妄想展示室:「矛と盾」

オビツ編:腹筋百回できるかな
Tutorial for OBITSU body: Adjust strength of a torso-frame joint

(2002/11/01、2002/12/11訂正)

まえおき
Introduction

 オビツボディ女性体、特にノーマル(ABS版)の登場時に指摘された問題の1つ、「腰がふらつく」点について関節強化による改善を試みます。
 オビツボディ女性体にはABS以外に軟質樹脂製の上体を持つSB版が有りますが、SB版のフレームはABS版のフレームと構造が異なるためこの方法は採用できません。なお、SBフレームは腰回りの可動域が少ないため無改造のままでもさほどふらふらせず問題にならないと思われます。

<材料および工具>
Tools and materials

<胴体分解>
Step 1: Disassemble upper torso

1-1
  •  オビツボディの胴体部を分解して内部フレームを取り出します。
  •  下半身はそのまま引っこ抜けばいいでしょう。胸部は写真のように可動域目一杯まで曲げれば自然にパーツが割れますので、ここから慎重にドライバーなどでこじって開きます。残る腹部外装も関節の穴からドライバーでこじれば簡単に外す事ができます。
1-2
  •  出てきたフレームを、更にセンターのねじを外して完全分解します。

<関節強化>
Step 2: Insert rubber chip to torso frame

2-1
  •  ゴムシートをフレームの受けに開いている穴に合わせカッターで切り出して詰め込みます。接着の必要はありません。
2-2
  •  元どおりフレームを組み直しますが、このままではやがてフレームが圧力に負けて広がってしまう可能性があるので、外側から針金で縛って固定してやります。この際、やすりでフレームにほんの少し溝を掘っておくと後で針金がずれずに済みます。
  •  あとは外装を元どおりかぶせてやれば完了ですが、ゴムシートの入れ方によってはフレームが広がっていて外装内部のリブと干渉する場合があります。リブ、もしくはゴムシートのどちらかを削って合わせて下さい。

<2005/09/08追記−23cm女性体の場合>
The case of 23cm and 21cm body

 23cm女性体の場合も胴体フレーム構造は27cm版と同じですので同じ手法が使えそうですが、ボディサイズに比例してフレーム内部の穴も小さく、有効な摩擦面積を得るのは難しそうです。
 そこで、フレームの穴ではなく外装との兼ね合い上可動域に含まれない部分全部をゴムシートで包んで摩擦を得るようにしてみました。

<材料および工具>
Tools and materials

<胴体分解>
Insert rubber chip into spine frame

3-1
  •  23ボディは胸部外装と腹部外装の重なりがあまりない上、OEMに使用された初期生産分での問題点を解消するため胸部外装を接着併用でかなりきついはめ込みにしてありますので、27cm版と同じ分解手順は使えません。
     幸い、腹部外装のはめ込みはそれほどきつくありません。下半身を引っこ抜いてから、関節の穴からドライバーでこじれば胸部を分解しなくても外装を外す事ができます。
  •  胸部外装も接合面にカッターを差してやれば隙間が広がるので、そこをドライバーで慎重に開けば外す事ができますが、成形厚が薄いのでめくり跡が出来やすいです。特に首から肩にかけては弱いながらも接着されていますので、接合面を整形・再接着する前提でカッターを主に作業した方がいいでしょう。
3-2
  •  今回は穴埋めをしませんのでフレームはそのままです。お好みでフレームのねじを締め直したら、中間のすき間に幅を合わせてゴムシートを長さ3cm位で2枚切り出します。
  •  このシートを左写真のようにねじの通る部分の上下に差し込んだら、それぞれの関節球を包むように曲げておいて腹部外装を元通りはめ直します。腹部外装の内側にあるリブがシートを押さえつけるのでリブ>シート>関節と圧力が掛かり強度を上げる事ができます。
  •  シートの厚みによっては外装がはまりきらない可能性もありますが、その場合リブの高さを削るなどして調整して下さい。特に接着の必要はないと思われますが、気になる方は前後どちらかの外装とゴムシートを瞬間接着剤で固定してもいいでしょう。
  •  なお、フレームのねじ込み部分に2〜3mmのすき間があるため、写真ではプラリペアを充填してあります。(多分不要)

 余談になりますが、この関節構造自体は産業用の点検ミラーやピックアップツール(最近は百円ショップにもあります)でも使われているもので、金属など変形しずらい素材で出来ている場合は手では動かない程堅くできます。しかし、オビツボディのような樹脂素材では一定以上締めてもフレームがしなってしまうためにそれほど堅くなる事はありません。むしろ締め過ぎはフレームのねじ穴を破損させる可能性があるので要注意です。


<2015/09/21追記−23cm女性体の場合その2>
The case of 23cm and 21cm body: case 2

 上記の「フレームのしなり」に対して、ちょうど使えそうな部品があったので試験的にフレームそのものを金属に置き換えてみました。

<材料および工具>
Tools and materials

<フレーム置換>
Replace metal parts to spine frame

4-1
  •  安価かつ比較的簡単に手に入る金属製の2重ボールジョイントとして、百円ショップダイソーで売られている点検ミラーとピックアップツールがあります。今回は2サイズあるピックアップツールのうち、大きいサイズのほうを使用します。
4-2
  •  写真の通り、このツールの関節部はオビツ23の腹部フレームと2重関節のボール間隔がほとんど一緒ですので、そのまま受け側の金属部品を置き換えます。写真右ではねじの締めすぎ対策とずれ防止(ねじ1本で締めているので、ねじ穴の遊び分微妙に左右がずれます)のため中間部にナットを入れていますがなくても問題ないでしょう。
  •  関節強度はねじの締め込み(ナット側のほうが楽)で調節します。ノーマルよりかなり強力に締めることができますが、プラ対金属の組み合わせになるのであまり強力に締めるとボール側が変形したり可動に伴い削れるリスクもあるので注意してください。
4-3
  •  こうして置き換えたフレームの外部寸法はノーマルより幅が狭く(ただしねじ頭とナットのはみ出しは逆に大きい)前後に長くなるため、腹部外装の内側をこれにあわせて削る必要があります。
  •  個人的な好みの問題で試作品は腹部を接着、合わせ目処理しているためフレーム全体を抜き差しできるよう上側の関節口を大幅に広げてありますが、内部のリブを前後とも2mmずつ低くなるように削るだけで十分でしょう。