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シーフギルドと手練士について

■シーフギルドについて


 シーフギルドというのは、シーフ技能保持者が中心になって作る互助集団の総称です。といっても、トップと部下の多くがシーフというだけで、組織内にはシーフ技能を持たない人もいます。

 多くの場合、「シーフギルド=その土地の犯罪組織」であるため、組織ごとに独立していて、他との交流はほとんどありません。
 また、組織ごとにバラバラなため、組織内のしきたりや構成はそれぞれ大きく違い、規模も違います。ですが、どこでも以下にあげるような点では似通っています。

構成員の義務とギルドから受ける利益


 ○構成員の義務として、ギルドに上納金を支払う必要があります。(年会費や、収益の一割など、組織によって額は違います)
 ○構成員はギルドに忠誠を誓わなくてはいけません。上役からの命令や、ギルドの明文化された法、しきたりなどには基本的に従わなくてはいけません。
 ○ギルドは、構成員を守ります。たとえば、構成員が行った“仕事”の証拠を隠蔽したりなどです。といっても、その構成員の組織への貢献度によって受けられる庇護は変わりますが。
 ○ギルドは街の噂など、さまざまな情報を集めています。構成員は、しかるべき額の情報料を支払うことで、ギルドからそういった情報を提供してもらえます。

他地域のギルドについて


 基本的にギルド同士の間に交流や交渉はありません。ですが、いずれかのギルドに所属している構成員が、他のギルドの勢力圏内で活動をする場合もあります。
 その場合、その地域のギルドに対して自分の所属を明らかにし、しかるべき挨拶(挨拶料などを支払うことも多くあります)をすることで、「客分」として遇してもらえます。この扱いを受けるには、まず第一に自分の所属ギルドとその地域のギルドが敵対関係にないことが重要です。

○セッションでの扱い
 セッション上で他のシーフギルドを利用する場合でも、しかるべき挨拶と、大抵は「挨拶料」名目の金を支払う必要があります。
 挨拶料についての扱いはGM裁量です。シーフの追加生活費の中から支払ったとしてもかまいませんし、情報料を多少割高にしてもいいですし、別途きっちり請求してもかまいません。
 また、挨拶料及び挨拶をする場所や方法については、「シーフ知力+2d6」などでPCに教えるとよいでしょう。目標は10くらいが妥当でしょうか。
 シーフギルドを探して挨拶するのがシナリオ上の重要なキーならともかく、そうでないなら、GM側から積極的にこの手の情報は開示するようにしてください。


■手練士について


 「手先の技を練り上げし士(つわもの)」という意味です。
 基本的に、シーフ技能を保持しているが、それを『学ぶため盗賊協会を利用している』だけで、『盗賊行為を行っていない』者への表現として使われます。例えば遺跡専門のトレージャーハンターなどです。

 一般的に冒険者として生活を立てている者が自称しますが、ルール上はギルドを含めなんら変わることはありません。手品士や軽業師が名乗る、ないしは呼ばれることもあります。

 また、多くのシーフギルドは犯罪組織であるため、そのようなギルドでは、(盗賊行為を行わない)手練士に技術を教えたりはしません。そのような地域では、軽業師のサークルやサーカス団などの手練習得者が多い組織が、手練の技術を一般に教えているようです。(それが原因でギルドとトラブルを起こすこともあるでしょう)
名前:TEK 10月30日08時03分(火) 話題:1 親番:1 番号:1

トロウシーフギルド

■トロウシーフギルドとその性格


 トロウシーフギルドは、世界最大の商業都市トロウと、そのトロウ市があるトロウ本州を縄張りにするシーフギルドです。
 トロウ本州内にはトロウ市以外にもいくつもの都市があり、そこにもシーフギルドが存在しますが、それらすべてはトロウシーフギルドの傘下にあります。

 世界の商業中心地を縄張りにしているギルドだけあって、高度に組織化されており、資金力や情報力、構成員の質と数のどれをとっても、世界最大のシーフギルドと言えるでしょう。
 また、技術を学ぶ為だけのみに盗賊協会を利用する『手練士』と呼ばれる者の育成に力を注いでいることでも有名です。

