領地名:『封印の地』デア・リゼール
領主名:カザリナ・フォン・シュトルエイン
都市名:ラテラリー
【領地概略及び歴史】
全体的になだらかな丘陵地によって構成された地形を持つ穏やかな気候風土の土地です。
多数の遺跡が存在する事から昔から大勢の冒険者が探索を行っていました。
それが大きな変革を迎えたのはさる遺跡、現在『図書館』として知られる遺跡の発掘です
そこに収められた資料を解読した結果、この地にある遺跡は全体として巨大な封印を形成する事で、巨大な害神を封じる為のものであるというのです。事実、多くの遺跡で小さな害神が『図書館』の記述に沿った通りに発見された事もあり、この地での遺跡の扱いは他とは全く異なるものとなりました。
現在では遺跡の探索はあくまで封印の保全と確認を行う為に行われており、基本的には政府からの依頼という形になります。勝手な探索は発見され次第の即時処刑となっています。
もっとも、ただでさえ遺跡の数が多い上、『図書館』によってしょっちゅう新しい遺跡の資料が見つかる為、普通に冒険者の宿にいれば依頼に困る事はないでしょう。
また魔法の品については如何なる品であっても一旦領主預かりの形になって調査が行われた結果問題なしと判定されてから冒険者に提供されるという形となっていますが、これらの調査に時間がかかる上(最低でも一月以上)、最近では高価な品を本当は問題ないのに問題ありとして安く買い叩き、差額を着服したケースが見つかり問題になっています。
こうした領地の質変更に伴い、現在この地はトロウの準直轄地としての扱いを受けています。
こうした結果、領主とは別にトロウから派遣された軍人がおり緊急時に備えているのに加え、遺跡の保護に資金が出されています。
遺跡で発掘された魔法の品の売買には領主直営の売買組織が存在し、これが農業と並ぶ領主家の重要な収入源となっています。というより、それ以外には殆ど収入源が存在しないのですが。
【都市】
『万物の資料庫』ラテラリー
デア・リゼールの中心都市であり、図書館が存在するからこそ出来たとも言える都市です。
領土内最重要拠点とされ、領主の館もここにあります。
この『図書館』と一般に言われる遺跡は極めて広大な空間に多数の書物、はては現在解析不明なおそらく資料が収められていると判断される煌く細片(現代で言うコンピュータチップ相当品)までが収められており、その内容には古代の魔法使いやドラゴン種の資料すら収められており、非常に貴重な代物です。
反面あまりに破壊的な兵器類の資料、凶悪な魔法に関する記述などを持つ資料も多い事から第一級の管理指定が行われており、一部こそ解放されているものの、大部分においては基本的に特別な許可を得た者でなければ、閲覧が許可されません。
ですので、実際にはここを利用するとなると領主家や駐留軍からの依頼を受けて、その仕事に関わる資料閲覧許可を得るという形となるでしょう。
『砦』デア・フリンガー
トロウ派遣軍デア・リゼール駐留部隊、通称駐留軍が置かれているラテラリーのお隣の都市です。
ここにはトロウから派遣された将軍に率いられた軍隊が駐留しており、緊急時には領主の命令なしに出撃します。この為、領主との仲は険悪ですが、双方ともお互いの意義は理解しているので実質的に無視しているという状態です。
『暗黒地帯』ディザイア
この都市はデア・リゼール内で最も危険な都市です。というのも、この都市では密かに近隣の遺跡へ領主の承認を得ずに潜り、アイテムの売買を行っているという話が絶えないのです。
始終領主と駐留軍合同の内偵が入っていますが、現時点では証拠が掴めておらず、未だ征伐は入っていないものの何時攻撃を受けても不思議ではない、非常に危険な場所と言えるでしょう。
『魔女の谷』ウィッチズバリー
