■■ 石の展示室 1号館 ■■


山で採集した鉱物や岩石、化石などの標本です。一応の分類はしてありますが、 鑑定にはちょっと自信ありません。間違っていたらごめんなさいです。後でこっそりと直します。

もらい物や購入品、研磨など加工した石は 石の展示室 2号館 で紹介しています。

写真は「技」を駆使してより美しく見えるよう最大限の努力をしています。 また、見やすくするために大きさもかなり拡大および縮小してあります。 したがって、実物とはかなり印象が違う場合もあることをお断りしておきます。

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自然銅 (しぜんどう)

Cu

赤味の強い金属光沢は、新鮮な銅の表面そのもの。見間違えることはない。とは いえ、現地ではさびだと思って見逃した。真剣に探せばもうちょっと大きいもの が見つかるかも。輝銅鉱や孔雀石の中に帯状に入っている。写真の左右4ミリ。
(2006年11月11日 中宇利鉱山)
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水苦土石 (すいくどせき)

Mg5(CO3)4(OH)2・4H2O

蛇紋岩に出るマグネシウムの炭酸塩鉱物の一つで、薄い盾のような結晶が半円状 に広がり白い玉になる。皮膜状、魚卵状にもなるが、表面が風化してなければ結 晶片がキラキラ光るので同定しやすいと思う。この産地にはきわめてたくさんあ る。写真の左右1.3センチ。
(2006年10月23日 吉川鉱山)
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蛋白石 (たんぱくせき)

SiO2・nH2O

遊色の浮かぶ蛋白石を求めて再訪したが宝石クラスは拝めなかった。しかし、水 色も捨てたものではない。美しい遊色が出る物は非晶質で、そうでない物は石英 と同質異晶の関係にあるクリストバル石なのだそうだ。鉱物の世界でも非晶質 (アモルファス)は高級品なのだと知った。写真の左右2.2センチ。
(2006年10月22日 棚山高原)
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蛋白石 (たんぱくせき)

SiO2・nH2O

水を含む珪酸の鉱物。早い話オパール。とはいっても宝石にはならない。たいて い白くにごった塊の場合が多い。卵の白身に似ているから「蛋白石」というわけ だ。この産地は白だけでなく黄、緑、青、茶などの色の物が出る。それらが順番 に固まったため、層をなしているものもある。この標本のような組み合わせなら、 蛋白石というよりも「卵石」がふさわしいと思う。写真の左右1.5センチ。
(2006年10月16日 棚山高原)
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玉髄 (ぎょくずい)

SiO2

蛋白石に交じって半透明の玉髄も産する。この標本は上半分のもこもこした部分 が玉髄で、水平の出ている白いところは蛋白石。母岩の松脂岩との堺は短波長紫 外線で黄緑色に蛍光する。この産地の玉髄には、しずくがたれたような鍾乳石状 の形のものもある。写真の左右2.2センチ。
(2006年10月16日 棚山高原)
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水晶 (すいしょう)

SiO2

どこにでもある鉱物だが、産地の特徴がよく出るのでついつい集めてしまう。当 鉱山の物は柱面が密着したずんぐりした群晶が多い。柱面に小型水晶が張り付い た「鎧(よろい)水晶」も多い。紫水晶も出る。写真の左右5センチ。
(2006年9月24日 亀山盛鉱山)
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孔雀石 (くじゃくいし)

Cu2(CO3)3(OH)2

円柱状に結晶している場合もあるけれど、たいていは濃い緑色の塊になっている。 日三市鉱山のものと形状はよく似ている。ただ、日三市では分離結晶が多いが、 ここでは水晶のすき間に産出しているものが多い。写真の左右1.3センチ。
(2006年9月24日 亀山盛鉱山)
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白鉛鉱 (はくえんこう)

PbCO3

本鉱山には方鉛鉱の二次鉱物がたくさんある。本鉱以外に硫酸鉛鉱や青鉛鉱も多 い。しかし、たいていはそれらが絡み合っていて「これが白鉛鉱!」という標本 となると少ない。この標本は板状結晶がいくつも重なった白鉛鉱らしい特徴が出 ているが、孔雀石がその上にべったりと乗ってしまっているのが残念。写真の左 右1.2ミリ。
(2006年9月24日 亀山盛鉱山)

瑪瑙 (めのう)

SiO2

結構たくさんあった。ほとんどが玉髄やトロンとした半透明のもの。探せばこの ようにしま模様の入ったものも出る。暗い部分はやや紫がかっている。中央部は 結晶が荒く、端っこの方は短波長紫外線で黄色く蛍光する。写真の左右4センチ。 磨いたら、いい線いくと思うがもったいなくてできない。
(2006年9月2日 赤石鉱山)

重晶石 (じゅうしょうせき)

BaSO4

銅を採掘していた本鉱山の脈石鉱物。板状結晶がいくつも重なっている。グチャッ として見栄えは悪いが、ススキで腕を切りながらヤブ漕ぎした成果だと思えば多 少は納得できる。写真の左右約3センチ。
(2006年9月2日 赤石鉱山)

黄鉄鉱 (おうてっこう)

FeS2

一辺の長さが9ミリ。惜しい。きれいな立方体だ。この標本の母岩は赤鉄鉱だが、 透閃石や滑石にも入っている。いずれも結晶がしっかりしているのが特徴だ。掘 れば分離結晶がでるかもしれない。
(2006年9月1日 仙人鉱山)

珪灰石 (けいかいせき)

CaSiO3

白く透き通った繊維状結晶の塊。灰鉄輝石やざくろ石を伴うため、やや薄汚れて 見えるが、結晶は純白でガラスのような光沢があるのですぐに分かった。触った だけでポロポロとはがれるほど結晶は脆い。スカルンにはよくある鉱物らしいが、 見るのは初めて。平凡で変哲のない鉱物だけどうれしかった。写真の左右約2.7 センチ。
(2006年8月8日 梓鉱山)

水晶 (すいしょう)

SiO2

当地の水晶は結晶の向きがてんでばらばら。好き勝手な方向に伸び、頭がくっつ いたり、重なったりして美しくない。おまけに動物の糞のような茶色いかたまり が付いていたりして採集意欲がなえる。そんな、ばっちい標本をシュウ酸で洗っ てみた。すると茶色い糞の下から黄緑色の緑泥石が現れた。ま、色が動物からウ グイスになっただけで、ボロボロと崩れる糞のような形状は変わらない。なんと なく緑水晶っぽくなったのはありがたい。写真の左右約2.5センチ。
(2006年8月8日 梓鉱山)

灰鉄ざくろ石 (かいてつざくろいし)

Ca3Fe(SiO4)3

当地のざくろ石は褐色がかった緑色で、光沢が強いのが特徴。天然水晶洞の出口 にいくらでもあるが、たいていは焼けで茶色くなっている。緑の美しいものを探 すのは至難の業。以前、社長に2センチほどの結晶がいくつも重なった標本を見 せてもらったことがあり、ため息が出た。写真の左右1.8センチ。
(2006年8月7日 湯沼)

水晶 (すいしょう)

SiO2

湯沼鉱泉は裏山が採石所になっている。社長が重機で掘り崩し鉱物を採集してい るのだ。あまりに広すぎてどこに何が出るのかさっぱり分からないが、目の前に 転がっているのがただの石でないことだけははっきりしている。どの石もたたけ ば何か出る。そうやって採集した水晶。透明でひとつひとつの結晶がはっきりし ている。標本の左右2.5センチ。
(2006年8月7日 湯沼)

灰鉄ざくろ石 (かいてつざくろいし)

Ca3Fe(SiO4)3

濃い緑色が美しく、透明感もある。光沢が強いのでたぶんアンドラタイトでいい と思う。土の中から掘り出したときは見栄えのしないくすんだ色だったが、手間 なしブライトで洗ったら、見違えるように輝いた。写真の左右約1センチ。
(2006年7月8日 秩父鉱山)

