矯正Q&A: 基本編
何歳くらいに相談したらいいのでしょう?
一概に何歳とはいえませんが、歯並び、噛み合わせは、歯の問題とあごの骨格的問題の組み合わせで、症状が決まってきます。
骨格的問題が含まれている場合は、小さいうちに(早ければ7〜8歳くらいから)治療開始しないと、きちんと治りません。
気がついた時点でなるべく早く矯正専門医に相談しましょう。
年齢制限はありますか?
歯並びの治療は、歯と歯ぐきと歯を支える骨が健康であれば、何歳でも治療できます。
8歳〜60歳代の方まで治療を受けることができるといっても差し支えないでしょう。
期間と費用はどのくらいですか?
骨格的な問題を含んでいる子供の治療は7〜8年くらいかかる場合もありますが、ふつうは6〜8週間の通院で2.5〜3年(その後、保定期間2年)くらいが標準です。
費用はおおざっぱに言うとふつうに歯並びを治すのであれば80万くらいです。
さらに通常、交通費等も含めて全て医療費控除の対象となりますので、国から返還してもらえます。
矯正するとどんなメリットがあるのですか?
矯正先進国のアメリカ、ヨーロッパでは成人する前に40%もの人が矯正治療を受けます。
日本では今のところ4%くらいしか治療していませんが、年々着実に増えています。
矯正すると見た目がきれいになるだけでなく、歯のお掃除がしやすくなるので、虫歯や歯周病にかかりにくくなり、機能的な噛み合せになるので咀嚼効率が向上し顎関節の障害を予防するなど、より健康的に生きることができます。
矯正Q&A: 素朴な疑問編
痛いですか?
矯正を始めた最初の日から3日間くらいはなんとも言えない、締め付けられるような痛みがありますが、すぐに慣れます。
およそ1ヶ月に一度のワイヤーの取り替え後も1・2日程度痛みますが、最初ほどではありませんし、全く痛みのない方もいます。それ以外ではブラケットが唇の内側に触れるので、最初のうちは口内炎ができる場合があります。
これも専用のホワイトワックスをブラケットに貼り付けておくことでかなり防げます。
歯を抜くことはありますか?
歯並びの悪さの原因の多くはせまいスペースに歯が入りきらなくなっていることです。
たとえて言えば3人がけの椅子に4人・5人と座っているようなものです。
そのような場合には歯を抜くことによりスペースをつくります。
もったいないと思われるかもしれませんが、歯並びをよくすることで残った歯を健康に保ち、長期的にはより多く自分の歯を残せると考えるのです。
抜歯の痛みに関しては塗り麻酔の使用や、適温に保たれた麻酔液などの工夫によりかなり軽減されています。
器具(ブラケット)の分、口元が出て見えることは?
人によっては少々出て見えます。
わずか数ミリしかないブラケットでさえ口元の印象を変えてしまうのです。
ただし、歯並びを治すと出っ張っていた歯が後退し、最終的にはブラケットも外しますので全体としてかなり印象が良くなります。
顔を横から見たライン、いわゆる「審美線」を一直線に近づけることができます。
矯正をするとやせられる、というのは本当ですか?
近年、矯正人口の増加とともにこのようなうわさ(?)がひろまっているようですが、ダイエットに効果があるという因果関係は報告されていません。
しかしながら、顔の印象に限って言えば、やせたように見える方は大勢いらっしゃいます。
理由は、歯を抜いてスペースを作るため、ほほのラインが内側に寄って、あごの骨がシャープに見えるようになるからです。
矯正Q&A: 日常生活編
歯磨きは面倒ですか?
歯をきちんと磨くことは非常に重要になります。
今まで適当だった方は矯正をきっかけに、歯磨き好きになりましょう!
理由は簡単で、矯正の器具の分、虫歯になりやすくなりますので歯のブラッシングに加えて、器具の隅々までブラッシングする必要があるからです。
でも、矯正を始めて歯磨きマニアになる方が増加しているのも事実です。
成人矯正だと外国人の前で恥ずかしくないですか?
少なくとも、矯正をしていない時の方が(歯並びが悪かったはずですから)恥ずかしいと思います。
ただし外国人(特に欧米人)は本当に当たり前に矯正をしますので「昔、矯正をしていた」、という確率が非常に高いわけですから物怖じする必要は全くありません!
