21日(9:20)大泉学園→(11:40)親鼻駅→(13:00)栗谷瀬橋→(15:20)親鼻駅→ (17:40)大泉学園
栗谷瀬橋下流はルアー・フライ釣り場だ |
秩父フリー切符で皆野方面に出かける。栗谷瀬橋付近の蛇紋岩露頭を観察しなが らよい子の鉱物採集に適地か見定めるのが目的。「素人でも分かりやすいやつね」 とK阪さんから厳しい注文がついている。黄鉄鉱でもあればいいのだが、蛇紋岩 で納得してくれるか。
直通列車を乗り過ごしたので、西武秩父で乗換え。御花畑駅で30分ほど時間があっ たので、15分ほどでつく隣の秩父駅まで歩く。ここは「地場産業センター」があっ て地元の農産物から加工食品、工芸品までいろいろと売っている。本もあったの で思わず『秩父の民話と伝説』『新説・秩父事件』などを買ってしまった。
親鼻は美の山の登山口だが、きょうは反対方向の荒川に向かい、少々強引に川原 に下りる。いきなり結晶片岩の露頭だ。うれしいな。上流の栗谷瀬橋に向かって 歩いていくと蛇紋岩がいっぱい落ちている。拾うがあまり美しくない。蛇紋岩に 方解石が網の目のように入った「蛇灰岩」がこの地の特産。飾り石にもされる美 しい石らしい。それもいっぱいあるが、あまりありがたみを感じない。「鳩糞 (はとくそ)石」という地元の呼び名はピッタリだ。どうやったら飾り石になる んだ。
蛇紋岩の露頭 |
きょうは成果なしか? 栗谷瀬橋が近づくと釣り人が多く、にぎやかになる。こ こは2月いっぱいまでルアー・フライ専用の「キャッチアンドリリース釣り場」 なのだ。「ニジマスを釣ってもいいけれど、持ち帰らずに放してね」というお約 束で釣りを楽しむ区域だ。目の前のルアーマンがミノーで小型のマスを掛けた。 足元まで引き寄せると馴れた手つきで針を外し、魚体に触ることなくリリースし た。うまいもんだねー。ぼくもそうだったけれど、フライマンは純粋に釣りをス ポーツとして楽しみ、魚を持ち帰ることにこだわらない人が多い。禁漁期のこの 時期に堂々と荒川本流でフライを振れるなんて。いい時代になったもんだ。
釣り場の最上流部に蛇紋岩の露頭はあった。これだけあると蛇紋岩といってもた だの石っぽいのからへき開のある鉱物らしいものまで、いろいろだ。透き通った 緑色の鉱物は、かんらん石か軟玉かとちょっと期待した。後でいろいろ調べたと ころ、これが「蛇紋石」という鉱物らしい。大蔵でチャートに貫入している鉱物 と同じものだが、こちらの方が明るい色でずっときれいだ。へき開がはっきりし ているので1ミリくらいに薄くはがして日に透かすと見栄えがいい。これならK 阪さんも納得だろう。 こんな感じです。
親鼻橋から上流を見る |
これでも何とかなりそうだが、もうひとつ何かほしい。辺りを物色するが、蛇紋 岩しかないのであきらめる。栗谷瀬橋を渡って対岸に降りてみるが、やっぱり蛇 紋岩しかない。しかも、護岸されてしまい露頭は少ない。下流に向かいながら周 囲の石を観察する。林の中の転石に色の薄い蛇紋岩があったのでハンマーでかき 取った。
これまで採集したサンプルはすべて磁性を調べてきた。ここの蛇紋岩はよく磁石 にくっついた。帰る途中にポケットに入れてあった磁石を見ると、白い綿のよう なものが付いている。ごみかと思ったが、よく見ると磁石にくっついているよう だ。最後に採取した石をもう一度出してルーペでよく見る。繊維状の結晶がある。 クリソタイルだ。これも蛇紋石の一種だが、繊維状の鉱物は素人にも分かりやす い。これもOK。見るべき収穫があり、一安心だ。
金崎の交差点を曲がって親鼻橋を渡る。ここまできたから紅レン石片岩の露頭に 立ち寄る。風化しているので鮮やかな赤色の部分は探さないとわからない。夕方 だから色もわかりにくい。ここは国の天然記念物に指定されている。たとえかけ らでも動かしてはいけない。それで、写真を撮りまくるが、この高さだとちと怖 いな。地質学的には重要な発見があった紅レン石片岩だが、素人には分かりにく いだろうな。これはアウトだな。
栗谷瀬橋−親鼻橋と一回りして親鼻駅に戻ったら、ずいぶん時間がかかってしまっ た。当初予定していた埼玉県立自然史博物館に寄っていく時間はもうない。きょ うはそれなりの収穫もあったし、よい子の鉱物採集計画のストックもできたし、 これで十分。自然史博物館の「石のコレクション 収蔵岩石・鉱物標本展」はま た次の機会にしよう。帰りに西武秩父駅前のそば屋で食ったざるそソバがうまかっ た。