ミメット鉱 (みめっとこう)

Pb5(AsO4)3Cl

鉱物同志会の採集会で赤岩坑の目玉とされた鉱物。コケが鉱物か区別もつかない ような極小の代物しか見つからず、厳しい目玉だった。3度目の挑戦で探し当て たのが写真の左右約7ミリの当標本。これも苦しいが肉眼で緑色の鉱物が確認で きる。結晶の形は、先細りの角柱か先端のルーズな角錐かといったところ。色も 黄色から黄緑まで色々ある。堀先生によると当地のものはリン酸塩が含まれ、緑 鉛鉱と成分が連続しているそうだ。言われてみると緑鉛鉱っぽい感じもする。
(2006年7月8日 秩父鉱山)

水亜鉛土 (すいあえんど)

Zn5(CO3)2(OH)6

よく、「土状の鉱物」と表現されるが正確ではない。上品にいうと粉砂糖をまぶ したような質感に特徴がある。真っ白で掘り出したときは「白カビ」かと思った。 同心円状にもこもこと盛り上がっているのでそっくりなのだ。思わず指でぬぐっ てしまった。部分的に針のような結晶が見られる。短波長紫外線で白く蛍光する のが鑑定の決め手になる。堀先生が丁寧に解説してくれたので、さぞありがたい 鉱物だろうと必死に探した。それが“カビ”とは...。写真の左右約1.1センチ。
(2006年7月8日 秩父鉱山)

異極鉱 (いきょくこう)

Zn4Si2O7(OH)2・H2O

本鉱は細い針状の結晶が、放射状に半球形を作っている標本が多い。当地のもの もほとんどがそうだ。この標本は透明なアルマジロかダンゴ虫のような形をして いる。でも、断面にはやはり放射状の結晶が見えるから太目の結晶の集合体なの だろう。ズリから褐鉄鉱の塊を掘り出せば、たいてい本鉱が付いてる。写真の左 右約1.4センチ。
(2006年6月24日 秩父鉱山)

方解石 (ほうかいせき)

CaCO3

方解石はよくある鉱物だけれど自形結晶にお目にかかれるのは少ない。これはア メ色をした透明度の高い、少しルーズな三角錐の結晶だ。方解石は非常に多様な 結晶があり、産地によってもさまざまな特徴がある。珍しい鉱物を見つけたと喜 ぶと方解石だったということが何度もあった。逆に出来の悪い水晶だと思って捨 ててきたこともあった。よく観察して結晶の特徴をつかまないと泣きをみる。写 真の左右約1.1センチ。
(2006年6月24日 秩父鉱山)

紫水晶 (むらさきすいしょう)

SiO2

ちょっと薄いけれど一応、紫水晶といえるもの。このさんちには紫の石英脈がた くさんある。しかし、水晶となると少ない。ズリの表面に水晶は落ちているが、 紫ではない。紫水晶は紫外線で退色するというから表面採集は難しいだろう。が んばっても“ほんのり紫水晶”くらいか。日の当たるところに出すとたちまち色 が消えてしまいそうで人には見せられない代物になっている。写真の左右約1センチ。
(2006年5月28日 日三市鉱山)

孔雀石 (くじゃくいし)

Cu2(CO3)3(OH)2

全体が孔雀石の結晶。ズリにたくさん埋もれている。断面は放射状の結晶が絹糸 のように光を反射する。表面は本来、ビロードのようで濃い緑色をしている。だ けど柔らかいのですれると色がはげたようになる。すると安っぽい緑色のスポン ジのような感じになる。標本の左右1.6センチ。
(2006年5月28日 日三市鉱山)
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自然金 (しぜんきん)

Au

金の輝きは思っていたよりもずっと渋い。まばゆい輝きはないが、表面が微妙に 凸凹しているのでどこから見ても、よく光を反射する。黄銅鉱よりもやや赤みが かり、暖かい感じのする色だ。金の左右約1ミリ。
(2006年5月13日 菖蒲沢海岸)
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瑪瑙 (めのう)

SiO2

模様はそれらしいけれど光の透過性があまりよくないので、なんだか安っぽい感 じがする。限りなく碧玉に近いメノウなのかな。模様ははっきりしないけれど透 明度の高いヒスイ海岸のものとはずいぶん印象が違う。標本の左右約60ミリ。
(2006年5月13日 菖蒲沢海岸)
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ヨハンセン輝石 (よはんせんきせき)

CaMnSi2O6

水色の透き通った繊維状結晶。鉱物にはさまざまな色があるが、こんなさわやか な色はいままでお目にかかったことがなかった。真っ黒なマンガンから出るのは 不思議なものだ。ピンクのばら輝石との組み合せはとくに美しい。でも、非常に 堅くて、その色を見るまでの苦労は並み大抵ではない。写真の左右は約27ミリ。
(2006年5月6日 河津鉱山)
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赤鉄鉱 (せきてっこう)

Fe2O3

埋まっていた物は光沢が鈍いけれど、新鮮な面が出たものは鏡のようにピカピカ と光り、「鏡鉄鉱」と呼ばれる。薄い結晶が重なる様子は雲母のようだ。何とな く結晶の形が分かるが、六角形の自形を確認するのは難しい。塊はずっしりと重 く、強い磁性がある。写真の左右約9ミリ。
(2006年5月4日 和賀仙人鉱山)
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黄鉄鉱 (おうてっこう)

FeS2

当地は黄鉄鉱の大きな結晶が採れることで有名。たしかに露頭には2センチを超 える結晶が出ていた。でも、大きいものは形が崩れてしまっているものが多く、 黄鉄鉱らしくない。赤鉄鉱の晶洞には水晶とともに形のしっかりしたものが入っ ていた。結晶の左右は約8.5ミリ。
(2006年5月4日 和賀仙人鉱山)
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水晶 (すいしょう)

SiO2

結構たくさんあった。透明でシャープな結晶が多い。もっと大きなものもあった けれど、母岩が大きくて解体するのが大変そうだったのであきらめた。この水晶 も30センチくらいある赤鉄鉱の塊を砕いて取り出した。水晶採りは、肉体労働だ。 写真の左右約20ミリ。
(2006年5月4日 和賀仙人鉱山)
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赤玉 (あかだま)

SiO2

好きなんだな赤玉。ついつい拾っちゃう。当地ではこれまで何度も拾ったが、 チャートとの区別がつかなかったり、色がいまいちだったりして、納得できなかっ た。今回は自信あり。黄色っぽい部分もあるし、鮮やかな朱色はこれぞ赤玉って 感じが出てると思う。標本の左右は約53ミリ。
(2006年4月27日 朝日海岸)
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斧石 (おのいし)

Ca2FeAl2(BSi4O15)(OH)

当地で斧石が出ることは知っていたが大黒河原にあるとは思わなかった。母岩は 石英閃緑岩で磁硫鉄鉱を伴う。刃物のような独特の形をした結晶は分かりやすい。 写真の左右は12ミリ。実は以前に六助で採集していた。しかし、ずっと方解石だ と思い込んでいたので気がつかなかった。情けない。
(2006年4月24日 秩父鉱山)
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灰十字沸石 (かいじゅうじふっせき)

(K2,Ca,Na2)2.5Al5Si11O32・13H2O

かっちりしたひし形の結晶面が特徴。結晶はひし形十二面体のように見えるが、 一方向に伸びた柱状結晶だ。十字形の双晶になることから名前がついた。でも、 そんな形の結晶はついに見つからなかった。結晶表面の条線をよく見れば双晶で あることが分かると、いわれてみればそんな気もするが...。写真の左右1センチ
(2006年4月9日 北吉見)
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トムソン沸石 (とむそんふっせき)

NaCa2Al5Si5O20・6H2O

半透明の小さな粒々が集まって丸っこい塊を作っている。割れ目からはその実態 が放射状結晶の集合体だと分かる。この産地では比較的分かりやすい。写真の左右1.2センチ
(2006年4月9日 北吉見)
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スコロド石 (すころどせき)

