14日目(5月8日火曜)プラハ→ウイーン

起きたのは6時半。ゆっくり風呂に入り8時に朝食をとりに1階に降りた。ロシアと比べると品数は多くない。パンが数種類、サラダ、ヨーグルト、コーヒー、ジュース程度だ。周りには20人程の客がいた。日本人も数人いたが皆旅行慣れした感じだ。

今日は夕方の便なので、あまり時間はないが立ち読みしたガイドブックに出ていたカレル橋とプラハ城だけは見ておこうと10時に荷物を預けてチェックアウト。預かり代は20Kc(80円)だった。地下鉄に乗り4駅先の「STAROMESTSKA」で降りた。

プラハの地下鉄は3路線だけで駅構内の表示も旅行者にも親切で、目に付きやすく配置されていて分かりやすい。文字もアルファベットだとずいぶん楽だ。やはりキリル文字は読みにくい。駅を出て地図を頼りに街中を歩いていくが、ずいぶん旅行者が多い街だ。ガイドブックを開いている人やカメラをぶら下げている人、バックパックを担いだ人も多くいた。ロシアの街中では見なかった光景だ。国が変わるとこんなにも違うものなのか…。警官や軍人も見ないし、酒を飲みながら歩くヤツやタバコの投げ捨てもいない。清潔感の有るのんびりした雰囲気の街だ。ようやく開放された気がしてきた。

5分程歩くと、カレル橋に着いた。さすがに有名な観光名所だけあって橋の上は人で賑わっていた。遠くの高台にはプラハ城が見える。ガイドブックで見たのと同じアングルだ。早速写真を撮ろうと自分にカメラを向けていたら、目の前で日本人の中年夫婦が写真を撮ろうとしていたので、これはラッキーと思い「撮りましょうか?」と声を掛けて、ついでに自分のも撮ってもらった。この旅に来てから、日本人に声を掛けたのは初めてだ。なんとなく声を掛けづらかったからだが、なぜかこの時は抵抗なく話し掛けていた。回りの観光客は西ヨーロッパからが多いようで、ドイツ語、英語、フランス語が聞こえた。橋の両脇には絵を描いている人やバイオリンを弾いている人もいる。それが周囲の景色とよくマッチして、ロシア疲れの俺には癒されるような感じがした。

橋を通りすぎて10分位歩くと、城の麓に出た。そこから長い階段を5分程昇り城の入口に着いた。ここも観光客で一杯だ。ここからの眺めはなかなかいい。プラハ市街が一望でき、レンガ色の瓦屋根の建物が並んだ古い街並は、落ち着いた雰囲気があり歴史を感じる。乱雑な日本の街にはない景観だ。やはり街の景観はこうでなくては。素直に凄いなあと感心してしまった。そう言えば看板などもほとんど見ない街だ。

城内には無料で入れた。中心部には大きな教会があるが、ロシアとは全然違う雰囲気だ。同じキリスト教でもずいぶん違うもんだ。ステンドグラスに差し込む外の光が内部の壁に映り込み、なかなかきれいだった。

1時間ほどして城を出て、降りる途中の階段で絵葉書を買った。ロシアよりちょっと高く10kc(40円)だった。まだ時間はあるので、ちょっと一杯飲もうと橋のたもとのオープンカフェでビールを飲んだ。BGMにはフランクシナトラが流れ、橋の向こうにはプラハ城が見える。実にのどかな雰囲気だ。ロシアじゃこうはいかない。外で飲んでいても、常に周りに気を配っていた。これが旅行者に開放された国とそうでない国の違いなのか。ここでは結局2杯飲んでしまった(2杯で140kc=630円)。全く平日の昼間から飲んでるなんていい身分だな。プラハに来る前は余り期待していなかったので、乗り継ぎ便を午前の便にしようかとも思っていたが、夕方便にしておいて正解だった。酔いが回り少しふらふらしながら地下鉄に乗りホテルに戻った。

2時にホテルを出て、地下鉄・バスを乗り継ぎ3時過ぎに空港に着いた。出発時刻は5時半。まだ時間は十分あるので、とりあえず遅い昼食をとる。サンドイッチにサラダ、ビールで140kc(630円)だった。食べた後しばらく建物内を散策して時間をつぶした。ロシアの空港と比べるとここはチェックインカウンターも多いし表示も分かりやすい。やはりこれが普通の空港って気がする。

チェックインカウンター近くのベンチでモニターにチェックイン表示が出るのを待ったが、1時間ほど過ぎても表示が出なかった。どうも変なので4時40分にカウンターに聞きに行くとやってもらえた。搭乗開始は5時からのこと。危ないところだった、早く聞いておくもんだな。慌てて出国ゲートに向かった。出国審査は恐そうなおっちゃんだったが何も聞かれず、スタンプを押してくれて難なく通過。次の金属探知でちょっと手間取り、係りのおばさんに金属探知器で念入りに調べられた。搭乗の10分前に待ち合い室に着いたが、人は数人しかいなかった。余り乗る人がいないのだろうか。客も10人位しか集まらず、5時5分にアナウンスが有りバスに乗り込んだ。

