妄想展示室:「矛と盾」

ボークス編:基本的な削り込み
Tutorial for VOLKS body: Basic sanding

特にメーカー・サークル名の記載無き場合:人形本体および部品/創作造形(C)ボークス・造形村

まえおき
Introduction

 ボークス系ボディの基本改造として、関節周囲の部品の重なりなどから可動に制限が出たり美観上問題となる箇所について削り込みを行ないます。
 (2005/09/13追記)この項目本来の趣旨とずれますが、関節部の強度調整について一部追記します。
This is basic remodeling of Volks's body. Cut out overlap of a parts and sand some point to get more moveable joint.
(Sep.13.2005)
I added a text about adjustment of friction of some of joint.
Mostly, the tightness of connection of joint is stronger than the friction of it. This is one reason of breaking it.

<材料および工具>
Tools and materials

<削り込み箇所>
Which part of the body to you sand?

 以下の各個所について、その周囲を削って行きます。ナイフ・彫刻刀等でおおまかに削ってからペーパーを番号の小さい順に掛け、最後にめがねふきで磨いて表面を整えます。
 このめがねふきですが、下ろしたての状態で1000〜1500番前後相当のペーパー+コンパウンド磨きに相当する研磨力を持ってます。研磨で楽をしたい人にはかなりおすすめ。・・・・ですが、こんな研磨力のあるもので眼鏡を拭いても大丈夫なんでしょうか(汗)。

Sand body around each following point.

☆EB(NEW-EB含む・mini除く)
For old and new EB (exclude EB-mini/midi)

・上椀の内側(やや面倒)
The inner side of upper arm
 上椀を肘関節方向から縦に見れば分かりますが、断面が角張ったかまぼこ型になっています。ドルフィープラス登場時に改善が期待された個所ですが、結局そのままですので各自で加工する事となります。
 角の部分をメインに、断面が楕円形になるようにやすりで削っていきます。
・上腕の肘関節周囲
Upper arm, around of the elbow joint
 肘関節の球体に被さる「へり」の部分ですが、ここが前腕に当たることで肘関節の前方向への可動域を狭めています。
 「へり」の前側を横から見て斜めになるよう削り落とすことで、可動域をかなり広げる事ができます。
・前腕の肘関節周囲
Forearm, around of the elbow joint and the wrist joint
 前腕と肘関節の球体の間にある段差を削り落とすことで、上腕と合わせて肘周りがかなりすっきりした見た目になります。
・前腕の手首周囲
 上腕と同じく、この部分の断面も四角になっています。やはり角を中心に削っていく訳ですが、腕内側には成型厚が1mmを切っている個所(手首の少し上、細くなっている部分)があるので削り過ぎに十分注意すること。
・手首関節軸(2005/09/13追記・やや難しい
 2004年ぐらいからのボークス系ボディは、金型磨耗でもしてるのか各関節軸のはめ合いに緩い個所ときつい個所が出てきています。特に手首関節軸は関節強度より軸のはめ合いが強いので、手首を回そうとすると関節が分解する事が時々あります。
 関節軸を腕から抜いて、はめ合い部分のぎざぎざが気持ちささくれる程度にやすってやります。やり過ぎると抜けやすくなるので注意すること。
・前後腰部、股間節軸の受け
 腰のねじを外して一旦分解した後、内部にある股関節軸の通る刻みをもう1mmづつ深く削り直します。
 これで組み立て直せば股間部分に開いていた隙間がなくなります。削り過ぎて多少がたついても関節強度への影響はありません。
・前腰部、恥丘部分(旧EBボディのみ
 NEW-EBでは前腰パーツそのものの形状が違うので必要はありませんが、いわゆる恥丘部分の盛り上がりが大きく、直立させた時衣装によっては結構目立つのでこの部分を削って低くします。
 真っ平らになるまで削るには成型厚が足りないので程々でやめておくこと。
・腿内部、股間節軸の受け(高難度
 腿のねじを外して一旦分解した後、内部にある股関節軸の受けをリューターもしくは彫刻刀で1mm前後深く削り直します。
 これで組み立て直せば腿の股関節回りに開いていた隙間がなくなりますが、この部分の出来は関節強度に直結するので慎重に作業して下さい。特に股関節軸は成型上の理由から完全な球ではない(多少前後につぶれている)ので緩くなりやすく、自信がない場合は避けた方がよいです。
・膝関節のお皿
 膝関節をカバーするパーツですが、端の部分が腿と当たるため可動域に制約が出ています。後ろ側の端を2〜3mmカッターで切り落として、ついでに角をやや薄くなるよう削ります。
・すねの膝関節周辺
 後ろ側、膝関節ブロックの入る回りに成型上の理由と思われるふくらみがありますが、これを全部削って下のラインと繋がるようにします。下記の足首回りの削り込みと合わせれば、細脚改造によらなくてもかなり脚の印象を変える事ができるはずです。
・すねの足首関節周辺(結構面倒)
 補助的に自重を支えてこけないようにするためか特に前側が広がっていますが、ヒールを履かせたりすると思いっきり段差になる上足首が太く見えるためこの広がりは全部削り落としてすねの前側ラインが直線的になるようにします。合わせて左右や後ろ側に少しある広がりも削り落とします。
 かなり切削量が大きいです、覚悟して下さい(汗笑)。
 ただし、削りすぎると手首回り同様に成型厚の薄い個所があるため穴が開く可能性があります。(特にアキレス腱の辺り、細くしようとして削り過ぎがちなので注意)