Fe3+AsO4・2H2O

硫砒鉄鉱が分解してできる鉱物。たいていは皮膜状だが、この標本では微細な結 晶も見える。皮膜状の部分は土色−カナリアイエロー、結晶部分は透明な薄い緑 色をしている。硫砒鉄鉱なら毒にならないけれど、砒酸塩鉱物は砒酸塩が溶け出 す恐れがあるので本鉱を触った手で弁当を食わないほうがいい。写真の上下1.2センチ
(2006年4月8日 錫高野)
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珪孔雀石 (けいくじゃくせき)

Cu2H2Si2O5(OH,O)4・nH2O

黄緑から青味がかった緑色の鉱物で、樹脂がすき間に染み込むように石英の割れ 目を満たしている。焼けで赤茶けた石が多いズリでは目立つ存在。写真の左右2センチ
(2006年4月8日 錫高野)
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魚眼石 (ぎょがんせき)

KCa4(Si8O20)(F,OH)・8H2O

魚の目のような輝きから付いた名前なんだそうだが、そういわれてもよく分から ん。一見、水晶みたいだが、断面が六角形ではなく四角形。結晶をよく観察すれ ば隣り合う錘面の角度が小さいし、頭がきれいな三角形をしているので違いは分 かりやすい。写真の左右1.6センチ
(2006年3月31日 やんだ)
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モルデン沸石 (もるでんふっせき)

(Na2,Ca,K2)4Al8Si40O96・28H2O

見たとおり、フワフワの毛玉そのもの。とても石とは思えない。真っ黒な玄武岩 を割ると、真っ白な本鉱が出てくる様には感動した。採集はさほど難しくないが、 水にも風にも弱い結晶を無傷で持ち帰るのは至難の業だ。写真の左右1.5センチ
(2006年3月31日 やんだ)
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輝沸石 (きふっせき)

(Na,K,Ca0.5)9Al9Si27O72・24H2O

一方向に長く伸びた六角板状の結晶がいくつも重なっている。平らな部分の光沢 が強いためこの名前がついた。産地は海岸のため太陽を遮るものがない。そこら 中でキラキラ光るのでちっちゃな結晶でもとても目立つ。したがって採集袋の中 に輝沸石ばかりがたまることになる。結晶の長さ5ミリ
(2006年3月31日 やんだ)
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ばら輝石 (ばらきせき)

(Mn,Ca)5Si5O15

茂倉沢の本鉱には結晶の形が分かるほど粗いものがある。結晶は透明で大きいほ ど色も濃く、キラキラしてきれいだ。そんなタイプの鉱石を多くのマニアが血眼 になって探すのはお目当ての鉱物がその中に入っている可能性が高いからだ。 写真の上下2センチ
(2006年3月19日 茂倉沢鉱山)
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ブロシャン銅鉱 (ぶろしゃんどうこう)

Cu4(SO4)(OH)6

青竹のような濃い緑色が特徴。細い板の結晶が放射状に伸びている。よく似てい る孔雀石より色が濃く、結晶も特徴があるからこれくらいの大きさ(写真の左右 1.3センチ)なら見分けられるつもり。
(2006年1月20日 河津鉱山)
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異極鉱 (いきょくこう)

Zn4Si2O7(OH)2・H2O

亜鉛の二次鉱物。真っ白な毛のような結晶が放射状に密集して丸い玉を作ってい る。玉は結晶方向に割れやすく、断面は繊維状で鈍く光っている。塩酸につける と分解するが、炭酸塩鉱物のように泡は出ない。写真の左右約2センチ。
(2006年1月6日 船岡鉱山)
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ばら輝石 (ばらきせき)

(Mn,Ca)5Si5O15

ピンク―肉色の非常にち密なかたまり。ヨハンセン輝石(青い部分)や微晶質の 石英がかんでいて、とてつもなく堅いかたまりになっている。中途半端な気持ち でハンマーを振るうとひどい目に遭う。写真の左右約6センチ。
(2006年1月2日 河津鉱山)
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イネス石 (いねすせき)

Mn7Ca2(Si10O28)(OH)2・5H2O

この産地の特産品のような鉱物。質を選ばなければ、まだかなりある。薄紫色で 透明感があり、繊維状の結晶が放射状に入っている。真っ黒なマンガン隗から、 こんな明るい色の鉱物が出てくるのは不思議。マンガン鉱物ゆえに、酸化してだ んだん黒くなってしまうらしい。何とかならんものかねえ。写真の左右約3センチ。
(2006年1月2日 河津鉱山)
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ばら輝石 (ばらきせき)

(Mn,Ca)5Si5O15

結晶してるし、へき開はあるし、採集しているときは菱マンガン鉱だとばかり思っ ていた。こんなばら輝石もあるんだ。この産地には本来、本鉱は腐るほどあり、 ありがたがって拾ってくる者はいない。写真の左右約4センチ。
(2005年12月28日 萩平鉱山)
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硫酸鉛鉱 (りゅうさんえんこう)

PbSO4

方鉛鉱が酸化分解して最初にできる鉱物。皮膜状のものはよくある。探せば、将 棋の駒のような板状の結晶もある。無色透明で水晶に似ているが、縦方向の条線 が極めてはっきりしていること、輝きが強いことなどで区別はつく。結晶の幅は 最大で約3ミリ。
(2005年11月16日 亀山盛鉱山)
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緑鉛鉱 (りょくえんこう)

Pb5(PO4)3Cl

真ん中が膨らんだ六角柱の結晶。端面が縮んでヒルのような形の結晶もある。名 前どおり、若草色半透明のものもあるが、透明―白色のものもある。写真のよう な1ミリ程度の結晶なら十分にある。
(2005年11月16日 亀山盛鉱山)
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白鉛鉱 (はくえんこう)

PbCO3

白い鉛の二次鉱物。青鉛鉱やブロシャン銅鉱にべったり張り付いている場合が多 いが、板状結晶が組み合わさったもの、水晶のように六角柱で頭がとがっている ものなど、変わった形の結晶がある。いずれも色は白で真珠のような光沢と、非 常に細かい縦の条線が共通している。写真の左右は約7ミリ。
(2005年11月16日 亀山盛鉱山)
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青鉛鉱 (せいえんこう)

PbCu(SO4)(OH)2

ここの青鉛鉱は色が濃い。特に結晶が大きくなるとその傾向が強い。何度も藍銅 鉱かと思ったが、カッターナイフのような形をした独特の板状結晶は間違えよう がない。石英などの晶洞にもできるが、褐鉄鉱が粘土状になったものなど、母岩 が柔らかいと大きな結晶が出る傾向にある。写真の上下は約7ミリ。
(2005年11月16日 亀山盛鉱山)
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珪孔雀石 (けいくじゃくせき)

Cu2H2Si2O5(OH,O)4・nH2O

緑―水色の皮膜でそこらじゅうにある。厚みがあっても、たいていはもろくてボ ロボロと崩れる。仏頭状に結晶したものや、石英が染み込んだものはしっかりし ていて見た目もきれい。写真の左右は約20ミリ。
(2005年11月16日 亀山盛鉱山)
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水晶 (すいしょう)

SiO2

直径5センチほどのものも転がっているが、きれいとはいえない。母岩つきの群 晶はいっぱいあるが、水晶部分だけを壊さずに取り出すのは一苦労。そんなヒマ と労力があれば、もっとたくさんの二次鉱物が採集できる。ズリに落ちている分 離結晶を探すのが吉。一部、紫色をした石英もある。写真の結晶は長さ47ミリ。
(2005年11月16日 亀山盛鉱山)
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バスタム石 (ばすたむせき)

