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領名=ツワヤナクラ
領主名=スピニエフ・カワラディエール
州都=エデン

【概要】
 人口:数千人(実数は不明)
 主な居住種族:エルフ、カオエルフ、グリィラル、人間、ハーフエルフ
 主な産業:農業、鉱業
 主な宗教:イーヴノレル、レーティ・パル
 主な協会・施設:イーヴノレル神殿、魔法士協会、冒険者の宿

【地勢】
 ツワナヤクラの地勢を語る上で最初に触れなくてはいけないのが、『爪痕』と俗称されるツワヤナクラを縦断する大地溝帯です。ツワヤナクラを縦断するこの地溝帯の形成理由はいまだ明らかになってはおらず、研究者の間でいまだ議論を呼んでいます。
 ツワヤナクラの地勢は『爪痕』の東西で大きく変化します。西側の地勢がセルセト山とそれに連なる密林、そして西北部における狭小ではあるが肥沃で水はけの良い平野に代表されるのに対し、『爪痕』によって河川や地下水による水供給を絶たれた東側は北のガラリエから続く荒野であり、厳しい自然環境となっています。
 西側から地溝に繋がる河川、地下水脈は断崖から滝となって底部へと注がれ、幾百もの滝がつくる景観は奇景としていくつかの報告が知られています。こうして出来た地溝底部の水の流れは、地下を通ってジオの地底湖に注がれていることが最近の調査で明らかになっています。

【居住種族】
 元来からのツワヤナクラにおける主な居住種族は『爪痕』の西側においてエルフ種、東側においてグリィラル種、そして『爪痕』周辺におけるフェンラン種らの小規模な集落が点在するのみで、大規模な集住地は確認されていませんでした。そのため、トロウ、エトラムル双方の間の緩衝地帯、権力の空白地として長い間特定の国家に属さない状態で放置されてきました。
 しかし18年前にツワヤナクラの「トロウ国の属州」としての開拓を託されたスピニエフ・カワラディエール侯爵が、西北部、ガラリエとの州境に開拓拠点として「エデン」の建設を開始して以来、人間種の集住が急速に進んでいます。このことは、それまで比較的穏当な関係を結んでいたトロウ−エトラムル間に緊張をもたらすのではないかと懸念されていましたが、自然の国境とも言える「爪痕」のせいか現在においてそれほどの問題には発展していません。
 エルフ種、フェンラン種に他地域に住む同種族との間の大きな差異はありませんが、この地域に住むグリィラルは、荒れ地に適応した生活様式により、例えばイーストウォールに住む、溶岩性の洞窟に住むものとは大きく異なった外見、風俗を持っています。特に、茶色が主体となった体色によって、他の地域のグリィラルと区別されます。

【主要な都市・集落】
 主要な都市・集落として、「爪痕」西北部における開拓都市「エデン」が挙げられます。そして規模は小さいものの、「爪痕」内、比較的傾斜のゆるい斜面にへばりつくように、レーティ・パル信者にとっての聖地、「ビエンフ」が存在します。『爪痕』の東側には、建設された年代も不明な遺跡が散在するのみで、これといった集住地は確認されていません。また、集落間の交通は疎遠で、領内を網羅する交通網は存在していません。

<エデン>
 スピニエフ・カワラディエール侯爵によって、18年前に建設が開始された都市。ツワヤナクラ西北部、ガラリエとの州境の狭小な平野部にあります。人口は2000人程で、定住しているのはほぼ人間のみです。しかしここ数年は、侯爵が盛んに領内に調査隊を派遣していることから、研究者、冒険者といった職業に対する需要が高くなっており、これらの生業に従事する者を中心に、人間種以外の種族も徐々に増加しています。
 開拓の拠点として計画された都市であること、また、都市としての歴史が浅いことで、建築物は簡易的なものが大半を占めています。その都市構造は領主の官邸、イーヴノレル神殿、魔法士協会といった行政およびその関連機能が粗末な街壁によって他の地域と分けられています。それを商業地域、住宅地域、農地といった地域が同心円状に囲みます。当初に比べ都市の規模が拡大した最近では、商業地域に面する街壁の外側は改修され、店舗などに利用されており、毎月2の付く日には、小さいながら定期市も開かれています。その一方で、都市規模の拡大により、稠密な中心部住宅地域から開拓された郊外への人口流出が始まりつつあり、中心部に近い住宅地域は、老朽化した集合住宅に住む新来者によるスラム化が見られるようになってきています。このことは、いまだ盗賊協会が存在しないツワヤナクラにおいて、問題視されてきています。

・冒険者の宿『開かれる大地亭』
10年前に開業した冒険者の宿で、規模はそれほど大きくありません。特徴としては、領主からの依頼が主となっていることによる、体制との政治的距離の近さ。野外活動、博物学、地理学に長けた冒険者が多数在籍すること。それに対し、現状では盗賊、手練士が少数しか在籍していないことが挙げられます。

・イーヴノレル神殿
「エデン」を中心としたツワヤナクラの開拓を,思想的に下支えしており,都市規模に見合わぬ大人数の神官が所属しており,多くの開拓現場の指揮をとっています.

<ビエンフ>
「ビエンフ」は、「爪痕」斜面の西側斜面中央部に集中する石窟群とそれらの中心に位置する小規模な集落を総称した呼称で、この地方の言葉で、「流れ」を意味します。
「ビエンフ」が小規模な集落であるにもかかわらず、ツワヤナクラ領内において重要視される理由である大小の石窟群ですが、この石窟群は、レーティ・パル信仰の聖地として信者から神聖視されています。石窟の一つ一つは、レーティ・パル信者が石窟にこもり、眼下の水の流れ、狭い空から覗く雲の流れといった時の流れを象徴する事物を、ただ「見る」ための修行の場(もしくは修行の場の跡)なのです。
 石窟の内部には、その信者の故郷におけるレーティ・パル神の姿が描かれているものが多く、極彩色に彩られたものから、単純に岩に掘られただけのものなど、さながらグラードにおけるレーティ・パル信仰の見本市といった様相を呈しています。中には、現在の絵姿とは異なった脈絡を持っていると考えられるものもあり、考古学的な価値も認められてきています。
「ビエンフ」の中心に位置する集落では、主にレーティ・パル信者が自給自足の生活を送っており、ツワヤナクラ領内では、現在把握されている中では例外的に多種の種族が混住している集落です。

その他の地域、および集住地は、現在ではその詳細が明らかになっていません。


州設定者:ゲレーロ


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