※ ただし、本来は腰を少し前傾させてここが平らに見える位置が正しいポージング。

☆EB-mini
For EB-mini

・上腕、前腕、すね全体(気になるなら)
 これらの部分は一体成型で出来ていますが、そのため成型機からパーツを抜く時の押し出しピンの跡がもろにあります。
 周囲の部分と面一になるよう削っていきますが、自分で段差を作ってしまわないよう注意して削って下さい。
・上腕の肘関節周囲
 Exボディ同様、肘関節の球体に被さる「へり」の前側を削っていくことで、肘関節の可動域を広げる事ができます。
・肘関節軸(2005/09/13追記・やや難しい
 古いボディではそれほどではないので金型磨耗による寸法変動と思われますが、最近のminiボディは肘関節の各はめ込みのバランスが悪く、可動の際に分解しやすくなっています。
 まずは関節を腕から抜いて、はめ合い部分のぎざぎざが気持ちささくれる程度にやすってやります。やり過ぎると逆に緩くなるので十分注意すること。
 関節自体も分解し、C型になっているはまり込みの先端を0.5mmくらい面取りします。出来ればC型のはまっていた受け側も、腕に繋がる軸に空いている穴の角を軽く面取りしておくといいでしょう。(この写真参照)
・手首関節軸(2005/09/13追記・やや難しい
 これも最近顕著ですが、手首関節の強度より軸のはめ合いが強いので1度関節を腕から抜いて、はめ合い部分のぎざぎざが気持ちささくれる程度にやすってやります。
 肘ほどではないですし、関節強度に影響するので気になればですが、関節を分解してC型の厚みを調整しておくと曲げてもすぐ取れるということはないと思います。
・前腰部、股関節周囲(気になるなら)
 miniの股関節周囲にはわずかですが「へり」が出ていて、腿の可動域に影響しています。この部分を削ることで腿をもう少し深く曲げる事ができますが、あまり削るとモノが小さいせいで腰回りの形状に影響しますので程々でやめたほうがいいかも。
・腿内部、股間節軸の受け(高難度
 これもEBボディと一緒ですが、腿のねじを外して一旦分解した後内部にある股関節軸の受けをリューターもしくは彫刻刀で1mm前後深く削り直します。
 これで組み立て直せば腿の股関節回りに開いていた隙間がなくなりますが、この部分の出来は関節強度に直結するので慎重に作業して下さい。股関節軸は成型上の理由から完全な球ではない(多少前後につぶれている)ので、自信がない場合は避けた方がよいです。
・腿の膝関節周囲
 miniの場合膝関節の一部が腿から露出しているのですが、パーツ分割上この部分に段差が出来ますので腿の下端、関節パーツと繋がるふちの角を落としてなだらかに繋がるように見せます。