(Ca,Mn)3Si3O9

ばら輝石に極めて近い鉱物。しかし、色が白―ピンク―アメ色とさまざまで繊維 状に結晶しているなど、見た目はずいぶん違う。ピンクの部分は繊維が目立たな いのでばら輝石と間違えたが、たたけば泣けるほど硬いのですぐに違いが分かる。 標本の左右は45ミリ。
(2005年11月10日 秩父鉱山)
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電気石 (でんきせき)

NaMg3Al16(BO3)3S6O18(OH)4

秩父鉱山で電気石が採れるという話は知っていたが、実物を見るのは初めて。針 や毛のような結晶は黒いものがほとんどだが、褐色や透明のものもある。電気石 といえば柱状結晶しか知らなかったので、見つけても自信が持てなかった。堀先 生にお墨付きをもらえたことは大きい。採集会はいいもんだ。写真の左右5ミリ。
(2005年10月22日 秩父鉱山)
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灰ばんざくろ石 (かいばんざくろいし)

Ca3Al2(SiO4)3

ざくろ石はずいぶん採集したが、ほとんどが灰鉄ざくろ石。透明度の高い灰ばん ざくろ石にはあこがれがあった。石灰沢では、方解石に埋もれた黄―黄緑の結晶 がいくらでも採れる。角の取れたひし形十二面体で、灰ばんざくろ石らしい結晶 だ。ただ、この産地にはベスブ石もある。結晶面にひし形が出ていればざくろ石 と思われるが、一部分だけだと見分けがつきにくい。結晶の幅は約1センチ。
(2005年10月22日 秩父鉱山)
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クリントン石 (くりんとんせき)

Ca(Mg,Al)2-3(AL2Si2)O10(OH)2

雲母に似た鉱物。色は青緑から無色透明まで。へき開面がキラキラするので、そ れが見つけるポイントになる。結晶は六角柱状になるらしい。ベスブ石や灰ばん ざくろ石などスカルンの塊に入っている。この標本ではかなり薄い青色をしてい る部分。濃い青色はスピネル。結晶の最大径4ミリ。
(2005年10月22日 秩父鉱山)
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スピネル (すぴねる)

MgAl2O4

宝石となる鉱物でもある。シミや塊のものは意外とたくさんある。白っぽいスカルン転石の中から青い鉱物が出てくるのは感動もの。母岩が灰ばんざくろ石の場合は、1ミリほどの濃青色八面体結晶で出ることもある。母岩によっては青緑や水色に見える。
(2005年10月16日 秩父鉱山)
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ベスブ石 (べすぶせき)

Ca19(Fe,Mn)(Al,Mg,Fe)8Al4(F,OH)2(OH,F,O)8(SiO4)10(Si2O7)4

スカルンではよくある鉱物だが、黒褐色で光沢の強い梓鉱山のものとはかなり雰 囲気が違う。ここには若草色のものと褐色のものと2種類あり、こちらは若草色 の結晶。透明感がある。この手のタイプは結晶は大きいが形はルーズだ。ちゃん とした結晶面が出ていないと、ざくろ石との区別がつかない。写真は上下約2セ ンチ。
(2005年10月16日 秩父鉱山)
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ベスブ石 (べすぶせき)

Ca19(Fe,Mn)(Al,Mg,Fe)8Al4(F,OH)2(OH,F,O)8(SiO4)10(Si2O7)4

こちらは、褐色タイプの結晶。やはり、透明感があるが、若草色のものより結晶 は小さくてシャープという傾向があるようだ。短柱状らしいが、結晶形は分かり づらい。結晶は上部平面の長さが約1センチ。
(2005年10月16日 秩父鉱山)
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菱亜鉛鉱 (りょうあえんこう)

ZnCO3

亜鉛の二次鉱物。半透明でごく薄い青色の結晶がいくつも褐鉄鉱上にへばりつい ている。結晶といってもエッジがルーズで、まるで米粒のような形をしている。 孔雀石、藍銅鉱をともなう。
(2005年10月9日 三川鉱山)
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白鉛鉱 (はくえんこう)

PbCO3

鉛の二次鉱物としてはポピュラーなものらしいが、きれいな結晶ではめったにお 目にかからない。たいていは板状結晶の集合体で白色不透明―半透明でギラギラ とした光沢がある。この標本はほぼ白鉛鉱の塊だが、それらしくみえる部分は右 上と正面やや左部分くらい。ブロシャン銅鉱の上にべったりと皮膜状で張り付い ていたりもする。写真の左右は1.5センチくらい。
(2005年10月10日 三川鉱山)
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紫水晶 (むらさきすいしょう)

SiO2

三川鉱山に水晶はたくさんある。紫色のものもまれに出る。ズリをよく探すと紫 色の石英片がよく落ちている。近くに「綱木」という集落があり、「綱木の紫水 晶」は有名だったらしい。しかし、それがどこで採れたのか、いま正確な位置は わからない幻の産地だ。写真は左右約2.5センチ。
(2005年10月10日 三川鉱山)
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方鉛鉱 (ほうえんこう)

PbS

鉛の鉱石らしく、ずっしりと重い。へき開面のような階段状の部分は自形結晶。 白くなっている周辺部分は硫酸鉛鉱。黄銅鉱、閃亜鉛鉱、孔雀石、青鉛鉱、藍銅 鉱、水晶をともなう。左右約3センチ。
(2005年10月9日 三川鉱山)
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黄銅鉱 (おうどうこう)

CuFeS2

銅の主要鉱石。それゆえ、黄鉄鉱と違って普通はズリにあまり残っていない。黄 鉄鉱との違いは、「より黄色っぽい」といわれるが、秩父鉱山ではさびた黄鉄鉱 の色に散々だまされた。色意外に▽虹色のさび▽孔雀石など二次鉱物の存在―が 決め手になる。この標本は裏にべったりと孔雀石があり虹色の光沢もよく分かり、 安心して黄銅鉱といえる。左右約3センチ。
(2005年10月9日 三川鉱山)
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硫酸鉛鉱 (りゅうさんえんこう)

PbSO4

鉛の二次鉱物で、図鑑などには透き通ったきれいな結晶の写真が載っている。だ けど、ここで採れるものは白い粉をふいた見栄えのしない重い塊。同じ鉱物かと 目を疑う。知らなきゃ捨ててる。たいていは方鉛鉱の隅が白っぽくなっているよ うなものが多く、10センチ×3.5センチあるこれだけの塊はもう、あまりない。 ズリをはいずり回ってやっと見つけた貴重な標本。
(2005年10月10日 三川鉱山)
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菱鉄鉱 (りょうてっこう)

FeCO3

よくあるのは茶色くさびたひし形の結晶。薄い褐色で透明感のあるものもある。これは針状結晶が球形に集合したものらしい。へき開面が方解石に似ていたので炭酸塩鉱物だろうと見当をつけた。しかし、塩酸をかけてもまったく解けない。何これ?? 調べたら、すりつぶさなければ解けないらしい。紛らわしい。左右約2センチ。
(2005年10月9日 三川鉱山)
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ブロシャン銅鉱 (ぶろしゃんどうこう)

Cu4(SO4)(OH)6

これも緑色をした銅の二次鉱物だけれど、独特の深緑色とキラキラしたガラスの ような光沢が特徴。結晶は太目の針が放射状になったものや短柱状のものなどが ある。この産地では菱鉄鉱や褐鉄鉱の上に出ているものが多い。すれていない結 晶は緑色の花が咲いているようだ。左右約1センチ。
(2005年月日 三川鉱山)
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青針銅鉱 (せいしんどうこう)

Cu4Al2(SO4,CO3)(OH)12・2H2O

藍銅鉱だと思って採集した。でも、微妙に違うんだな。ルーペでは極細の針状結晶が放射状に集まっている様子が見える。断面はやや光沢がある。似たような鉱物に炭酸青針銅鉱というのがある。炭酸基が青針銅鉱より多いらしいが、見た目では区別がつかない。炭酸青針銅鉱は塩酸に発泡して解ける。しかし、混ざっているのもあり同定するのは難しそうだ。一つしかない標本に塩酸をかけるのも気が引ける。自分としては、どちらでもOKなので、とりあえず名前の短い方にしておく。左右約1センチ。
(2005年10月9日 三川鉱山)
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青鉛鉱 (せいえんこう)

