領名 = アークバレイ
領主名 = ブレイズ・ラム・ドットーラ
都市名 = コジィ・マウ
アークバレイの最大の特徴は、メステレン大人工島に並び評されるトロウ最大の人工建造物。巨大海橋『ラグナプレート』に集約される。
ペステ大海峡を跨ぐように両側の土地を繋ぐこの大橋は、全長38テル(約76キロメートル)幅3テル(約6キロメートル)最大高度140テーセル(約280メートル)という、橋というにはあまりに規格外のサイズであり、勿論今の文明レベルでは当然建造できる代物では無い。
いつ、どのようにして誰がこの橋を作ったか、という話は既におとぎ話のレベルに遡り、シーヴァレスタ周辺から続く古代文明の名残の1つとも、古代巨人族の建造したもの、など諸説ありながらも正確な由来は全くわからない代物である。
近年。トロウの研究家チームが橋の分析した所、橋を支える何百本という巨大石柱部分に、上に乗る石材を軽量化する強力な魔法が永久付与されている事がわかり、あれだけの重量を支えられる理由がやっと解明されたばかりである。
ペステ大海峡は、内湾のニギリキス湾とは対照的に、不確定に激しい潮流の渦巻く海域で、船の航行はかなりの大きさの船でないと海難事故に遭い易く、海峡を渡るための交通手段はほぼ100%、ラグナプレートに依存している。
しかしながら、魚介類資源が豊富なため漁師による釣り漁は盛んで、潮流を読む熟練の漁師達が漁を行っている。
ペステ大海峡を挟んで左側。シーヴァレスタに面する土地には、中央部に左閂の街『マルクト』があり、シーヴァレスタ同様に各地に遺跡などが点在し、冒険者や山師の基地都市としての働きをしている。
右側の土地には右閂の街『パイローシェ』があり、アークバレイのほぼ100%の飲料水と約80%の食料品を賄う大穀倉地帯の中心を担っている。
享楽都市『コジィ・マウ』
領主の住まう、アークバレイ最大の都市。
この都市はなんと、巨大海橋ラグナプレートの中央部を占めるように存在しており、橋の上に街がそっくり乗っかっているという唯一無二の都市である。
この都市の名物はなんと言っても、街中に存在する公営カジノである。
街全体が巨大なギャンブル場で、様々なカードゲームから拳闘士達の格闘競技。動物レースや宝くじまで、ありとあらゆる賭け事の胴元を公営で行っている。
エンターテイメントも最先端を行き、高級ホテルの演舞場などには派手なダンスショーやサーカスなどが毎日のように繰り広げられ、観光客達を楽しませる。
コジィ・マウを訪れる観光客は、大富豪から貧乏人、ゴブリンから人間まで様々で、トロウの安酒場で酔っ払いがくだを巻く時の定番セリフに『うるせぇ〜、こうなったらコジィ・マウのカジノで1発当てて大富豪になってやるからツケにしとけ〜』などと言うものまであり、コインを一枚拾った乞食がカジノのスロットで大当たりを出し、一晩で大金持ちになった話や、国を丸ごと買えるような大富豪がギャンブルに狂って無一文になってしまう話など、都市伝説に近いものまで広く流布している。
【歴史】
アークバレイの中心都市コジィ・マウは、元々はラグナプレート周辺部の地方豪族が欲をかき、ラグナプレートの中央部を占拠して、通行人から通行料をせしめようと兵を駐留させる為の簡素な拠点を設けたのが最初である。
それまでは誰もが自由に通行していたラグナプレートを占拠され、高い通行料を取られるようになってしまった為、人々は東西の往来を多少手間に不便しても、シーヴァレスタとナシノッテを繋ぐ海路を利用するようになり、それが面白くない豪族が海路を潰そうとナシノッテに侵攻したのが860年の第一次、880年の第二次コジィ・マウ侵攻である。
第二次コジィ・マウ侵攻は成功し、150年に渡ってナシノッテを占拠。ナシノッテを属国としてアークバレイが我物顔の暗黒時代を迎える。
