙)
GM:……ダメなのかよ。
ガルフ:覚悟が出来てようがいまいが、やるしかないんだろう?
GM:「よ〜しよく言った。そのとおりだ」とン・グワさんっ。
「いいか? ダメでもやるしかないんだ。ここまできてしまったんだから。今着てるのはなんだ?(ガルフを見て)アトールシャンの鎧だろ? 今着てるのは?(リースを見て)カイザティーニの法衣だろ? 今着てるのはなんだ?(メリッサを見て)十二単だよなあ」
一同:(笑)
GM:「今取り付こうとしてるのはなんだ? フーハライルゥじゃないか」
ユーファ:ぱいるだ〜おんしようとしてる(笑)
GM:「その衣装は、シューラスグリュウノゥの下半身だろう?
もうおまえたちはここまで入り込んでしまっているんだよ。これだけはもう受け入れて、突っ込んでくしかないんだ。
前にも言ったとおり、間違えてもかまわない。間違えは、こちらでなんとかカバーできるから。そのまま演技を押し通すことを忘れないでくれ。いいな?」
メリッサ:やってみましょ。
リース:がんばります。
ユーファ:わかりました。
スパイク:オッケーだ。
ガルフ:なんとかしよう。
GM:じゃ、始めよう!!
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