PbCu(SO4)(OH)2

鉛の青い二次鉱物。藍銅鉱より色が薄く、見分けがつく...とよくいわれるが、 そう簡単ではない。青鉛鉱は結晶している場合が多い。カッターの刃のように先 が斜めに切れた板状結晶が放射状になっている。塩酸をたらしても泡は出ず、白 くにごっていく。ここが、藍銅鉱とは違う。とはいっても、結晶は長い方で0.5 ミリほど。確かめるのは大変だ。しかし、これをやって初めて、「色の違い」が 分かるのじゃ。
(2005年10月9日 三川鉱山)
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藍銅鉱 (らんどうこう)

Cu3(CO3)2(OH)2

藍色が美しく、二次鉱物の認識を改めさせられた鉱物。これは本鉱だけの塊で、 大きさは5ミリ×9ミリ。結晶は透明感があり、柱状あるいは放射状のものもある が、たいていが小さいので形はよく分からない。加水分解して孔雀石になるため、 緑と青のまだら石が結構転がっている。実際は結晶したものより、そういった皮 膜状のものの方が多い。炭酸塩鉱物だから塩酸に発泡して解ける。
(2005年10月10日 三川鉱山)
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孔雀石 (くじゃくいし)

Cu2(CO3)3(OH)2

こちらは皮膜状の孔雀石。最も厚い部分で1ミリ以上ある。石英と黄銅鉱の上に 生じている。左下の青い部分は藍銅鉱。一部が孔雀石に変化している。
(2005年10月10日 三川鉱山)
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孔雀石 (くじゃくいし)

Cu2(CO3)3(OH)2

銅の二次鉱物の代表。皮膜状のものやすれた結晶が多いけれど、晶洞内には綿毛が球形になった、マリモのような結晶も残っている。観察して飽きない珍しさと美しさがある。ブロシャン銅鉱と似ているが、▽色の濃さと光沢▽結晶の形▽塩酸で発泡しながら解ける―点で見分けがつく。
(2005年10月9日 三川鉱山)
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重晶石 (じゅうしょうせき)

BaSO4

バリウムの鉱石。胃のレントゲン撮影で飲まされる「硫酸バリウム」とは成分は 全く同じ。角のとれた長方形で透明な薄い板状の結晶。一番大きい結晶の幅が2 センチ。硫化鉱物を含み、さびが出たがさがさした石英の塊を割ったら出てきた。
(2005年10月9日 三川鉱山)
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含銅アロフェン (がんどうあろふぇん)

Al2Si2O7・nH2O

非晶質の二次鉱物。青―緑と含まれる銅の量によって色は微妙に変わる。厚みが あり、樹脂のような感じ。けっこうたくさんあった。透明感があり、本鉱山で最 も美しい鉱物ともいわれるが、ぼくは藍銅鉱の方がきれいだと思う。
(2005年9月25日 船岡鉱山)
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朱色碧玉 (しゅいろへきぎょく)

SiO2

赤い碧玉。硫化が混じっているものは特に、鮮やかな色をしている。右下の白色 部分は重晶石で、銀ぱくは黄鉄鉱、金ぱくは黄銅鉱だろう。赤地に金銀がちりば められた様子はラピスラズリみたいじゃ。「わぁい。じゃすぱぁ。うれしいな」
(2005年9月25日 船岡鉱山)
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毛鉱 (もうこう)

Pb4FeSb6S14

菱マンガン鉱のかけらを持ち帰ったら、片隅にちょろっと本鉱が乗っていた。そ れで「お披露目」標本に昇格した。「毛」というよりは細い針が不規則に林立し ている感じ。一本一本がキラキラ光り、たしかに金属鉱物らしい。薄暗い大黒沢 の中では出るという確信がないと、現場では見つけられないだろうなあ。一応、 毛鉱としたが、成分分析をしてないのでブーランジェ鉱かもしれない。
(2005年9月14日 秩父鉱山)
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方鉛鉱 (ほうえんこう)

PbS

鉛の鉱石。結晶は正十二面体のようだが、表面が鈍い灰色でさっぱり見栄えがし ない。だけど、ピカピカと黒光りする割れ口、ズッシリとした重さが、いかにも 金属鉱物っぽくて大変よろしい。
(2005年9月21日 秩父鉱山)
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硫砒鉄鉱 (りゅうひてっこう)

FeAsS

ひし形がつぶれたような結晶が重なり合っている。これだけしっかりと結晶が残っ ていれば誰にでも分かる。秩父鉱山は、こんなのがゴロゴロしているすごい産地。 砒素の鉱石で焼くと猛毒の「亜砒酸」ができる。でも、鉱物の状態は安定してい るから、なめても大丈夫。
(2005年9月14日 秩父鉱山)
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閃亜鉛鉱 (せんあえんこう)

ZnS

こちらは鉄閃亜鉛鉱の結晶。三角形の組み合わさった独特の形をしている。一部 溶けかかっているけれど、結晶の成長線もはっきりしている。軟らかい鉱物なの だが、よく残っていたものだと思う。右側の白っぽい部分は硫砒鉄鉱の結晶。
(2005年8月17日 秩父鉱山)
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閃亜鉛鉱 (せんあえんこう=べっこう亜鉛)

ZnS

あめ色透明な亜鉛の鉱石。鉄分の量が少なくないと同じ鉱物でもこんな色にな るっていう例。色が違っても独特の光沢は同じだからすぐに分かる。透き通って いて金属鉱物らしくないところが気に入っている。母岩は菱マンガン鉱で、その 上に3-5ミリくらいの厚さでへばりついている。黒い部分は方鉛鉱。ところで、 本物の「べっこう」はめったに見なくなったよな。
(2005年8月17日 秩父鉱山)
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煙水晶 (けむりすいしょう)

SiO2

中津川市苗木地方の特産といえばまず煙水晶だ。鎮野峠の産地が分からず途中の ズリで探した。はじめは普通の水晶ばかりだったが、場所を変えたら煙水晶が多 くなった。無色透明じゃなくちゃ水晶らしくないと思っていたが、実物を手にし てみると「渋くて美しい」となっちゃう。ま、そんなもんでしょう。
(2005年8月4日 鎮野峠)
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輝水鉛鉱 (きすいえんこう)

MoS2

モリブデンの鉱石。表面は滑らかで、ちょっと触るだけで簡単に曲がるほど軟ら かい。ぺらぺらの銀紙みたいでとても「石」とは思えない。モリブデンといえば 真っ黒な潤滑剤・二硫化モリブデンを思い出す。実はこれ、輝水鉛鉱そのものだっ たんだな。「水鉛」とはモリブデンの和名だが、いまは鉱物名でしか使われてい ない。蒼鉛(ビスマス)に亜鉛、昔は重い金属はなんでも鉛のお仲間だったのね。
(2005年8月3日 恵比寿鉱山鉱山)
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磁鉄鉱 (じてっこう)

Fe2+Fe3+2O4

神流川の転石に磁鉄鉱はいくらでもある。黒光りしてズッシリ重いので、いかに も鉄の鉱石という感じだ。しかし、このようにひし形の結晶がはっきり残ってい るのはまれ。
(2005年7月16日 秩父鉱山)
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灰鉄ざくろ石 (かいてつざくろいし)

Ca3Fe(SiO4)3

やや透明感のある濃い緑色をしている。最も大きい結晶で約1センチ。神流川の 河原でさびで薄汚れた大理石の表面に付いていた。川流れにしては、わりとシャー プな結晶面が出ている。同程度の結晶が5、6個は埋もれている。探せばお宝が出 るもんだ。
(2005年7月10日 秩父鉱山)
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パイロクスマンガン石

