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領名 = カストラート
領主名 = ガレス・ハルトムート
都市名 = ドラフトレッド

【地理】

 ニギリギス湾の東に位置する州で、湾に流れ込むいくつもの川が長い年月をかけて深い峡谷を作っています。
すべての川が、下流はニギリギス湾に流れ、上流はメルゴルンを越え、ヴィルザラクの「怒れる山(モージマグニ)」にまで続いていると言われいます。渓谷の側面に張り付くように、いくつもの街が存在しています。

  

【歴史】

 かつて、この渓谷は鉄鉱石の産地として知られており、人々は渓谷の側面に街を作り、いくつもの坑道を掘りすすめました。天然の水路によって輸送の便もよく、一時はトロウ一の鉱山地帯として名を馳せていました。
 周囲の領に対し中立を保っており、資源の豊富さから、この領を狙う者もいました。ですが、その度に、その資源が渡る事を恐れた敵対者がカストラートを守ったといいます。

 

 しかし、その資源はほぼ枯渇し、鉱山夫たちは北のヴィルザラクへと移り住みつつあります。今ではヴィルザラクからニギリギス湾への通り道としての意味しか持たない土地となり、その通行料を主な財源とするこの領は、価値のない領と蔑まれることもあります。
 それでも、領に残った人たちは風評を気にすることもなく暮らしを続け、暢気な気風の住人が多いようです。

 

【都市:"価値なき町"ドラフトレッド】

 領地の中央付近の渓谷に存在する都市です。かつて領内一の鉱山地帯で、坑道だらけの側面に家屋が張り付いていたり、谷の間を高架のトロッコ線路が通っていたりと立体的な町並みを擁します。その様はまるで立体的な迷路であり、訪れるものを惑わせます。
 街のいたるところをトロッコ線路が通っており、トロッコに乗れば街の好きな場所に移動できると言われていますが、慣れない者が乗るとどこにつくかは保証できません。
 現在ではこれと言った産業はなく、ヴィルザラクとニギリギス湾を水路から少しそれていることもあり訪れる者も年々減り、また、ドラフトレッドから撤退する商人や組織も相次ぎ、州都の移動も検討されています。

 

[人物]

・カストラート領主 ガレス・ハルトムート(人間・男・29歳)
 領地の資源が枯渇してから領主を引き継いだ青年貴族。
寂れていく領地を目の当たりにし、危機感を抱いてはいますが、これといった対策を立てることも出来ずに日々を過ごしています。領地を立て直す案を求めて、賢者を訪れることもあるようです。

 

・『価値なき奇跡』(ドワーフ・男・年齢不詳)
 廃坑にどこかに住んでいるという名も無きカニクヴァの大司祭。
価値なき町と揶揄される、穴だらけのこのドラフトレッドが気に入ったのか、いつからか廃坑に移り住み、たまに町に顔を出します。
 彼は自分の奇跡に価値を認めず、求められるままに、対価を要求することもなく高位の奇跡を行使します。彼に助けを求め町を訪れる人もあり、皮肉なことに価値なき町の、数少ないの価値のひとつとなっています。

 

[産業]

 これと言った産業は特になく、鉱山から僅かばかりの鉱石が取れるくらいです。自給自足が出来る程度の農地と、豊かな川がありますが、産業として成り立つほどではありません。

[施設・団体など]

・宿屋兼酒場『ゴールドラッシュ亭』
 好景気だった時代から残る、数少ない宿。
 工夫が多かった時からあるため大きな宿泊施設を誇りますが、今ではその部屋が埋まることはありません。かつての栄光を忍ばせる酒場として、町の人もよく訪れます。

・盗賊協会
 今では形ばかりの組織で、人はほとんどいなく、力もありません。

・神殿
 街には、12の無人の神殿があり、今では誰も住んでいません。

・風使い
 渓谷特有の風を読み、自由に飛び回るフェンランの精霊使いの一族です。
 かつては水路の警護等の依頼を受け人々に混じって暮らしていましたが、今では仕事も少なく、自警団の真似事もしています。
 土地の風に慣れすぎた彼らは寂れつつある街を眺めながらも、残った人々と牧歌的に暮らすことを決めたようです。

・鉄の民
 ドワーフの中でも特に勤勉な一族で、鉱山に関する技術に長けています。
街を発展させるために鉱山を掘り続けましたが、今では資源の枯渇と共に減っていく仕事に耐え切れず、移住をはじめています。

・トロッコ
 街の中を縦横に走る線路の上を通る、手漕ぎの台車です。
 高架を通ったり、岩盤を抜いたトンネルを通ったりと街のあらゆる場所へ通じています。基本的に大した速度は出ませんが、整備の行き届いていない廃線路等では危険も多くあります。街の中のトロッコは、自由に使用してよいことになっており、移動手段として使われています。

・廃坑
 街のいたるところにその入り口が見られます。
 トロッコ線路の通っているものや、生活用の通路として再利用されたものも多く、すべての坑道を記した地図は無いと言われ、うかつに入ると迷うものも多いようです。
 また、色々なものが住み着いており、注意が必要です。

【都市:ポートウォーレン】

 ニギリギス湾に面する港町で、領内で唯一栄えている貿易都市です。
 河口の北と南に街がわかれ、商業街と住宅街と分けられています。海路と陸路(あるいは水路)を繋ぐ起点であり、通行料を取って街の財源としています。盗賊協会や、十二神殿等の主要施設は州都ドラフトレッドからこの街に移り住んでいます。

 

[産業]

 貿易の起点として産業が発達していますが、通行税を取られる事でも有名です。湾に面していることもあり、造船や漁業なども盛んです。

 

[施設・団体など]

・商船ギルド
 街の貿易を取り仕切る組織です。川の通行税をはじめ、海運のあらゆることを取り仕切り、航海に必要な情報もここに集まります。また、領内や、ニギリギス湾を航行できる大型の船(船員込み)の貸し出しも行っています。
 商船の護衛として、強力な私兵を抱えています。

 

【そのほかの都市】

 領内には各所に鉱山跡があり、その周りにも町や村がたくさん存在しています。しかし、どの都市の資源も枯渇しつつあり、州都ドラフトレッドと同じような状況です。


担当者:SIR


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