第六話『再び別行動〜マッシンニー運送〜』  
         
        GM:じゃ、会社班。リーデンからの紹介状を持っていくわけだね? 
          メリッサ:じゃ、うちらはそれを握りしめていきますか。まずは、社長に会わせて貰えるようにお願いしないと、ね。 
          リース:そうですね。……話し合いではやっぱり具体的な所は伏せておいた方がいい……かな。 
          メリッサ:でも、ゴブリンのことを話さないわけには行かないと思うけど。 
          リース:う〜ん、確かにそうですけど……どの程度まで話がいっているのか……。 
          スパイク:ここで考えててもらちがあかないだろ? 
          メリッサ:そうね。リース、スパイク。いきましょう。 
          GM:んじゃ着いた(笑) こじんまりとしているけど清潔そうなオフィスで、入り口に受け付け嬢が座ってて、こちらを見てニッコリする。「いらっしゃいませ〜。配達……ではなさそうですね?」 
          メリッサ:こんにちは(ぺこり)。実は、こちらの社長にお会いしたいのですが。紹介状もあります(と言って紹介状を見せる)。 
          GM:受け付け嬢は紹介状を確認してまたニッコリ 「はい。かしこまりました。こちらの部屋で少々お待ちください」 そしてしばらくすると、一人の恰幅のいいドワーフが現れるよ。働き者のオッサン、って雰囲気。いかにも宅配業を営んでそうな、豪快かつ勤勉なイメージがある。 
          「いやいやぁ、どうもどうもっ!えっと、リーデンの旦那からの御紹介でしたな?」 
          リース:あ、ええと、はい、そうです。 
          メリッサ:大変信用のおける方だとお聞きしてきました。 
          GM:「リーデンの旦那のご依頼とあっちゃぁ、勉強させていただきますよ。それで、依頼内容は?」 
          リース:依頼内容までは知らされてない……ということは、説得、どうしましょう? 
          メリッサ:どうしよう(困) 
          スパイク:(お茶受けくらいだせよ。このドワーフ……) 
          メリッサ:(ため息)あんたは気楽でいいよねぇ。 
          スパイク:それが長所でな(笑) 
          GM:「?どうされました? さぁ、どうぞご依頼のほうを」 
          メリッサ:えーと……実はですね。私たちは非常に困ったことになっていまして……。 
          GM:「ほう? 相談ごとですかな?」 
          リース:……ええと、ルテットまで行って欲しいんですけど……。 
          GM:「なるほど、便乗のご相談ですかな? 勉強させてもらいますぞっ」 
          メリッサ:で、リーデンさんに「そういうことなら、ここを訪ねなさい」と紹介していただいたのです。これは、リーデンさんがあなたを信頼し、あなたなら必ず私たちの力になって下さると考えられてのことと思います……。 
          GM:「ほうほう? リーデンの旦那にそこまで信頼されるとは嬉しいですな。それで? ご依頼の内容は? 便乗のご相談で?」 
          リース:あ、いえ、便乗というか……30人以上で、でなんですけど……。 
          GM:「30人っ! それはまた豪気ですなぁ〜〜〜。勉強はしますが、それも程度がありますぞ?(笑)」 
          メリッサ:だらだらと引き延ばしていても時間の無駄ですので、単刀直入に言わせていただきます。実は、リースも言いましたように、私たちルテットに行きたいのです。 
           ここでいう、「わたしたち」というのがとても問題なのですが……(リースの方を見て)どうしよう……言っちゃう? 言わないわけにはいかないよね? 
          リース:う〜ん、難しいです……。実際に乗るときまでぼかしたままで通せるといいんですけど……。 
          スパイク:(お茶受け〜〜〜〜〜〜〜〜〜っ) 
          メリッサ:(見えない位置でこぶしをプルプル)でも、乗るときになってにばれたら、大騒ぎになる可能性もあるよ。 
          スパイク:(プルプル震えるこぶしに気づき、ビクッ!) 
          GM:「ふむ? どうも要領を得ませぬな? それほどまでに言いにくいことですかな?」 
          メリッサ:……ええいっ。言っちゃうよ! 
          リース:……そうですね。あとでバレるよりは、素直に言っておいたほうがいいかも知れません。 
          メリッサ:非常にいいづらいのですが……実は、「私たち」と言うのが、先ほどの話もありましたように大人数なんです。 
          GM:「ふむ。三十人を超える大所帯でしたな?」 
          メリッサ:もっと問題なのが、その構成でして……思い切って言います!人間5人とゴブリンを30人ほどなんです!!(言っちゃった) 
          GM:「(あっさりと)ほう。では、食料などの準備も必要ですな。それで、ご予算はいかほどお持ちで?」 
          メリッサ:(一生懸命続けてる)このゴブリンは好戦的なものではなく、静かに暮らしていくことを望んでいます。それをかなえるためには……って、え? それだけ??? 
          リース:あう(笑)……あっさりした反応だなあ(苦笑) 
          GM:「ん?……おおっ! はっはっはっはっ! ワシは東出身のものでしてな。そうでしたそうでした。ここでは妖魔族は禁忌の種族でしたな。忘れてましたっ!」 
          メリッサ:(ほっ)よかったです。あなたが理解のある方で。本当に、お話しするまでどきどきしちゃいましたわ。 
          GM:「で、ご予算はいかほどお持ちで?」 
          メリッサ:いくらくらいなら妥当であるとお考えになりますか? 
          GM:「……そうですな……多少割高になりますが、よろしいかな?」 
          メリッサ:出来るだけご期待に添えればと思いますが、金額を聞いてみないことには。 
          GM:「ん〜〜……ゴブリン30余名に五人の人となりますと……どうあっても、車両一台まるごとを抑えなければなりますまい? でしたら、相場の七割ほどでならなんとかするが……」 ちなみに、相場は10万〜15万くらいだから、だいたい値切りに値切って7万強ね。 
          リース:予算は5万とちょっと……しかないんです。 
          メリッサ:7万では……(がっかり)申し訳ありません。リースの言うとおりなんです……。 
          リース:あの……どうしても、これだけしか出せないんです……。お願いしますっ! 
          GM:「相場の30%OFFですから、一番最後尾の車両(一番襲われる危険性が高い)を抑えるとして……(パチパチ)やはり、7万にはなりますな……予算は、5万でしたな。ん〜〜〜……」 
          メリッサ:だめ……ですか?どうしても、この国を出ないといけない。このままでは、みんな殺されてしまう。でも、お金をかき集めてもこれが精一杯なのです。 
          GM:「ふ……む……(熟考)……あなたたち、腕は立ちますかな?」 
          メリッサ:ええ。あの、新聞にも載りました「裏料理界」の事件はご存じですか? あれは、私たちのことなんです。 
          GM:「ほほう?……おおっ! あの外道の料理会の撲滅事件ですかっ! ほおっ! それは頼もしいっ!」 
          メリッサ:(よかった……知ってて。リース、ここで、神官として信用を得て下さいませぇ) 
          リース:(え?え?し、神官として信用って言われても……) 
          スパイク:(なにやってんだ。こうやるんだよっ)どーんと任せろっ!グーレブのおっちゃんっ!この隣に座る少年は、なんとあのルナイシア司祭の御子息だっ! 
          GM:「ほうっ!!!」 グーレブさん期待満載の眼差し、アーンド、アグラム神殿高司祭血縁者とお知り合いになれちゃった笑み〜〜〜(笑) 
          リース:ああっ、ス、スパイクさん! 
          メリッサ:あっはっは……(スパイクの後頭部をグーではり倒す)そういう意味じゃないのっ! 
          スパイク:ぐぼばっ!? あ、頭が陥没した!  
          メリッサ:おほほほ……今のは聞かなかったことにしていただけません? なぜなら、お父様のお立場もありますでしょうから。 
           