Mn7Si7O21

ばら輝石とどこが違うのかと言われれば、「組成の違い」としか答えられない。 パイロクスマンガン石といえば、だれもが田口鉱山のきれいな結晶を思い浮かべ る。これはどう見たってばら輝石だ。そうはいっても、京都・丹波地方のマンガ ン鉱山に産出する「ばら輝石」はほとんどが本鉱なんだそうだ。あまりうれしく ないパイマンだ。
(2005年5月14日 保津鉱山)
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二酸化マンガン鉱 (にさんかまんがんこう)

MnO2

真っ黒なマンガンのかたまりには、軟マンガン鉱、クリプトメレン、轟(とどろ き)石などいろんな種類がある。硬さや形状などよく調べれば少しは区別がつく らしい。でも、そこまでして同定する気力が出ない鉱物だから、すべてひっくる めて「二酸化マンガン鉱」としておく。武村先生もそういってたもん。
(2005年5月14日 保津鉱山)
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水晶

SiO2

たいていは1センチ以下のものばかりだが、最大の結晶は長さが3センチほど。コ ケむした花崗岩の表面に付いていた。真っ黒なマンガンばかりながめていたので、 水晶がとりわけきれいに見えてしまった。
(2005年5月14日 保津鉱山)
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硫砒鉄鉱 (りゅうひてっこう)

FeAsS

砒素の鉱石。熱すると猛毒の砒素が出る。でも、本鉱は安定しているので毒性は ない。新鮮な表面は白銀色をしている。酸化してだんだん黒くなる。ほとんどが 石英の中に脈状に入っているが、希にひし形の結晶面がある。
(2005年5月3日 錫高野)
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銅藍(どうらん=コベリン)

CuS

メタリックブルーが美しい。でもパッと見は黒いかたまりで知らずに捨てていた かもしれない。銅の硫化鉱物で黄銅鉱が変化してできる。ペラペラした感じだが、 意外に堅い。黄銅鉱や孔雀石が付いている場合が多いので、注意していれば見付 けられる。
(2005年5月3日 錫高野)
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緑マンガン鉱

Mn2+O

けっこう低品位な鉱石から出た。カリオピライトの一部がバラ輝石になり、さら に菱マンガン鉱が入り込んだ部分の真ん中1センチくらいに本鉱があった。ここ は奥武蔵のマンガン山にしては珍しく珪石もたくさんあった。
(2005年4月21日 名栗のマンガン鉱山)
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バラ輝石

(Mn,Ca)5Si5O15

ズリを掘ると濃い、ピンク色の石が出る。テフロ石をともなうものはもう少し色 が薄く桜色。ブラウン鉱やネオトス石に包まれていて、こそげ落とすのが難儀だっ た。
(2005年4月14日 大宮鉱山)
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緑閃石

Ca2(Mg,Fe)5(Si8O22)(OH)2

ちょっと昔に採集した標本を撮り直してみた。これを見つけたときはてっきりカ ビだと思った。水晶の中に毛が入ると「草入り水晶」というわけだが、これは水 晶の外に毛が生えている。同じ産状のものを湯沼鉱泉の社長に見せてもらったこ とがあるが、緑閃石だけならこちらの方が立派だ。
(2003年5月4日 秩父鉱山)
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閃亜鉛鉱 (せんあえんこう)

ZnS

大理石のかたまりを割ったら、小さな晶洞に結晶面があった。適当にたたいたの で結晶にひびが入ってしまった。慌ててハンマーを振るうとろくなことはない。 河原の石ころからまだこんなものが採れる秩父鉱山は大したものだ。
(2005年2月13日 秩父鉱山)
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ハウスマン鉱

Mn2+Mn3+2O4

ズリよりちょっと下流で物色したら、結構重い石が採れた。比重は4だった。大 蔵鉱山でもこんなまっとうな鉱石が採れたのかと驚いた。
(2005年2月12日 大蔵鉱山)
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菱マンガン鉱 (りょうまんがんこう)

MnCO3

写っているのはほとんどが菱マン鉱。色はピンク以外に白と薄いオレンジの部分 もある。しかし、結晶しているのはピンクの部分だけ。透明で、へき開面がキラ キラと光っている。母岩のチャートに脈状に入っている。
(2005年1月24日 大宮鉱山)
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マンガン鉱石

一番上からヤコブス鉱、バラ輝石、菱マンガン鉱、カリオピライト、テフロ石、 ヤコブス鉱、バラ輝石、菱マンガン鉱。全体に茶色っぽく、浜横川の石のような 華やかさはないが、マンガン鉱物の特徴がよく分かる標本だ。
(2005年1月24日 大宮鉱山)
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蛍石

CaF2

ここでは石英のなかにはよく蛍石が入っている。緑色の石はきれいだが、取り出 すとときにへき開面に沿ってスッパリと割れてしまう場合が多い。この標本は運 良く自形が残った。無色や黄色のものもあって石英との見分けが難しいが、紫外線で照らせばいずれも蛍光するので きっちり判別できる。
(2005年1月6日 錫高野)
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ブラウン鉱

Mn2+Mn3+6(SiO4)O8

まっ黒で重い、見るからにマンガンらしい鉱物。非常に細かい結晶がキラキラと 光っている。弱い磁性があるので見分けるのは難しくない。菱マンガン鉱ととも に石英の脈が入っている。高品位鉱なのに石英と共存する珍しい鉱石。
(2005年1月5日 岩井沢鉱山)
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トパーズ

Al2SiO4(F,OH)2

粘土の中に隠れていたからしばらく分かなかった。上から見ると四角。頭は三角 に切れたトパーズらしい結晶だ。水晶の中にあって一段と輝きが強く、透明度も 高い。縦方向の条線もある。結晶の幅は約4ミリで、判別できないほど微妙なも のでもなかったにもかかわらず、1週間も気付かなかったとは不覚。
(2004年12月31日 錫高野)
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蛍石 (ほたるいし)

CaF2

水晶を探していたら、見慣れぬ無色透明の結晶が現れた。立方体のその鉱物は岩 塩みたい。で、よく考えたら蛍石だった。これほどちゃんとした自形結晶が採れ るとは思っていなかった。結晶の表面はすりガラスのようで、条線ははっきりし ない。ぬらすと水晶より透明感がでる。紫外線で青白く蛍光する。
(2004年12月31日 錫高野)
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鉄重石 (てつじゅうせき)

(Fe2+,Mn)WO4

石英の中に光沢のある黒いへき開片で入っている。鉄とマンガンのタングステン 塩鉱物で鉄マンガン重石ともいうらしい。重石というだけあって、少し入ってい るだけですごく重い。
(2004年12月6日 錫高野)
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水晶

SiO2

沢で石英を掘り出していたら粘土の中から出てきた。頭の部分しかないが、太さ が4センチくらいある。破片か小さな結晶しかないなかでは大物の部類。「どう せかけらだろう」と思って洗ったら、ちゃんと水晶の形をしていてびっくりした。 今でもこんなものが採れるのか。
(2004年12月6日 錫高野)
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錫石 (すずいし)

SnO2

砂岩の上にきらめくものがあったので拾い上げてみたら錫石だった。ほんの2ミ リほどの大きさだが、日にかざすとまぶしく輝くのでずっと大きく見える。スズ の原料となる鉱石で大昔から利用されていたらしい。
(2004年12月6日 錫高野)
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カリオピライト

Mn2+3Si2O5(OH)4

濃い茶色で透明感のある石。割っても割ってもチャートばかりの大蔵鉱山で唯一 鉱石らしいものがこれ。蛇紋岩もへばりついている。
(2004年12月4日 大蔵鉱山)
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ハウスマン鉱