しかし、1040年にナシノッテが独立戦争を起こし、それに呼応したシーヴァレスタの援護に兵力を疲弊させ、アークバレイはナシノッテから撤退せざるを得ず、8年の長い戦いに停戦協定を結び、それによって再びシーヴァレスタ〜ナシノッテ間の海路が復旧した為、ラグナプレートの通行料をせしめる効果が激減し、当時の領主がそれを放棄した。
領主が放棄したラグナプレート上の拠点だったが、150年以上の長い占拠において、ただの砦が生活拠点としての街の様相を呈してしまい。旅の中継地点としてそのまま残存することになった。
コジィ・マウが劇的に変化したのは1292年。現領主の祖父に当たるアルブラム・ラム・ドットーラが、際立った主産業も無いアークバレイの産業振興に悩み、目をつけたのがラグナプレート上の小都市であった。
その当時は、まだプレハブや木造建築の増築を繰り返した継ぎ接ぎだらけの家などが立ち並ぶ、文化レベルの低い街であり、街の中の政治、というものはほとんど無い野放しの状態だった。
それをアルブラムは全面的に改正し、ラグナプレート上の敷地を全て領主権限で強制的に買い上げ、街の建造物の全てを公営で新たに建築し始め、観光都市として生まれ変わらせようとしたのであった。
アルブラムの代で、都市の区画整理はほぼ完了し、観光宿場街としての地位を確立し、次のリオネラの代には陸のサラディンの鉄道敷設計画に全面的に賛同。ラグナプレート上に大路線を敷き、観光客の増収に大きな効果を表した。
そして現領主ブレイズの代では、観光産業に更なる力を注ぎ、公営で始めたギャンブルが大成功。それに目をつけ、更に公営ギャンブルに力を入れ、併せて芸能産業も振興して高級感を打ち出し、一躍エンターテイメントの街として生まれ変ったのである。
そして1338年。アークバレイの領主館をコジィ・マウに移転させ、名実ともにアークバレイの中心都市として現在に至る。
【法律】
コジィ・マウの法律は、他のアークバレイの街とは異なった独特の法を持っている。
まず、コジィ・マウにおいてはラグナプレート上の土地は全て領主の所有物であり、その上に建造する建物も大半が公営の計画によって建築される。そして、民衆はそれを借りるという名目でこの街に住まい、生活している。
これはアルブラムの区画整理計画の時に全て買い上げた影響から、都市計画の管理を全て公的にする事で、橋の上という特殊環境においてのイレギュラーを極力抑える目的である。
コジィ・マウの土地貸与賃は比較的高額だが、産業振興の目的によってはそれを減額・免除される。レストランや高級バー。書店や食料品店など、商売店舗は街の活性化に役立つもの、と見なされ土地・建物代が安くなり、莫大な収益をあげる事が出来る。
土地貸与権は高額なコジィ・マウだが、その他の税は一切かからない。これは、カジノ経営・ホテル経営の莫大な収益だけで公庫があふれんばかりの収入を得ている為で、公営以外の2次産業にとっては垂涎の環境である。
サラディンの鉄道に至っては、土地権利はアークバレイの物だが、鉄道運営が滞りなく行われる限り永久無料貸与権を保証されている。
アークバレイで最も重罪とされているのは、ラグナプレートそのものを破壊する行為である。橋は長年の風雨にもびくともせず、風化も侵蝕もほとんど無いが、人為的に掘削すれば穴は開く。いくら橋の厚みがあるとは言え、地下室を作ろうとして橋を掘るなどすれば即処刑である。無論、補修のたやすい表面的な傷程度は自然磨耗と見なされ、罪にはならないが、意図的に橋を破壊しようとすればテロと見なされ厳罰に処されるのは間違いない。
次に重罪となるのが闇賭博である。全てのギャンブルを公営で取り仕切っているコジィ・マウでは、闇賭博などのノミ行為の一切を禁止しており、個人的なやりとりの範囲を越えた賭博主催を行うと、良くて一切の財産の没収とコジィ・マウからの追放、悪いとラグナプレートからの落下刑に処せられる。