トロウシーフギルドのトップ


 トロウシーフギルドの長ラインヴァンは10レベルのシーフで、何度も不可能と思われた仕事を成し遂げています。また、彼の忍び込んだ後にはなにも証拠が残らないと言われてることから、“インビジブル(透明の)”と冠されて畏敬されています。
 ただ、ラインヴァンは、その名の通り滅多に姿を現さない人物で、しかもかなりの高齢でもあることから、協会内部では影武者説や死亡説が噂されてもいます。

 現在実質的にトロウシーフギルドを運営しているのは、No.2で、ラインヴァンの息子である“鷹の目”ホークアイです(9レベルか10レベルのシーフです)。彼の情報収集能力はずば抜けており、目となるシーフ達を巧みに使ってトロウの情報を統括することからこう呼ばれるようになりました。

犯罪抑止力としてのギルド


 ラインヴァンとホークアイ体制の主眼の一つとして、『犯罪抑止力としてのギルド』というものがあります。言いかえれば、『堅気の人間の迷惑となる行為を禁ずる』というものです。

 これは、ギルドが度を越した犯罪を積極的に取り締まることで、重犯罪を減らし、一般市民や支配層からギルドを“裏社会を取りまとめる必要な存在”として認めてもらおうというアピールです。具体的には、以下に述べるような方針があります。

 ○人傷沙汰に厳しく、(特に)罪のない一般市民に対して殺しや強盗などをするのは、ご法度とされています。
 ○麻薬や毒物などを売りさばくといった、汚い仕事をギルドメンバーが行うのを禁止しています。もちろんギルドメンバー以外が行った場合でも、制裁です。
 ○もぐりのシーフが殺人や強盗などを犯した場合、ギルドは全力をあげてそれを調査し、犯人を突き止めて制裁・または官憲に引き渡しをしようとします。
  それよりも軽い罪の場合、調査の手は緩みがちになりますが、犯人を特定できる確たる証拠などがあった場合、犯人逮捕に人員を割きます。


 この方針のおかげで、ギルドは裏社会の目付役として、支配層からその存在を黙認されています。また、トロウ政府の官僚なども、非公式ですが、案件によってはシーフギルドの助力を借りることもあるようです。
 汚い仕事はしないのがモットーの組織ですが、賭博をはじめとする真っ当な商売のアガリや、情報その他のサービス料、そして表の組織での収益などが高安定なため、組織としても安定しています。

 その他にホーク・アイが業務を仕切るようになってきてからは『情報』により重きを置くようになり、表の顔として新聞の発行などを行い、トロウにおける情報の収集、操作の力を強めてきています。

トロウシーフギルドの組織


 トロウシーフギルドはいくつかの部門に分かれ、それぞれを上級幹部が統括しています。賭博、盗み、情報収集、鑑定・分析、体術、そして暗部などです。また、手練協会やトロウニュース社をはじめとして、表の組織を複数持っているのも特徴です。

○賭博部門
 ギルド傘下にあるカジノなどのギャンブル施設を取りまとめています。また、一般商売人が支払うミカジメ料もこの部門が集めていますが、ほかの地域のシーフギルドと違い、トロウのシーフギルドはミカジメ料を要求しません。裏で多少ヤバイ仕事をしている商人などは、庇護や目こぼしを求める意味合いで支払ったりするようですが。

○盗み部門
 スリや空き巣などの、盗みを行うギルドメンバーが所属しています。ラインヴァン・ホークアイ体制のポリシーとして、武器をちらつかせたり人傷沙汰となる強盗はご法度です。

○情報収集部門
 ホークアイが直接統括しています。物乞いや娼婦、情報屋、労働者、商人、他組織のメンバーなど、社会の各層にメンバーを配置して、広い情報収集ネットワークを形成しています。また、情報サービスの窓口(いつも情報料を支払って情報を聞き出すあそこです)を開いています。

○鑑定・分析部門
 故買屋などから上がってきた商品や、盗んだ品、持ち込まれた品などを鑑定する部門です。

○体術部門
 シーフとしての体術や技術を教える部門です。ここの部門のメンバーは、ギルドがなんらかの“任務”をする際の実働部隊としての意味合いもあります。

○暗部
 暗殺や制裁も含む特別任務を行う部門です。一般社会から見れば裏の組織であるシーフギルドの中でも、さらに裏の仕事を行う部門と言えるでしょう。
  この部門のメンバーは、扱う業務が業務だけに、厳選されており、また、誰がこの部門に所属しているということは、普通のギルドメンバーたちにも明かされません。