それにしてもヤケに少ないと思っていたら、すぐには出発せず15分待たされた。遅れた乗客が後から乗り込んで来たが、結局総勢20人程だ。これじゃあガラガラだなあと思いながら、バスの進路を見ていたら昨日と同じ飛行機が見えて来た。その近くで止まったので立ち上がろうとしたらまた動き出した。どこへ行くのかと前方を見ると何とプロペラ機が止まっている。これに乗るってことはないよな、と思っていたら。その横でバスが止まってしまった。やっぱりこれか…。それにしても小さい。なんだか乗るたびに飛行機が小さくなっていくなあ。

胴体から出ているタラップを昇り、中に入るとやはり狭かった。座席は4列で70席位か。まるでバスだ。オレの席はプロペラの真横だった。距離は1mもなく真近に迫って、ちょっと恐い。定刻より15分遅れて5時45分に離陸。結構振動がビリビリ来た。こもったような低周波の重低音もして余り快適ではない。長時間は辛そうだ。飛行高度はジェットほど高くはなく。眼下に広がる道路や街並が良く見える。付近に高い山もなく平坦な地形が続く。飛行時間は45分と短いがチーズサンドが出た。離陸後40分程して徐々に下降を始めると住宅街が見えて来た。レンガ色の屋根の家々がミニチュア模型のように見えてきて6時半に無事着陸。

これで旅行会社に頼んだ分が終わり、ここからは自分で手配した分だ。本当に予約できているんだろうか。その上まだ16泊も現地で手配しなければならない。少し不安感があるが、ここからが個人旅行の本番。何事もチャレンジ、気合を入れ直して行こう。

飛行機を降りて建物内に入り、入国審査。特に何も聞かれずスタンプを押してくれた。両替所で20$両替し荷物を受け取り、税関へ。ここもノーチェックで難なくロビーに出た。出口を出ると目の前に市内行きのリムジンバスが止まっていて、係の人が旅行者のバッグをトランクに入れていた。バスの正面の表示を見るとウイーン西駅行きと出ていた。(ドイツ語表記だが、ガイドブックに出ていた通りの地名なので特に分かりにくくはない)早速自分のも入れてもらいバスに乗り込んだ。チケットはバスの中で運転手から買えた。料金は5.8ユーロ(700円)。

6時55分に出発。バスは田園地帯を通って市街に入り7時45分にウイーン西駅に到着した。後はここから地下鉄5駅目で降りればいい。まずは切符の購入だ。ガイドブックに自販の使い方が出ていたので、それを見ながら購入しようと駅構内の自販を目指した。ところが近づいていくと、ガイドブックにはない新型に変わっていた。とりあえず近づいてみるがドイツ語表記でさっぱり分からない。どうしようか…困った。他の人のやり方を横目で見たりしていたがイマイチ理解できなかった。なんとなく直接聞くのも気が引けて、仕方なく窓口で買おうと列に並んでいたが、ふと周りを見ると自販のパンフレットが置いてある。それを見ると、表示画面とドイツ語の説明がでていたが、ガイドブックの旧型の使い方と選ぶメニューは変わらないようだ。画面にはイギリス、フランス、イタリア国旗のボタンが有る、もしかしてこれは各国語対応ということかも知れない。列を離れ再び自販並んだ。恐る恐るイギリス国旗のボタンを押すと英語画面に変わった。読んでみるとオレでもある程度分かる位の英語だった。切符の種類と枚数を選びOKすると支払画面に変わった。お金を投入して、ようやく切符をゲット出来た(お金は後から入れるのが一般的とのこと)。とりあえずホッとしたが、この程度のことで30分もロスってしまった。見知らぬ土地に来るとこういったことが結構手間になる。時間には余裕を持たないと。

すぐ近くの地下鉄駅まで行く。ちなみにロシアやチェコの地下鉄の目印はMETROの頭文字Mのマークだったが、ここではドイツ語のU-Bahnから取ったUのマークが目印になっている。駅の造りは日本に近い。ここも路線別に色分けされていて、表示も多いので分かりやすい。電車はすぐに来た。中に入ると座席はボックス席で壁はオレンジ色。結構近代的な造りだ。照明も明るい。ドアにはレバーが付いていて、降りる時はこれを引いてドアを開けるようだ。途中の乗り換えも問題なくクリアして、10分ほどでホテル近くの駅「ヒーツィング」に着いた。駅を出ると既に辺りは薄暗くなっていた。地図に出ている方向に100m程進むと、目的のホテル「パークホテルシェーンブルン」に着いた。フロントでネット予約した時の紙を渡すとすぐにチェックインできた。少し心配していたがこれで一安心。

ポーターのおじさんにスーツケースを預け、部屋に案内してもらう。部屋は広いが結構古そうなホテルだ。ネットで見た外観写真では高そうなホテルだったが、1泊7500円だとこんなもんか。とりあえずテレビをつけると、ラッキーなことに小野伸二の試合をやっていた。UEFA CUPの決勝戦だ。早速冷蔵庫からビールを出して見入ってしまった。ゴールはなかったのは残念だったが、優勝シーンが見られて良かった。なんだかBOSSのCMを思い出すなあ。やはり異国の地で日本人が活躍するのを見るのはいいもんだ。今日は移動で疲れていたがこれで少し気合が入った感じがする。風呂に入ってから、1時に床についた。

 

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