本当は遺伝的にも欧米人のほうが出っ歯率が高いのです。
矯正をしているということは「美意識の高い人」、「自己管理能力のある人」ということも意味します。
器具(ブラケット等)が外れることはありますか?
ふつうの生活をしていれば外れることはまずありませんが、「物が口元に当たってブラケットが外れた」というようなことは有り得ます。
セラミック製ブラケットに色が付くと聞きましたが?
ブラケットには色は付きません。
色がつく可能性があるのはブラケットにひっかけるゴムです。
食べると色のついてしまう代表的なメニューは、「カレー」。
カレーライスだけでなく、ドライカレーやカレー風味のスープなどもアウト!
ただもともと歯の色が黄色い方はあまり目立ちません。
カレー好きの方は月に一度のゴムの交換日の前の日に食べましょう!
あと、食べにくいといえば、パセリや青海苔。
ブラケットやら、ワイヤーやらにひっかかって鏡なしではとれません。
歯ブラシの携帯は忘れずに!
矯正中に妊娠しても大丈夫ですか?
矯正治療が始まっているのであれば、そのまま治療を続けて問題はありません。
しかし、レントゲン写真を撮ることはできるだけ避けた方が安心ですので、妊娠の可能性がある場合は必ず申告してください。
結婚式の予定があるのですが、一時的に装置を外すことは出来ますか?
全てを外すことはできませんが、目立つ所は外せます。
ずばり、矯正は楽しいですか?
引け目を感じたり隠したりしていたのは過去のことです。楽しく快適な矯正ライフを送るための技術やグッズそして情報はたくさんあります。
それを活かすかどうかは皆様の気持ちにかかっています。
ブラケット装着後の1週間の生活
ブラケット装着後、個人差もありますが2日〜1週間は、はっきり言って痛いです。
今まで経験したことのない種類の痛みです。浮いたような、むずがゆいような、歯の間全てに何かが詰まっているような・・・。
口内炎対策
ブラケットは厚みがあり、最初は口を動かす度に唇の内側の粘膜が擦れて口内炎を作ることがあります。
一時的にホワイトワックスなどでブラケットの上をカバーする方法もあります。これで痛みは軽減されます。
矯正Q&A: 治療のリスクと副作用
治療のリスクと副作用はどのようなものがありますか?
●最初は矯正装置による不快感、痛み、発音障害等があります。数日間〜1、2週間で慣れることが多いです。
●歯の動き方には個人差があります。そのため、予想された治療期間が延長する可能性があります。
●装置の使用状況、顎間ゴムの使用状況、定期的な通院等、矯正治療には患者さんの協力が非常に重要であり、それらが治療結果や治療期間に影響します。
●治療中は、装置が付いているため歯が磨きにくくなります。むし歯や歯周病のリスクが高まりますので、丁寧に磨いたり、定期的なメンテナンスを受けたりすることが重要です。また、歯が動くと隠れていたむし歯が見えるようになることもあります。
●歯を動かすことにより歯根が吸収して短くなることがあります。また、歯ぐきがやせて下がることがあります。
●ごくまれに歯が骨と癒着していて歯が動かないことがあります。
●まれに歯を動かすことで神経が障害を受けて歯が壊死することがあります。
●治療途中に金属等のアレルギー症状が出ることがあります。
●治療中に「顎関節で音が鳴る、あごが痛い、口が開けにくい」などの顎関節症状が出ることがあります。
●治療中に歯肉退縮を生じることがあります。
●様々な問題により、当初予定した治療計画を変更する可能性があります。
●歯の形を修正したり、咬み合わせの微調整を行ったりする可能性があります。
●矯正装置を誤飲する可能性があります。
●装置を外す時に、エナメル質に微小な亀裂が入る可能性や、かぶせ物(補綴物)の一部が破損する可能性があります。
●装置が外れた後、保定装置を指示通りに使用しないと後戻りが生じる可能性が高くなります。
●装置が外れた後、現在の咬み合わせに合った状態のかぶせ物(補綴物)やむし歯の治療(修復物)などをやりなおす可能性があります。
●あごの成長発育によりかみ合わせや歯並びが変化する可能性があります。
●治療後に親知らずが生えて、凸凹が生じる可能性があります。加齢や歯周病等により歯を支えている骨がやせるとかみ合わせや歯並びが変化することがあります。その場合、再治療等が必要になることがあります。
●矯正歯科治療は、一度始めると元の状態に戻すことは難しくなります。
●口の清掃状態があまりに悪い場合、治療を中断、中止することもあります。