          GM:「ふむ? ふむ……いや、はっはっはっはっ! では、護衛者として雇い、その報酬を不足分に当てましょう。それでよろしいな?」 
          リース:あ、はい、どうもありがとうございます(ペコッ) 
          メリッサ:ありがとうございます! リース、良かったね♪ スパイクはしょーもない(ギロッ!) 
          スパイク:……(白目むいてる) 
          GM:「では、護衛としての契約書に記入を。あと、契約する車両は最後尾……つまり、一番危険性が高いが、よろしいか?」 
          メリッサ:はい。もちろんです。 
          リース:はい。よろしくお願いします。 
          メリッサ:で、出発はいつになりますか? 食料が2日分くらいしかないのですが……。 
          GM:そんな内輪話を……(笑) 「……では、明日の最終便でどうですかな?」 
          メリッサ:そうですね。夜の方が目に付きづらいし……リース、問題はないよね? 
          リース:ええと、はい、いいと思いますよ。 
          メリッサ:おっけー。スパイクは……昏倒してるから意見はない、と(笑) では、グーレブさん、よろしくお願いします。 
          GM:では、契約書にサインしてもらえるかな? 最終確認だけど、護衛者としてつくのは五人でいいんだね? 
          メリッサ:5人……だったよねえ、リース?? 
          リース:……そうですけど……? 
          メリッサ:よし。信用のおけるリースにサインしてもらおうっと。 
          リース:え、あの、僕が書くん……ですか? 
          メリッサ:私が書くよりいいかなぁと思って。イヤ? 
          リース:あ、いえ、別にいいですけど。 
          メリッサ:じゃ。お願い。だって、一般的に神官の方が信用度が高い気がするから。お金、持ってきてる? 
          リース:……あ、そういえば誰が持っているのかはっきりしてませんでしたね。 
          スパイク:(復活)リースだろ?なんたって、お前のとっつぁんからもらったんだし。 
          GM:「おおっ(手早く中身を調べる)……はい。確かに5万ルクス、受取りましたよ。では明日の夜八時の最終便。最後尾25番車両に乗り込んでください」 
          メリッサ:忘れていたけど、移動中の食糧は確保されているの? 
          GM:先ほどの五万に、特別に食費も付けてくれてるよ。 
          メリッサ:良かったぁ。食べ物がないと戦えないもの。 
          GM:んじゃ、時間短縮に下水道に戻ったことにしていいかな? 
          メリッサ& リース&スパイク:は〜い。 
         
        GMの独り言 
           ここでは、今までの常識にメリッサとリースは苦戦しています。 
           それは、「ゴブリンは存在悪」という常識『だったもの』に対して、輸送会社社長のグーレブさんの反応が怖かったわけですね。 
           グラード大陸では、ゴブリンの存在――というより『闇種族』と呼ばれる存在は東西でまったく扱いが違います。西では奴隷としてあつかい、その人権はありません。東ではつい最近人権を与えられるようになりました。 
           トロウはまだ西の考えが色濃くのこってるわけですね。 
           この試みは私が以前から考えていたものでした。『ゴブリンは実は善人』というつもりはありません。『人間は善人』という言葉があてはまらないと同じです。ですが、闇種族の人権がちゃんと認められている世界――そんなのがあっても面白いのではないでしょうか? 
           
           まぁ、作ったばっかりなので当然のように常識があっちゃこっちゃと闊歩してますが(笑)  
         
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