リスターナ「ほんじゃま、最初は俺達が住んでいるこの大陸。グラードについてだな。」
シュティール「大きな大陸ですよね。幅7000テル(約14000キロメートル)もありますね」
リスターナ「最北の国家カルティアまでの距離も約5000テル。ま、ずんぐりと横長の大陸だわな」
シュティール「でも、大陸とはいっても、まだその全容は明らかにされてないんですね」
リスターナ「まーな。最北国家カルティアから北は、まだ未開拓・・・というより未発見の部分だ」
シュティール「未発見?」
リスターナ「うい。今だこの『グラード』って大陸がどれくらいの広さがあるのか。そしてどんな人種がすんでいるのか・・・どんな危険があるのか。全然分かってないんだな。これが」
シュティール「大きさも分かってないんですか・・・」
リスターナ「噂では70000テルとも80000テルとも言われてるけどな。カルティアから北はほんっとにまったくと言っていいほど分かってない。あそこより北に行くと、いきなり危険や不思議が増えてきちまう」
シュティール「陸路はそりゃ分かりますけど、海岸沿いに行く海路や、そもそも飛行船という空路があるじゃないですか。それでも駄目なんですか?」
リスターナ「海路を最大限に利用しているグランカルヴァーは何度か試みたらしいが全然だめだったらしいし、カルティルトはそもそも空路で北に行こうとしてないしな」
シュティール「未開発地域に冒険にでずとも、多国間との輸送で十分利益を上げられる人達ですから、当然と言えば当然ですね」
リスターナ「まぁ、個人レベルで冒険者や研究家。探検家が何度となく北を目指してはいるみたいだけどな。戻ってくる者あり、戻ってこない者ありだ」
シュティール「なら、多少は情報があるわけですね?」
リスターナ「もう、人類レベルで理解できるような状況じゃないらしいけどな。たった一日で麦が育ち、収穫されてしまうような場所とか。全長5テーセル(約10メートル)の巨人が生活している村とか。そりゃもう何でもありだ」
シュティール「凄いですね・・・」
リスターナ「ほんじゃま、未開発地域は置いといて、開発地域を説明しよっかね。まず総人口が100万を超える国家が現在9つあり、それ以下の小国が数十。百万を超える都市を保有しているのは現在トロウだけかな」
シュティール「最大の特徴といえば、東西に走る鉄道ですね」
リスターナ「そうだな。ほぼ完全に東西へと完成されている鉄の道。トロウの三大商人の一人『陸の』サラディンが作り出した巨万の富を運ぶ鉄の道だ」
シュティール「気候はどこも比較的穏やかですよね」
リスターナ「だわな。不思議とどこも特別寒かったり、暑かったりするわけじゃないな」
シュティール「不思議ですよねぇ」
リスターナ「まぁな・・・内陸と海沿い。山沿いなんかで若干の違いはそりゃあるんだけど、基本的に安定した気候だよな」
シュティール「いくつもの種族が混合となった世界です。特にエルフ、ドワーフ、人間の総人口が高く、特にエルフと人間は種族として区別されていないと定義されている国もあるくらいです」
リスターナ「その宣言をしている国家で代表的なのがアームズ国家。この国はエルフと人間の間に生まれる子供を『ハーフエルフ』と呼ばず『ダブル』と呼び出したんだよな。なんでも『エルフの半分』という意味ではなく、『エルフと人間の両方の特性を持つ(』って意味にしたかったらしい」
シュティール「本当に、様々な人種が住んでいますよねぇ」
リスターナ「そうだな。種族間の国際法で登録されている種族だけでも人間、エルフ、ドワーフ、クラケット、グリィラル、パイフールゥ、ボーンレット、ラーバード、フェンラン、ライグル、フェアリーの十一種。そして南は聖エトラムル、北はアームズ辺りから東では、ゴブリン、ホブゴブリン、コボルト、ダークエルフ、オーガーにも人権が与えられているな」
シュティール「一度東に行ってびっくりしたことがありましたよ。酒場や賭博場で当たり前のように見ましたからね」
リスターナ「油断はできないヤツ等だが、決して敵って感じじゃなかったな」
シュティール「トロウでも、人種解放運動が盛んらしいですね。最近なんていう名前かしりませんけど、解放運動が進んでいるって聞きました。過激なテロではなく、話し合いを中心としたグループだとか」
リスターナ「ああ。話し合いで着実に人種権が認められつつある。この調子で行けば『存在法』なんていうたわけた法律は、数十年後には鼻で笑われてるだろうなぁ」
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