☆EB-neo
For EB-neo

・上腕、前腕、すね全体
 これらの部分は一体成型で出来ていて、押し出しピンの跡が残っています。周囲の部分と面一になるようなだらかに削って下さい。
・上体の肩関節周辺
 上体と肩二重関節の球状カバーの間に目立つ段差があり、ベストを着ているように見えてしまうのでこの部分の角をなだらかに落としてやります。
・前腕の肘関節周囲
 肘関節ブロックの入る周囲にあるへりが厚く、腕が分断してみえるため肘関節の左右を中心にへりを薄く整形します。
・手首関節軸(2005/09/13追記・やや難しい
 EB-neoの場合前腕のパーツがEBとは違うのですか、なぜか手首関節に対して軸のはめ合いがきついのは一緒です。
 関節軸を腕から抜いて、はめ合い部分のぎざぎざが気持ちささくれる程度にやすってやります。EBよりはリカバーしやすいですが、やり過ぎには注意。
・上腹部の裏側
 上下2分割の腹部のうち、上側が下側に重なる部分の厚みを裏から調整します。この部分はあまり可動域や関節強度に影響しませんが、やり過ぎると腹部がずれやすくなるので多少の注意が必要です。
・腿内部、股間節軸の受け(高難度
 ほとんどボークス系共通の問題個所ですが、腿のねじを外して一旦分解した後内部にある股関節軸の受けをリューターもしくは彫刻刀で1mm前後深く削り直します。
 これで組み立て直せば腿の股関節回りに開いていた隙間がなくなりますが、この部分の出来は関節強度に直結するので慎重に作業して下さい。股関節軸は成型上の理由から完全な球ではない(多少前後につぶれている)ので、自信がない場合は避けた方がよいです。
・すねの膝関節回り
 上腕と似た問題ですが、膝関節ブロックの入る周りのへりを薄くして脚のラインがなだらかになるようにします。

☆DP
For Dollfie-plus (DP)

・上腕の肘関節周囲
 EBボディ同様、肘関節の球体に被さる「へり」の前側を横から見て斜めになるよう削り落とすことで、肘関節の可動域をかなり広げる事ができます。
・前腕の肘関節周囲・手首周囲
 DPボディの前腕から先はどうもEBボディと同パーツらしく、形状的な問題も同じですので同じように削って見た目を良くしてやります。
 EBの方では書きませんでしたが、こうした場合全体を均一に削ってしまうとただの棒のようになってしまうので、自分の腕を参考に(笑)そのまま残す部分と削る部分を決めてメリハリを付ける様にして下さい。
・手首関節軸(2005/09/13追記・やや難しい
 前腕が共通ということで、手首関節に対して軸のはめ合いがきついのもEBと一緒です。関節軸のはめ合い部分をわずかにやすってやることで強度のバランスを取ります。
・腹部上の背中側、胸部との境目周辺
 原形製作上の問題かどうか不明ですが、DPボディの腹部は胸部に入る辺りで段が付いていますのでポーズや衣装によっては見た目に影響します。
 胸部のねじを外して分解し、出てきた腹部の段差を削り落とします。
・腿内部、股間節軸の受け(超高難度
 DPボディの腿は股関節軸も含めてNEW-EBと同パーツですのでやはり股関節周辺に隙間が開いていますが、腰の形状が違うためこれをキレイに直すためには腿だけでなく腰回りも分解する必要があるのであまりお勧めしません。
 胸部、腹部を分解したあと腰パーツの前後接合面からカッターを慎重に入れて腰パーツを分解し(接着範囲に個体差があるため、時にこれがかなり難しい)、それからEBボディ同様腿を分解、内部の股関節軸受けを1mm前後深く削り直します。
 股関節強度への影響もそうですが、腰を分解する時に腹部の挟まる個所を痛めて、再組み立て後に緩くなる(or回らなくなる)可能性があるのでそれなりの覚悟の上で実施して下さい。
 なお、腰前後を再接着する際、関節軸の収まる溝にパテ埋めを行うと軸がぐらつかなくなり自立しやすくなります。
・膝関節のお皿
 このパーツもEBボディと類似形状ですので、対処も同じように後ろ側の端を2〜3mmカッターで切り落として、角をやや薄くなるよう削ります。
・すねの足首関節周辺
 原型製作上の問題でもあったのか、足首の上1cm位の範囲ですねが左右に少し波打っていますので、外側内側とも膨らんでいる所をまっすぐになるよう削ります。