手練士協会


 手練士協会というのは、トロウシーフギルドが、トレジャーハンターなど、『技術だけを覚えたい』人に、シーフ技術を教えるための組織です。そのため、表と裏の中間に位置する組織として、一般社会に受け入れられています(あまりいい目で見ない人も多いでしょうが)。

 ギルド本体にも「体術部門」はありますが、あれは“シーフ”のためのものであるところが違います。
 なぜ分けているかといえば、手練を覚えるだけの人は、技術のためにギルドを使っただけで、ギルドそのものの仕事はしない。つまり、ギルドへの忠誠心は期待できないためです。
 ですが、トロウシーフギルドの組織の一つであるため、この手練士協会の教官たちは、大半はギルドに所属するシーフです。

 また、荒くれた若者、つまり通常では更生できないし、引き取り手もない。そういうのを引き取って養育ってわけでもないですが、社会の裏街道って場所で導くのも、ここの仕事です。(そのうちの何割かは本物の“シーフ”になります)

トロウニュース社


 シーフギルドをトロウ社会の情報サービスエージェントとして位置付ようとする、ホークアイ構想の一環として作られた会社です。ここでは、シーフギルドの強力な情報収集力をバックボーンに、『トロウニュース』という新聞を発行しています。
 ここの社員や記者はギルドメンバーではない人も多くいます。

PC(冒険者シーフ)とギルドのかかわり


 シーフ技能を持つPCは、まず、自身が“手練士”なのか“シーフ”なのかを考えるのをお勧めします。

手練士PC


 “手練士”は、手練士協会で技術だけを習得した人で、ギルドへの義務や忠誠心を持つ必要はありません(ギルド側も、期待しません)。トレジャーハンターや軽業師などに向いていると言えるでしょう。

 ただし、ルールに定められた年会費およびシーフ技能レベル分の追加生活費はかかります。手練士協会の利用料とでも考えてください。
 また、ギルドへの義理や義務がない代わりに、庇護もありません。
 情報に関しては、ギルドの窓口はギルドメンバー以外の手練士なども応対してくれるので、しかるべき情報料を支払えば情報を手に入れることができます。

シーフPC


 “シーフ”PCは、シーフギルドの正式メンバーとして、ギルドが課す義務をすべて負わなくてはいけません。その代わりに、ギルドメンバーとして、必要な場合にはギルドの庇護が受けられます。
 年会費やシーフ技能レベル分の追加生活費はギルドへの上納金と考えるとよいでしょう。

○シーフPCの所属部門について
 シーフPCは、自身の性格や経歴等に合わせて、シーフギルド内の好きな部門に所属していると設定してもいいでしょう(暗部は除きます)。
 低レベルのうちからその部門の軽い仕事を時折頼まれることはあります。また、高レベル(5レベル以上)になったシーフPCは、その部門での様々な大きな仕事に関わる機会もあります。設定上のものですが。

 ただし、シーフギルドに限らずどの組織でもそうですが、どれだけレベルが高くても、現役冒険者を続けている限り、ギルド内での地位は上がりません。二足のわらじは履けないということです。
 ですので、シーフPCが冒険者稼業をする大きな理由は、技術を磨いて、いずれはギルドに戻って上にのし上がるためのものです。

 ただ、現役冒険者とはいえ高レベルのシーフを遊ばせておくほどギルドは無駄遣いをする組織ではありませんので、高レベルシーフPCは、ギルド内でそれなりの仕事をする立場にいると設定するのは自由です。
 たとえば、体術部門に属する高レベルPCは、そこや手練士協会の「講師」として働いている、などです。
 ただし、これによってアイテムや金銭などの利益を得ることはできません。


移籍者か客分か


 他のシーフギルドなどに所属していた(設定がある)PCの場合、基本的に「移籍」という扱いになります。
 これは、トロウのシーフギルド内では生粋のギルドメンバーと特に扱いは変わりませんが、元いたギルドの支配権内でシーフとしての「仕事」をするのは、厳禁とされていることがほとんどです。

 元いたギルドに所属したまま、トロウでも活動する場合、「客分」という扱いになります。
 ルールに示されている金銭絡みの支出額は変わらないですが(PL判断で増やすのはOKです)、トロウシーフギルドからの庇護は期待できない立場です。ただ、情報料を支払っての情報提供と、仕事の目こぼしはしてくれます。
名前:TEK 10月30日22時24分(火) 話題:1 親番:1 番号:2

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