Mn2+Mn3+2O4

小豆色の非常に緻密なかたまり。ちょっと見ただけではチャートのようだが、比 重は4.1もあり非常に重いので間違えようがない。とても堅牢で1.5キロのハンマー で20回ほどたたいてやっと小割りにできた。バラ輝石、菱マンガン鉱、カリオピ ライトと共生する。
(2004年11月23日 奥多摩鉱山)
200x148(32198bytes)

ネオトス石

MnO・SiO2・nH2O

アメ色のキラキラ光る断面が割った瞬間に現れるのですぐにそれと分かる。母岩 のチャートを包むように入っている。下見のときはかけらもなかったので、こん な立派な標本が取れるとは思わなかった。とても得をしたような気がした。
(2004年11月23日 奥多摩鉱山)
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緑簾石 (りょくれんせき)

Ca2Fe3+Al2(Si2O7)(SiO2)O(OH)

日原川の河原に転がっていた。空洞部分には方解石が詰まっていたので塩酸で溶 かした。一番長い結晶で1センチくらい。緑簾石にしては真っ直ぐな見事な結晶 だが、触るとボロボロと崩れてしまう。方解石に守られていたので自立心が育た なかったのだろう。
(2004年11月23日 東京都奥多摩町)
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緑マンガン鉱 (りょくまんがんこう)

Mn2+O

くすんだ色の石が多いマンガン鉱物の中で鮮やかな緑色が目を引く。空気に触れ るとすぐに黒変してしまうというので、急いで写真に撮り、新聞紙にくるんだ。 何度も開いてまだ緑色であることを確認しながら家路に着いた。2日たってもま だ緑だからしばらくは大丈夫そうだ。新聞紙を開いて見ただけでも色があせてし まいそうな気がして、じっくり観察する勇気が出ない。
(2004年10月27日 浜横川鉱山)
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マンガン鉱物の集合体

まるで何色もの絵の具を塗りたくったように派手な石だ。ひとつひとつはさえな くても、ひとつの石にバラ輝石、テフロ石、アレガニー石、ヤコブス鉱など、さ まざまなマンガン鉱物が入り込んでいると意外と見栄えがする。
(2004年10月27日 浜横川鉱山)
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アレガニー石

Mn5(SiO4)2(OH)2

濃くくすんだ赤色の部分がアレガニー石。よく「肉色」などと表現されるが、分 かったようで分かりにくい表現だと思う。実際には茶色っぽかったり、ピンクに 近かったりさまざまなものがある。堀先生の図鑑には「帯紫褐色の微粒状塊状で 透明感があり、かなり硬い」とあるが、そんないいものではない。バラ輝石のよ うに鮮やかではなく、くすんだ赤色の拾っても全然うれしくない鉱物というのが ぴったりくる。
(2004年10月27日 浜横川鉱山)
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テフロ石

Mn2SiO4

灰緑色の部分がテフロ石。たいていは灰色っぽいものの方が多い。宝石にもなる 美しい苦土かんらん石の仲間らしいが、マグネシウムの代わりにマンガンが入る とこんな地味な緑になってしまうのか。もののあわれを感じる。
(2004年10月27日 浜横川鉱山)
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菱マンガン鉱

MnCO3

薄いピンクの部分が菱マン鉱で、色の濃いところはバラ輝石。浜横川鉱山の菱マ ンは白、橙、黄など色々に化ける。マンガン鉱石の中では硬度4と柔らかいので ハンマーの先でギギッとやってみればだいたい分かる。それでも小さい破片だっ たり、境目が不明瞭だったりするのでやっぱりそれだけでは決定打に欠ける。こ の標本は白っぽい部分をすりつぶして、塩酸に解けることを確かめて同定した。
(2004年10月27日 浜横川鉱山)
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ヤコブス鉱

Mn2+Fe3+2O4

磁石に引っ付くので見つけやすい。浜横川では結構たくさんある。シマ状に入る ことが多いといわれるが、これはかたまり状。中央の黄色い菱マンガン鉱部分を はさんで上下が本鉱だ。暗〜い肉色をしている。
(2004年10月3日 浜横川鉱山)
200x192(31900bytes)

バラ輝石

(Mn,Ca)5Si5O15

マンガン鉱物の花。これが出なけりゃ、マンガン鉱山なんか行かない。黒い石の 中からピンクの断面が出たときは、そりゃうれしい。ハンマーを駆使するそのス タイルからいっても鉱物採集してるって感じがして達成感の高い鉱物だと思う。
(2004年10月3日 浜横川鉱山)
200x158(27199bytes)

灰鉄輝石 (かいてつきせき)

CaFeSi2O6

自分でも結構しつこく拾っていると思う。でも、今回のがこれまでと違うのは、 ズリや転石から拾ったものではないこと。いまや夢物語となったあこがれの露頭 から直接採集できたのだよ。ああ、これが鉱物採集のロマンだなって感じた。
(2004年9月28日 梓鉱山)
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ベスブ石

Ca19(Fe,Mn)(Al,Mg,Fe)8Al4(F,OH)2(OH,F,O)8(SiO4)10(Si2O7)4

日が差すと地面がキラキラと輝くくらいいっぱい落ちているが、頭付きを探すの は結構難しい。この標本は露頭の直下で拾った。誰かが捨てていったのかもしれ ない。
(2004年9月28日 梓鉱山)
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方解石 (ほうかいせき)

CaCO3

珍しい鉱物ではないが、ここでは透明度の高くて大きなかけらが拾えるのがうれ しい。この石は長波長の紫外線でこんな感じに赤く蛍光する。
(2004年8月9日 甲武信鉱山)
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束沸石 (たばふっせき)

(Ca,Na,K)9Al9Si27O7228H2O

沸石は種類が多く同定が難しい。将棋のコマのような形をした結晶と塩酸に解け ないことから束沸石としたが、間違っているかもしれない。玄武岩に脈になって 入っているので結晶の大きさは知れているけれど、やっぱりちゃんとした結晶が 見れる鉱物はうれしい。
(2004年7月25日 山梨県大月市)
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灰長石 (かいちょうせき)

CaAl2Si2O8

山梨県の自然記念物にもなっている大島の灰長石。記念物になっている露頭はコ ケむしていて何がなんだかさっぱりわからない。別の沢には転石にそれとはっき りわかるものがある。ちゃんとした結晶は望めないものの、探せば透き通ったへ き開片位は拾える。長石といえばただの造岩鉱物だが、灰長石には「サンストー ン」と呼ばれる宝石もある。透明な結晶は宝石っぽいといえないこともない。
(2004年7月18日 山梨県大月市)
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結晶質石灰岩(大理石=だいりせき)

Ca(CO3)

サンプルにもなかったし、採集会でこれを拾ってきた人はたぶんいないだろう。 だけど、好きなんだもん大理石。この鉱山のものは特に結晶が細かく透明度も 高いから石材としては上質だ。沢の中で真っ白に輝くこの石を見れば、誰だっ て拾いたくなるんじゃないかなあ。でもやっぱり誰も見向きもしなかった。
(2004年5月16日 福島県いわき市新八茎鉱山)
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緑簾石 (りょくれんせき)

Ca2Fe3+Al2(Si2O7)(SiO2)O(OH)

石英閃緑岩を割ったら晶洞が出てきた。現地ではよく確認もせずに水晶だと思っ ていた。ルーペでよく見ると条線の向きが違った。少し黄色っぽいけれど緑簾石 だろう。放射状に出ているので、比較的結晶の形が分かりやすい標本だ。
(2004年5月16日 福島県いわき市新八茎鉱山)
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磁硫鉄鉱 (じりゅうてっこう)

Fe1-xS

新鮮な断面は金色に光るが、普通は表面が赤茶色にさびている。磁石にくっつく。 ここではかたまりしか採れないので、黄鉄鉱との区別がつきにくい。でも、なん となく色が違うので、ひと目でそれと分かった。黄鉄鉱って類似品が多いんだ。
(2004年5月16日 福島県いわき市新八茎鉱山)
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バビントン石