☆EBBおよびEB-midi
For EB-Beauty (EBB, include EB-midi)

・上腕、前腕、すね(全種
 これらの部分は一体成型で出来ていて、押し出しピンの跡が残っています。
 周囲の部分と面一になるようなだらかに削って下さい。
・首の上端前方(A/B/S
 なぜか首の外装が前上がりの形状になっているので、前下がりになるよう削り込みます。
・肩関節の胴側、前後(Sおよびmidiのみ)
 EBB-Sの肩は、NEO剛と同じく軸を1段引っ張り出すことで前後上下に振る事ができる設計になっています。ところが胸部外装に開いている穴が小さいため可動域が狭められています。
 首周りからカッターをちょっと入れてこじり胸部を分解した後、肩関節軸の通る穴を1〜2mm広げてやることで肩周りの可動域はかなり広くなります。
・前腕の肘関節周囲(Sのみ
 EBB-Sの肘は2重関節になっていますが、関節周りの径が太いため干渉し合って思ったほどの可動域になっていません。上腕側の関節パーツは切削が難しい素材ですので、前腕側の関節周りを一回り削り込みます。
・胴体の股間節周辺(S以外
 EBB-A/B/超乳/爆乳の下部胴体(腹+腰)は股関節周りの「へり」が長く、座らせようとしても腿が干渉してあまり脚が上がりません。EBB-Sの腰回りを参考に、股間寄りの部分を削り落とすことで脚を90度近くまで上げる事ができるようになります(それ以上を求めると美観にかなり悪影響が出ます)。
・肘・手首・膝の各関節軸(2005/09/13追記・やや難しい
 いちおう最新のはずなのですが、なぜかEBBボディでも他のボークス系同様に四肢関節軸のはめ合いが妙にきつく、ひねりづらくなっています。
 関節軸を一度抜いて、はめ合い部分を軽くやすってやればいい訳ですが、EBBの場合関節を無理に抜くと軸を千切る可能性があります。予備部品の別売は今のところないので、あまり固執しない方がいいかもしれません。

☆EB-NEO剛ボディ
For Neo-Goh

・上腕、前腕、すね
 これらの部分は一体成型で出来ていて、押し出しピンの跡が残っています。周囲の部分と面一になるようなだらかに削って下さい。
・腹部
 全体に角張っているので、特に両脇を中心に角をなだらかに落としてやります。
・前腕の肘関節周囲
 肘関節ブロックの入る周囲にあるへりが厚く、腕が分断してみえるため肘関節の左右を中心にへりを薄く整形します。
・腰の上端
 腹と腰の間の段差が目立つので、腰の上端を薄く削ってなだらかに見せます。
・すねの膝関節回り
 上腕と似た問題ですが、膝関節ブロックの入る周りのへり、特に後ろ側の左右を薄くして脚のラインがなだらかになるようにします。