川鵜 |
群れ |
川鵜はペリカン目ウ科に属する鳥で、通常数百羽の群れをなして行動
する習性があり夏場は海を中心に…冬場は内陸の河川に生息すると言
われている。関東地方では、主に東京都内の池や川岸等に巣(ねぐら)
を構えていたが、1980年代の後半辺りから冬場に餌を求めて関東近県
(内陸)に多く飛来するようになった。
栃木県鬼怒川での数百の群れ(荒井四万氏撮影) |
近年、栃木県では渡良瀬遊水池や鬼怒川、那珂川等で飛来が確認
されており、更に毎年その飛来期間が長くなっているとの事。以前は、
その飛来期間が9月頃から次の年の1〜2月の間に限られていたもの
が、今春は5月に入っても栃木県内で川鵜が確認されている。何故、
内陸に長く居続けるかは、いろいろの説があるが、最も考えられる事と
して東京湾の埋め立てが進んでいる事(餌場、定着場所の不足)が…
影響しているのではと言われている。
「鮎釣り解禁」を前にして、この4・5・6月と放流した各河川の「鮎」の
稚魚が数百という大群の「川鵜」に食い荒らされる被害が、関東各地で
増加している。これに頭を痛めているのが、各漁協であるが、効果的な
対策が取れず実際にどれだけの稚魚が食い荒らされているのかも解ら
ないのが現状である。ここ多摩川でも、中流域(青梅市)から下流域に
かけて、早朝に川鵜が飛来し、人がいると近寄らないものの、いなくなる
とすぐに戻ってくるとの事で漁協の人たちの不安が続いている。最近で
は、間隔を置いて川原に工夫を凝らした防鵜用の「かかし」が設置され
たが、果たして効果の程は如何であろうか?(1999年記)
ちなみに、1997年度の栃木県の魚業被害は、ウグイ、鯉、鮎等で
5200万円になるとの事で、昨年1998年度は更に約倍近い被害に
なったのでは、と言われている。それは、5月から7月にかけてのまさ
に「鮎釣り」のシーズンに飛来期間がずれ込んだ為で、今年もその事
が大変懸念されている。(1999年記)
☆対策として、この6月に関東各都県や山梨、静岡の担当者が
「カワウ対策情報連絡会」を開く事になっている。各県で、ばら
ばらに対策をとっても川鵜が移動するだけなので、こう言った…
連絡会によって根本的な対策を取りたいとの事である。川鵜の
食害についても、きちんとしたデータに基づき考える必要があ
るとのことである。(1999年記)
☆2000年も、早々と次のような記事が新聞に載った。
読売新聞3月5日(日)
「アユ守るため禁漁解除!?」 釣り人に「かかし役」期待
栃木の漁協は、川鵜の被害が深刻で、昨年1999年度の被害額は、那珂
川、鬼怒川で、計一億円にのぼるとの事、これは特に「アユ」の食害で、ここ
漁協はアユの遡上時期に合わせて、雑魚のウグイや鯉の禁漁時期を早め
川に釣り人が居てもらうことで、アユの防鵜対策としたいとの事である。勿論
アユは禁漁であるが、…こういった事が県の「内水面漁業管理委員会」で、
検討される。