しかし、審査に合格し、コジィ・マウ政府公認の許可免状を貰えれば売上の数割を上納する契約で独自のギャンブルを出店する事は可能。
多額の金が動くコジィ・マウにおいて、治安維持は最も重視されていて、衛兵の巡回が24時間絶え間なく行われている。観光客は大切なお客様、として道案内から遺失物の捜索、ギャンブルで大当たりをした人を銀行まで警護するサービスなども行っており、何か困ったことがあればそのあたりを警邏している衛兵に声をかければ大抵は解決するようになっている。
しかし、金の匂いのするこの街には犯罪者も多く、スリや窃盗、詐欺の被害は後を絶たない。自己防衛は必須。
【ギャンブル】
カジノにはカードゲームからスロットマシン。カジノの華であるルーレットなどがあるが、ここでは一例としてルーレットのルールを説明する。
ルーレットは回転する回転盤の上に球を落とし、数字の書かれたスポットにある番号を当てるようにチップボード上にチップを載せて賭ける。
その際、複数の数字を指定して賭ける場合は、その数字を跨ぐ線上などに置く為、初心者は混乱すると思うので一例を明記しておく。
偶数・奇数 +1倍
α・β・γ +2倍
6点賭け +5倍
5点賭け +6倍
4点賭け +8倍
3点賭け +11倍
2点賭け +17倍
1点賭け +35倍
賭け方の指示例。
4と5に2点賭けする場合はE‐abと指示。17と29に2点賭けする場合はEF-cと指示。
2と14と26に3点賭けする場合はBCと指示。
1と2と13と14に4点賭けする場合はB-bと指示。
1,2,13,14,25,26の6点賭けの場合はBと指示。
ただ一箇所だけ5点賭けの出来る1と13と25と37と38はAと指示する。
賭ける場所は複数同時に賭けてもかまわない。
【交通機関】
@サラディン鉄道
言わずと知れた陸のサラディンの大陸横断鉄道。ラグナプレート上を通過するように敷設されていて、観光客の足の要。
@環状馬車線
馬4頭に16人乗りワゴンを牽かせる馬車。コジィ・マウ内の外縁部をぐるぐると回っていて、決まった停車場で乗降できる。料金は無料。
@フットタクシー
いわゆる人力車。1人が牽く2人乗りと2人で牽く4人乗りがあり、一定時間内を決められた料金でコジィ・マウ内を好きに移動してくれる。
【人物】
ブレイズ・ラム・ドットーラ
人間の男性。56歳。
アークバレイの現領主。祖父から3代に渡ってコジィ・マウの発展に目覚ましい貢献をした人物。
初老の逞しい男性、と言った外見で、外見からエネルギッシュな雰囲気を漂わせる。
コジィ・マウ内の金の動きを全て把握し、莫大な利益を生む都市経営を行いながら、民衆からの意見や希望、苦情まで微細に目を行き届かせ、寝ている時も夢の中で仕事をしている、と言われるほどのワーカーホリック。
シャリオ・ハウマン
エルフの男性。年齢不詳。
コジィ・マウ最大の劇場。『瞬く月夜の宝石』の花形スター。
男役はもちろん、女と見まがうほどの美形で女形もこなす実力派。熱狂的なファンに支持され圧倒的な人気を誇っている。
しかし、性格はナルシストで変人。珍奇でレアなものをコレクトする性癖があり、劇場側はあまり彼のプライベートを見せないように必死である。
アリッサ・グリングラス
クラケットの女性。13歳。
一部の濃い観光客に大人気の女性アイドルグループ『スィートフロート』のリーダー。
メンバーの中で最年少。低身長でステージの上をちょこまか駆け回る姿に観客席からコアなファンの声援が飛ぶ。
とにかく落ち着きが無い性格。コロコロと表情を変え、喜怒哀楽が激しい。目を話すとすぐにどこかに行ってしまうのでマネージャーは気苦労が絶えずに胃痛に悩む日々だとか。
スィートフロートのメンバーは他に人間。ライグル。ハーフエルフがいる。
担当者:レン
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