Ca2(Fe2+,Mn)Fe3+Si5O14(OH)

採集会の目玉鉱物、黒いガラス光沢とへき開面が特徴。灰鉄輝石を割って探すの だが、磁鉄鉱がそっくりで紛らわしい。散々だまされた。磁石さえあれば簡単に 区別がつくのだが、持っていかなかったので判別に苦労した。だけど結局、たく さん採集した人からもらった。
(2004年5月16日 福島県いわき市新八茎鉱山)
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黄銅鉱 (おうどうこう)

CuFeS2

色が似ているので黄鉄鉱と区別しにくい。よーく見ると微妙に赤い。割ってすぐ のときは銅の色をしていたが、だんだん赤くさびていった。結晶することはまれ らしいので、こうなってしまうと黄鉄鉱との区別はほとんどつかない。慣れれば 見分けがつくようになるものなのだろうか。
(2004年5月6日 埼玉県大滝村秩父鉱山)
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方鉛鉱 (ほうえんこう)

PbS

正十二面体の黒っぽい結晶。この形の結晶はほとんど表面が著しく汚い。ところ が、正六面体に近い結晶や特徴のあるへき開面は、なぜか白銀色にまぶしく輝い ている。同じ鉱物とは思えない。
(2004年5月6日 埼玉県大滝村秩父鉱山)
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石綿 (いしわた=クリソタイル)

(Mg,Fe)3Si2O5(OH)4

知らずに歯ブラシでゴシゴシこすったあと、ブラシに付いた綿くずのような物を 見つけてあわてた。繊維状の鉱物は珍しい物ではない。それでも、河原で手軽に 拾えるものとなると貴重な存在だ。発ガン性があると嫌われ者になったけれど、 大量に吸入しない限り大丈夫だ。仲良く付き合いたい。蛇紋石と同じ成分といわ れても、ちょっと信じられない。
(2004年4月28日 埼玉県皆野町金崎)
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菱沸石 (りょうふっせき)

(Ca,Na2,K2)Al4Si8O24・12H2O

無色透明な結晶といえば水晶だろう。しかし、無色透明な結晶でもこれは明らか に水晶とは違う。形状からたぶん菱沸石だろうとめぼしをつけたが、確信がない。 沸石の見分け方のひとつに「なめると舌に吸い付く」というのがあるそうだ。試 してみても、いまいちよく分からん。他にも塩酸でゼラチン状になるとか、火で あぶると水分が沸騰するとかの鑑定方法があるらしいが、貴重な標本でそんな実 験はできない。だから、いまだに自信はない。
(2004年4月12日 埼玉県吉見町)
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瑪瑙 (めのう)

SiO2

しま模様がはっきり出ていてメノウらしい標本。切ったらもっときれいだろうけ れど、二度とやりたくない。なぜか宮崎海岸ではよくお目にかかる。
(2003年11月10日 富山県朝日町宮崎海岸)
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緑閃石 (りょくせんせき=軟玉)

Ca2(Mg,Fe)5(Si8O22)(OH)2 表面研磨

この海岸に落ちている軟玉はたいてい濃い緑色をしている。表面は磨かなくても 滑らかなのでよく見るとすぐに分かる。白っぽかったり、黄緑など色の薄いもの は光をよく通す。よく磨いて「ヒスイだよ」っていえば、たいていの人は納得し そうだ。
(2003年11月10日 富山県朝日町宮崎海岸)
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ヒスイ輝石 (ひすいきせき)

NaAlSi2O6

やっと見つけたヒスイ輝石はたった4.7g、一辺が1cmほどの小片。でも、ルーペ でよく見るとヒスイらしい特徴が分かるよい標本だ。光もよく通し、緑と少しだ け青の模様も入っていて見た目も美しい。夢中になって探す人が多いのも納得で きる石だ。
(2003年11月10日 富山県朝日町境海岸)
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灰鉄ざくろ石 (かいてつざくろいし)

Ca3Fe(SiO4)3

幅は約2cm。少しひしゃげて、角のとれた斜方12面体の結晶。大きさを選ばなけ ればいくらでもある。こんな感じのものと少し黄色っぽいのとがあるが、いずれ も透明度は低い。大き目の母岩から結晶を取り出そうとハンマーを振るうと、必 ず一番おいしいところが割れて、分離結晶がコロコロと逃げていってしまうのは、 どうしてだろうか。
(2003年9月28日 甲武信鉱山)
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緑水晶

SiO2

水晶の中に緑色のもやもやが入っていてちょっと怪しい。これがこの地の特産ら しい。熊手で泥を掘りまくる潮干狩りスタイルでの採集にはカルチャーショック を受けた。頭付きは少ないが、頑張ればそこそこの数は拾えた。母岩付きはまず 見つからない。いったいどこから流れてくるのかナゾだ。小川山のに比べたらず いぶんスマート。同じ水晶でも、ひと山離れただけでずいぶん印象が違うものだ。
(2003年9月28日 甲武信鉱山)
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氷長石 (こおりちょうせき)

KAlSi3O8

恥ずかしながら、ずうーーっと方解石だと思っていた。ひし形・短柱状の見事な 結晶は方解石のへき開片にそっくり。しゅう酸で洗っても全く解けないことに何 の疑問も持たなかった。さすがに塩酸にも反応しないのを見て、これはおかしい とやっと気が付いた。長石の仲間がこれほど見事に結晶するなんて思わなかった。 白色のものが多いが、透き通った結晶は本当に氷のようだ。
(2003年9月28日 甲武信鉱山)
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柱石 (ちゅうせき)

(Na,Ca)4[Al(Al,Si)Si2O8]3(Cl,CO3,SO4)

ここには「柱石の露頭」という場所もある。でも、ベスブ石のようにいくらでも あるわけではない。泥の中から繊維状の結晶付いた石を拾ったが、白い色が確認 できないと判別は難しそうだ。この標本も現場では白っぽかったので柱石だと思っ たが、灰鉄輝石や水晶もあり微妙だ。短波長の紫外線に赤く蛍光する。
(2003年9月28日 甲武信鉱山)
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瑪瑙 (めのう)

SiO2 切断面研磨

はじめは水晶かと思ったが、鉱物科学研究所で売っていた標本を見て初めてめの うと分かった。すっごく硬くてたった4×2cmを切断するのに1時間以上かかった。 研磨も大変だったが、ちゃんとそれらしい模様が出てきたから苦労も報われたと いうものだ。紫外線で黄色に蛍光。
(2003年8月27日 富山県朝日町の宮崎海岸)
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曹長石 (そうちょうせき)

NaAlSi3O8

光もしっかり通すし、ちょっと見はヒスイにそっくり。すっかりだまされた。石 英とは質感が違い、表面に結晶が見える。が、ヒスイ輝石の結晶とはちょっと違 う。それに比重が石英より軽く、2.62しかない。欲に目がくらむと理性的な判断 ができなくなるよい例。
(2003年8月27日 富山県朝日町の宮崎海岸)
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水晶

SiO2

西股沢本流には水晶がびっしりと付いた転石がたくさんある。いずれもかなり大 きめなので採集するためにはそれなりの技が必要だ。しかし、ごくまれに小さな 転石でも晶洞を持つものがある。この標本も30cm位の石を割って得られたもの。 大きい結晶でも長さ2cmほどだが、びっしりと結晶が詰まったさまは「お宝」っ ぽくて気に入っている。
(2003年9月14日 小川山)
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黄鉄鉱 (おうてっこう)

FeS2

黄鉄鉱など珍しくはなかったが、1センチ近い結晶がゴロゴロしていれば話は別。 川の転石にはそんな黄鉄鉱を含む方解石がいくつも落ちていたが、ハンマーで砕 くと結晶もいっしょに砕け散ってしまった。塩酸で溶かして結晶を取り出せるこ とに気が付いたのは、めぼしい結晶をほとんどだめにした後だった。
(2003年5月4日 秩父鉱山)