デア・リゼール州中央南部、エンスラハウ、グリンとの州境にあたる三角地帯にそびえる奇妙な形をした台地、『アザードラム』(古語で「魔女の重石」の意)の上にこの街はあります。
テーブルマウンテンと俗称されるこの地形は、本来地盤の柔らかな部分が風雨で削られ、硬い部分のみが台形状に残ったものとされています。
ですがこのアザードラムは周囲の地層と鉱物組成を著しく異にしており、地質学者からは「まるで別の土地から山だけ持って来たようだ」と言わしめています。
見た目にも周辺と色彩が異なる台地は、大地に埋め込まれた巨大な栓のようにも見えさまざまな伝説が伝えられています。
この街は”図書館”発見の遥か以前から、近郊4州(デア・リゼール、グリン、エンスラハウ、グランゼリカ)にまたがって出土する数多くの遺跡に潜り、発掘した品を売買する商人たちの拠点として栄えていました。
“図書館”の発見以降、この州の遺跡がトロウ本国から管理を受けるようになってからは、街の商人たちは領主の許可の下で発掘品の売買を執り行う者と、州の外、世界のあらゆる遺跡を探索に向かう者とに分かれる形になりました。
『遺跡発掘品』を商いの専門分野とするこの商人たちは、『遺跡商人』『冒険商人』などと呼称され、自ら遺跡に潜ったり、冒険者を雇っては発掘品を買い取りまた売却し、生計を立てています。
世界各地の冒険者の宿や骨董市などで、この街出身の商人が変わった発掘品を商う風景が見かけられています。
遺跡を除く街の特色としては、アザードラム台地中央の泉から沸く、ミネラルを豊富に含んだ水を使い栽培するハーブ類の生産があります。
とはいえ料理の味付けや香料の原料としての、いわゆる一般的なハーブよりも古来よりウィッチドクターたちの間で珍重されてきた薬効の強い薬草、さらにはウィッチクラフト(呪術)に使用される類の怪しげな毒草の栽培などで評価を得ていることが、『魔女の谷』の名に相応しい産業であると言えるかもしれません。
【人物】
・カザリナ・フォン・シュトルエイン
デア・リゼール領主を勤めるシュトルエイン家の現当主です。
名前から分かるように女性で現在42歳です。夫である前領主の急逝により領主を継ぎました。
トロウからの影響力が強い事に不満を持っていますが、現実問題として緊急時に必要な事も理解しているので、やむをえず黙っているという状況です。
別名『鉄の女宰相』と言われる程の女傑であり、交渉では海千山千の強者です。
なお最近の心配事は娘が駐留軍の将軍と結構ないい関係である事です。
・セリーナ・フォン・シュトルエイン
現在17歳のカザリナの娘で、シュトルエイン家の唯一の直系になります。
英明な愛らしい女性で、次のシュトルエイン家を担う者として嘱望されていましたが、最近少々陰りが出ています。というのも、彼女が好きになった相手が領主家と仲が悪い駐留軍の将軍であった為です。
これが同年代であればまだしも、妻を亡くした壮年の男性である事が話をややこしくしています。
大人しい女性と見られていましたが、しかし、この事に関してだけは譲ろうとしていません。
・レミエル・ローゼンベルク
トロウ派遣軍デア・リゼール駐留部隊司令官を務めるトロウの将軍です。
現在38歳で、妻を10年程前に亡くしました。有能な将軍であった彼がこの地への派遣を望んだのは妻との思い出のある土地にいるのが辛かったからだと言われています。が、この地で彼は新たな恋と出会いました。それが領主家の次期当主と見られているセリーナ嬢との関係です。
並んで立つと美女と野獣と評される程違いがある上、年齢的にも離れている二人ですが、その関係は親密です。
部下からは愛されている人物であり、駐留軍の将兵がこっそりセリーナ嬢が抜け出すのに手を貸したりもしているようです。
トロウ本国としては駐留軍と領主家の関係修復の絶好の好機とみて、密かに応援しています。
担当者:雷帝 |